予防する病気
はしかと風疹を予防します。はしか(麻疹)
はしか(「はしか(麻疹)」)は、麻疹ウイルスが、せきやくしゃみなどによって人から人へと感染する病気です。感染して10〜12日の潜伏期間のあと発熱、せき、鼻みずなど、かぜのような症状ではじまります。38度前後の熱は2〜3日続き、一度下がったあと、再び39〜40度の高熱になり、全身に小さい赤い発疹が広がります。はしかは重い病気で、気管支炎(「急性気管支炎」)や肺炎(「肺炎」)、中耳炎(「中耳炎」)、結膜炎(「ウイルス性結膜炎」)、脳炎(「急性脳炎」)などの合併症を起こすことがあり、現在日本でも、年間20〜30人もの子どもが、はしかで命を落としています。たとえ治ったとしても、まひなどの後遺症を残すことがあります。また、はしかにかかって軽くすんだとしても、数年後にけいれんや知能障害が進行する、亜急性硬化性全脳炎を起こすことが知られています。はしかは予防接種をして、未然に防ぎたい病気です(「亜急性硬化性全脳炎」)。
風疹
風疹(三日ばしか)(「風疹(三日ばしか)」)は、風疹ウイルスの飛沫感染によって起こります。2〜3週間の潜伏期間のあと、軽い発熱と発疹がみられます。「三日ばしか」と呼ばれるように、症状は3〜4日でおさまるのがふつうです。まれな合併症として、血小板減少性紫斑病(「特発性血小板減少性紫斑病」)、脳炎(「急性脳炎」)などがあります。また、妊婦が妊娠4か月ごろまでに感染すると、白内障や聴力障害をもつ先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性が高くなります(「風疹(妊娠中)」)。
ワクチンの種類
二種混合の生ワクチンを皮下注射します。
理想の接種年齢
はしかと風疹は、1〜2歳ころにかかる可能性が高いので、1歳になったらなるべく早く1回めの接種をしましょう。地域で流行していたり、保育園にあずけたりするときは、生後6か月から任意で接種ができます。2回めは、小学校入学前の1年間に接種します。幼稚園や保育園の年長のころです。
副反応
接種後、1〜2週間のあいだに発熱がみられることがあります。発熱は1〜3日でおさまります。そのほか、発疹や発赤、鼻水、せき、注射部位にはれやしこりなどがみられることもあります。アナフィラキシー(発疹、呼吸困難、血圧低下など)、けいれんなど、変わったようすがみられたらすぐに小児科を受診しましょう。
受けるときの注意
熱性けいれんを起こしたことがある子は、医師と相談する
副反応として熱がでることもあり、過去に熱性けいれん(「熱性けいれん」)を起こしたことがある場合は、医師と相談したうえで接種します。接種後、発熱したときの対処法の指示も受けておきます。
卵アレルギーの子は医師と相談
麻疹ワクチンは、鶏胚の細胞を利用してつくられていますが、含まれる量はごく微量です。卵を食べてアトピー性皮膚炎になるという程度では、基本的には接種してもだいじょうぶです。あまり神経質になることはありませんが、心配なときは、アレルギー(「食物アレルギー」)と診断した医師に相談してください。また、ワクチンには抗生物質も使われています。抗生物質に敏感な体質(「薬剤アレルギー」)の子も主治医に相談してください。
同時接種をしたほうがいい?
麻疹・風疹混合ワクチンは、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンと同時接種ができます。1歳になったときに同時接種を希望する場合は、医師に相談してください。
こんなことが気がかり
Q 麻疹ワクチンは副反応が強い?
はしかは、それ自体が重い症状をもたらす病気なので、やはりワクチンも強いものを使います。そのため、ほかの予防接種のワクチンとくらべると、熱がでやすいかもしれません。しかし、逆に「熱がでる」ということは、確実に免疫がついたという証拠なのです。
副反応をおそれて予防接種を受けないで、はしかに感染することのほうが、子どもの体に大きな影響をおよぼします。とくに、弱毒化したワクチンで症状がでる子どもこそ、本物のはしかにかかると重症になるおそれがあります。
接種は、子どもの体調のよいときを選んで受けるようにしましょう。また連休や夏休み、お正月休みなどで、病院が休診になる時期は、念のために接種は避けたほうがいいでしょう。
Q 上の子がはしかに感染。下の子に予防接種をしたほうがいい?
はしかにかかると、発疹が現れる数日前からウイルスをだしているので、診断された段階で、すでに下の子に感染して数日たっています。もう予防接種は間に合いません。この場合、感染後4日以内にガンマ‐グロブリンという血液製剤を注射すると、症状がでないですむか、かかっても軽くすませることができます。
ただ、ガンマ‐グロブリンは予防接種ではないので、その効果は一時的です。注射後、3か月以降にかならず、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)の予防接種を受けてください。
Q 1歳前に保育園に入園。予防接種は受けたほうがいい?
はしかは、母体から免疫をもらうため、あまり月齢の低い赤ちゃんは接種を受けてもむだになることがあります。1歳前に予防接種を受けるなら、母体からの免疫が少なくなってくる生後9〜10か月が適当でしょう。
はしかの予防接種は、自費であれば生後9か月ごろから受けることができます。はしかは感染力が強く、かかるとこわい病気です。保育園や幼稚園などの集団生活に入れる場合や、はしかの流行期なら、早めに接種をしておくほうが安心です。
ただ1歳前に接種を受けても、まだ母体からの免疫が残っていると、抗体ができないことがあります。接種後1か月以上たってから抗体検査をしたほうがいいでしょう。いずれにしても念のため、1歳をすぎたらもう一度予防接種を受けておきましょう。
Q 感染したのに気がつかず、予防接種を受けたら副反応は重い?
風疹で症状が軽いと、かぜとまちがえたり、症状がまったく現れず、かかったかどうかわからないことがあります。すでに風疹にかかって、抗体ができている子に接種をしてもだいじょうぶです。接種したワクチンウイルスは、本物の風疹の抗体につぶされて分解されますから重い副反応はありません。
すでにかかっているかどうかは、血液検査でわかりますが、検査と予防接種で2回も痛い思いをさせることはありません。接種だけでいいでしょう。
Q 風疹は軽い病気と聞くけど、接種するべき?
たしかに風疹の症状は軽いことが多いのですが、現実には毎年3〜4人の子どもが亡くなっています。また、風疹の免疫のない妊婦が、子どもからうつされて、先天性の病気をもつ子どもを出産することがないように、さらに、まわりの子にうつさないようにという配慮から、男女の別なく子どものころに接種させておくほうがいいでしょう。
Q 現在妊娠中で、抗体がない。子どもの予防接種から感染する?
予防接種を受けた子どもから感染することはないので、同居している子どもがワクチンを受けることは問題ありません。しかし、つぎの妊娠を考えて、お母さんも出産後に予防接種を受けましょう。なお、予防接種を受けたあと、最低2か月は避妊が必要です。


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