おもに体表面のけがや異常を手術で治します
形成外科は、日本では比較的新しい診療科です。形成外科の診療内容を端的にいえば「からだの表面に現れた異常を、手術によって機能・形態ともに正常かつ美しく治す」ということになります。からだの表面の異常といっても、治療範囲は皮膚だけでなく、皮下組織や骨まで含まれます。扱う分野はつぎの5つに大別されます。
また、よく混同される診療科に整形外科がありますが、こちらは、関節や筋肉など、おもに運動機能を扱うもので、形成外科とは異なる診療科です。
美容外科は形成外科の1分野
いわゆる「美容整形手術」を行う診療科の正式名称を美容外科といいます。形成外科はいかに傷あとが目だたないようにきれいに縫うか、いかに形を整えるかという点に主眼をおいて研究が重ねられました。その延長線上に美容外科があるといえます。
つまり美容外科手術は、形成外科の知識と技術の上に成り立つものであり、美容外科医は形成外科のトレーニングを積んでいることが前提になります。
保険診療が基本。美容目的は自費診療
形成外科の治療は、ほかの病気と同じように大部分に健康保険が適用されます。ただし美容目的の手術は、疾病の治療ではないので、自費になります。
たとえば、生まれつき極端に鼻が低く、呼吸障害など機能的な問題があり、鼻を高くする手術を受けた場合は、健康保険がききます。しかし、鼻の機能に問題はないのに、もう少し鼻を高くして美しくなりたいという場合には、自費ということです。
また、以前は自費診療が多かったレーザー治療ですが、太田母斑など先天性のあざを取る場合には、健康保険を適用する医療施設がふえてきました。ただ、加齢によるしみをとる場合は、美容目的ということで自費となります。
けがや熱傷(やけど)による傷あとの治療をする場合も、機能障害をともなう傷あとの治療は保険診療ですが、機能的な問題が解消されたあとに見た目を整える治療は、自費診療になります。
治療領域は幅広く他科との協力も重要です
形成外科が他科と大きくちがう点は、ある一定の臓器や器官を扱うのではなく、守備範囲が全身におよぶことです。そのため、形成外科単独でなく、他科と協力して治療にあたるケースが多くなります。
交通事故などで顔面や頭部に外傷を負った場合、脳、眼球、頸部などに損傷がおよんでいることが少なくありません。そのため、脳神経科、眼科、整形外科などとの連携が必要です。
がん切除をはじめとする外科手術は外科医が行いますが、手術によって失われた組織の再建は、形成外科医が担当します。
先天異常の一つである口唇裂・口蓋裂では、形態上の問題だけでなく、耳の聴こえ、発声、歯のかみ合わせなど機能的な障害をともないます。そのため、小児科、耳鼻科、矯正歯科、さらには言語聴覚士などとの広範なチーム治療が必要となります。
他科との協力が必要な例
・顔面・頭部の外傷…脳神経外科、眼科、整形外科など
・頭頸部のがん…脳神経科、眼科、腫瘍科、耳鼻科など
・皮膚腫瘍…皮膚科
・口唇裂・口蓋裂…小児科、耳鼻科、矯正歯科、言語聴覚士など
形成外科の技術はQOL(生活の質)を高めます
たとえば、生まれつき顔に大きなあざがあるとします。あるいは、外傷やがんの切除手術などで、顔に変形や欠損が生じたとします。どちらも命に別状はありません。しかし、外見的なハンディキャップのため、スムーズな社会生活を送ることがむずかしくなることがあります。とくに女性は、ハンディも心の痛みも大きくなります。
乳がんをわずらった女性の場合、乳房を切除するぐらいなら死んだほうがまし、とまで思いつめる人もいます。
形成外科の治療を受け、これらの問題が解消すると、その後のQOL(生活の質)は飛躍的に向上します。
これからの医療は、命さえ助かればよいという考え方だけでは成り立ちません。その人の精神面の安定とQOLの向上というニーズにこたえることが、形成外科の大きな役割なのです。
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