婦人科は女性のための専門診療科(ふじんかはじょせいのためのせんもんしんりょうか)

思春期から閉経後まで女性の一生をトータルにみる


 婦人科、あるいは産婦人科というと、女性の生殖器を扱う、または妊娠・出産を扱う科というイメージを持つ人が多いようですが、これは婦人科の役割の一部でしかありません。
 女性のからだは思春期以降、おもに女性ホルモンの影響で年齢とともにダイナミックに変化していきます。婦人科では、こうした変化を総合的にみて、女性特有の病気や症状の治療、改善にあたります。
 つまり、小児科を卒業した女性ならだれでも受診する可能性があるのが婦人科です。とくにセックスパートナーができると、のぞまない妊娠や病気への感染を防ぎ、安全で満ち足りたセックスライフを送るためにも婦人科とのつきあいは重要なものになってきます。
 月経や生殖器、性などの悩みからはじまって、妊娠・出産にかかわること、更年期や閉経後のトラブルなど、婦人科は一生を通じて女性がお世話になるところです。

自分の健康を自分で守るためにもっと婦人科の利用を


 婦人科をじょうずに受診するポイントは、まず自分のからだや心、病気のことについて正しい知識を持つこと。自分のからだのことを知らなければ、よい診療を受けにくいものです。
 そして、なんらかの不調や異常を感じたり、心配なことがあったら、ためらわずに、もっと気軽に婦人科を受診しましょう。「いつものことだから」と楽観視したり、逆に「取り返しのつかない病気だったら」と思いつめて受診を先延ばしにしていたりすると、治療の好機を逃すことにもなりかねません。最近ではとくに子どもを生まない人がふえ、産婦人科を受診する機会が減っていますが、これは病気の早期発見の機会が減っていることにもつながります。
 また、仕事や家事、育児などで忙しかったりすると、つい自分のからだのことはあと回しにしてしまいがち。でも、自分はもちろん、家族もともに生き生きと充実した生活を送るためには、自分の健康に関心を持ち、意識して自分のからだを守ることはとてもたいせつなことです。

気軽に相談できるかかりつけの婦人科医を持とう


 婦人科が女性にとっていちばん身近で心強い存在といっても、「いきにくい」「はずかしい」と思っている人は多いものです。その最大の理由は内診でしょう。でも、内診は医師が直接、子宮や卵巣を触診(婦人科で聞かれること・すること)によって診察する方法ですから、婦人科ではもっとも確実な診断の手段なのです。受診前に希望すれば、直腸診や超音波検査も可能ですから、むやみにこわがることはありません。直腸診は医師が手術用手袋をつけて、指を肛門から直腸の中に挿入します。子宮内膜炎などは病状によっては直腸診のほうが状況を的確に把握できる場合があります。
 どうしても内診に抵抗があるなら、最初は問診だけにしてもらい、内診は自分が納得できてから受けてもよいでしょう。また、そういう気持ちや不安なことを率直に相談できる医師を見つけることも大事です。
 女性にとってたいせつな部分をみてもらう婦人科ですから、自分のことをよく知っていてくれて、思春期から閉経期、さらにはもっと高齢になってからも、日常的な健康管理まで相談できるような信頼できるかかりつけの医師、いわゆるホームドクターをつくっておくと安心できます。
 妊娠したり、急病になってからはじめて受診するのではなく、かぜをひいたら内科にかかるように、日ごろから気軽に婦人科を受診して、「マイ・クリニック」を決めておきましょう。一度でも受診すると、婦人科がどんなところかもわかり、あとのハードルも越えやすくなることが多いものです。

こんな症状があったら迷わず婦人科へ


●月経がおかしい


 量が多すぎる、月経血に大きいかたまりが混じる、周期が乱れている、だらだらと長くつづく、月経痛がひどい、月経が止まったなど、なんらかの異常がある場合。

●おりものがおかしい


 量が多い、色(茶褐色、黄緑色)がついている、豆腐かすのようなものが混じっている、変なにおいがするというようなときは、病気のサインかもしれません。

●不正出血がある


 月経ではないのに、出血があるときは要注意。

●下腹部に異常がある


 下腹部が痛い、おなかにさわるとしこりがある、太ったわけではないのに下腹部だけがふくらんできた、というような場合。

●外陰部に異常がある


 外陰部がかゆい、痛い、腫れている、違和感がある、潰瘍・水泡ができている、などの場合。

●乳房に異常がある


 乳房にしこりがある、へこみがある、痛む、腫れている、血や膿が混じった分泌液が出る、などの場合(乳房検診は婦人科でも行いますが、外科または乳腺外科が専門科です)。

●妊娠かどうか確かめたい


 妊娠の可能性があるときは、子宮外妊娠などの異常妊娠を早期発見するためにも、妊娠の診断はできるだけ早く受けましょう。

●赤ちゃんがなかなかできない


 努力してもなかなか妊娠しないときは、不妊症の可能性もあります。正しい診断と治療のためにも早めに受診しましょう。

●がん検診を受けたい


 子宮がん卵巣がん乳がんの疑いがある場合、または早期発見に備えたい場合。早期発見のためには、1年に1回は定期的に検診を受けたい。


こんなときも婦人科に相談しましょう


●月経の予定日を変えたい


 ホルモン剤を使うことで、予定日を早めたり、遅くしたりできます。

●外陰部の色や形などの悩み


 ほとんど心配のないことが多いのですが、気になってしかたがない場合は相談しましょう。

●乳房や乳首などの悩み


 ほとんど心配のないことが多いのですが、乳房の大きさ、乳首の色や形が気になってしかたがない場合は相談しましょう。

●コンドームより確実な避妊法にトライしたい


 ピル(経口避妊薬)を服用したい、ICU(子宮内避妊リング)を挿入したい、というときは、婦人科医の診察と処方が必要です。

性感染症にかかっているか心配


 感染する機会があったり、疑われる症状があったりしたときは、すぐに受診しましょう。感染していたら、治療はパートナーといっしょに受けます。

●セックスについての悩み


 セックスがうまくできない、性交痛があるなどのトラブルも婦人科で相談することができます。また、不幸にも性暴力にあってしまったら、なるべく早く受診します(アフターモーニングピルとは?)。性暴力にあったときは、72時間以内に受診すれば、緊急避妊の処置をほどこすことができます。着替えや入浴は受診後にして、急いで婦人科の受診を。

更年期の不快な症状がある


 のぼせやほてり、汗、頭痛、めまい、動悸、冷え、不眠、うつ状態などの症状がひどく、つらい場合は受診します。最近は更年期前の若い世代にも、おもにホルモンバランスの乱れからくる更年期障害(更年期に起こりやすいからだの不調・トラブル)に似た自律神経失調(自律神経と自律神経失調症)の症状がふえているといわれます。
 また、更年期障害は人により症状や現れ方、程度はさまざまで、なかには更年期障害として知られるこれらの症状とは別の不調を訴える人もいます。不調の原因が不明のときは、更年期障害を考えてみることも必要です。

●頻尿、排尿痛、便秘などがある


 尿の回数や量が多くなったり、排尿痛があったりするのは、多くの場合、細菌感染による膀胱炎(尿路感染症)や尿路系の病気ですが、頻尿とともに、おなかのしこりや便秘がある場合は、子宮や卵巣の病気が疑われることもあります。

尿失禁


 せきやくしゃみをしたり、重いものを持ったりしたときに、はずみで少量の尿がもれてしまうときは、尿失禁を疑います(腹圧性尿失禁)。40歳以上では、3人に1人と意外に多くの女性が尿失禁で悩んでいるといわれます。
 原因は骨盤内の筋肉のゆるみです。特別なことでもはずかしいことでもないので、医師に相談しましょう。

●結婚前に病気のチェックを


 将来の妊娠・出産に備えて、結婚前に子宮がん子宮筋腫など婦人科系の病気がないかどうか、チェックしましょう。また、妊娠したときのことを考えて風疹(子どもの感染症妊娠中に注意したい感染症)の抗体検査を受け、抗体がなければ風疹の予防接種を受けましょう。

ベビカムは、赤ちゃんが欲しいと思っている人、妊娠している人、子育てをしている人、そしてその家族など、妊娠・出産・育児に関して、少しでも不安や悩みをお持ちの方々のお役に立ちたいと考えています。
本サイトは、妊娠・出産・育児に関して、少しでも皆さまの参考となる情報の提供を目的としています。

掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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