外食やインスタント食品などにかたよった食生活に注意
現代は、わざわざ料理をつくらなくても、外食や惣菜、インスタント食品などで、食事が手軽にすませられる時代です。一方、心配なのがエネルギーや塩分のとりすぎ、野菜不足などから、やがて肥満や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病を招くことです。
手づくりの料理を心がけることはもちろんですが、外食などでも定食風のメニューを選ぶ、一品料理ならあとで牛乳や果物をとる、つぎの食事で足りなかった野菜を補うなどのくふうで、栄養バランスを整えましょう。
油脂、糖分、塩分の過剰摂取は生活習慣病のもと
油脂、糖分、塩分はどれもからだに必要な栄養素ですが、とりすぎは逆に害になります。料理は薄味を基本にして、揚げ物は天ぷらやフライより衣の少ないから揚げを、肉は脂身を避けて、炒め物より煮物や網焼きなど、油の使用量の少ない料理を選びましょう。
野菜、海藻、キノコなどは低エネルギーで食物繊維が多く、体内の余分な塩分を排出するカリウムやカルシウムも豊富に含まれています。量をとれるおひたしや煮物、スープなど、火を通した料理がお勧め。サラダの場合はトマト、ピーマン、ニンジン、青菜(ほうれん草、小松菜、春菊、水菜など)などの色の濃い野菜を使うようにします。
夜、食べるなら、就寝の2時間前までに
最近は夕食の時間が遅くなる傾向にありますが、夜遅い食事は肥満の原因や、胃のもたれなどから、翌日、朝食を抜く原因にもなります。仕事などで夕食が遅くなる人は、魚、豆腐、野菜などを使った、さっぱりとした料理を心がけ、量を少なめに、できれば就寝2時間前までにとるようにしましょう。
また、毎回の食事を理想的な栄養バランスにすることはむずかしいので、1~2日ぐらいでトータルに考え、朝食や昼食でとれなかったものを夕食で補うようにします。夕食が外食や飲み会だったなど、その日のうちに調整できなかった場合は、できれば翌日中に調整するようにしましょう。
日常のトラブル解消法
●肌荒れ・髪のパサつき
ビタミンAが不足すると皮膚や髪の組織の粘膜が乾燥してかたくなり、カサついたり、パサついたりします。またビタミンCは、皮膚の張りを保つのに必要な栄養素で、しみの原因であるメラニン色素の生成も抑えます。
美しい肌や髪を保つための食品は、ビタミンAならレバー、ウナギ、カロテンの多いカボチャ、ニンジン、青菜など、ビタミンCならイチゴ、柑橘類、キウイなどの果物や、ピーマン、ブロッコリーなどの緑の濃い野菜です。
●便秘
便秘がつづくと不快なだけでなく、大腸がんなどの重大な病気の原因となることもあります。
便秘の原因の一つは食物繊維の不足です。食物繊維を豊富に含む野菜や果物、いも類、海藻類、キノコ、豆類、未精白の穀類などを毎日とりましょう。また、ビフィズス菌を含むヨーグルトや適度な油分をとること、朝の水分補給、軽い運動なども便秘対策に効果的。ダイエットや小食、朝食抜きも便を少なくして、便秘の原因になるので注意。
●冷え症
ビタミンEが不足すると血流が悪くなり、冷え、肩こり、頭痛、しもやけといったトラブルが起こりやすくなります。ビタミンE補給には、アーモンドやピーナッツなどのナッツ類を毎日少量とるのが効果的。ウナギ、ハマチ、カレイなどの魚類、アボカドにも多く含まれています。また、からだを冷やす冷たい飲み物や生野菜などを避け、あたたかいものをとりましょう。
●むくみ
むくみの原因はいろいろですが、一つには塩分過多や血行不良がもとで、体内の水分が多くなることがあります。カリウムには体内の余分な塩分の排出を促すはたらきがあるので、果物、いも類、海藻類、豆類、青菜などを毎日とりましょう。とくに、リンゴ、バナナ、じゃがいも、昆布、ヒジキ、枝豆、トマト、ほうれん草などがお勧め。
●疲労・夏バテ
年齢とともに代謝が悪くなると、疲れやすくなったり、夏バテも起こりやすくなります。疲労物質の代謝をよくするクエン酸やビタミンB1 をとりましょう。クエン酸は、酢やレモンなどの酸っぱい柑橘類に含まれています。ビタミンB1 は豚肉、ウナギ、大豆製品、ナッツ類などに豊富です。
●貧血
貧血というとほとんどは鉄欠乏性の貧血で、鉄分の不足がおもな原因です。レバー、貝類、海藻類、大豆製品、小松菜などをとりましょう(不足しやすいカルシウムと鉄分を効率よくとるコツ)。
生活習慣病の予防と食事
●動脈硬化
血液中にコレステロールや中性脂肪などの脂質が増加した状態が長くつづくと動脈硬化が起こり、心筋梗塞や脳梗塞などを発症しやすくなります。コレステロールも中性脂肪もからだに必要な成分ですが、ふえすぎは禁物です。
肉の脂身、揚げ物などの油っこい料理、ご飯やパンなどの穀類、甘いもの、アルコール飲料などをとりすぎないこと。また、魚の脂に多く含まれているDHAやEPAといった不飽和脂肪酸は、コレステロールを減らし、血栓を予防するはたらきがあります。青背魚(アジ、サバ、イワシ、サンマ、マグロなど)を積極的にとりましょう。
●高血圧(症)
体内に塩分(ナトリウムイオン)が多すぎると、塩分が血管の壁にしみ込んで血管が収縮し、血流に対する抵抗が増して血圧が上昇します。高血圧は心筋梗塞の引き金になりやすいので、予防のために減塩を心がけましょう。
現在、日本人の食塩摂取量は1日12~13gに達していますが、目標は10g以下です。食塩、しょうゆ、みそなどの調味料をひかえて薄味にし、漬け物や加工食品、インスタント食品などを避け、めん類の汁は全部飲まないようにします。また、ミネラルの一種であるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排泄するので、野菜、いも、海藻、果物などを積極的にとりましょう。
●糖尿病
食べすぎ、肥満、ストレスが原因となってインスリンが不足し、血液中のブドウ糖(血糖)が異常にふえた状態を糖尿病といいます。糖尿病を放置しておくと動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな生活習慣病を引き起こす可能性があります。
糖尿病予防には、血糖値を上げすぎないよう、摂取エネルギー量をコントロールします。栄養のバランスをとりながら、動物性脂肪や主食をひかえ、食物繊維をしっかりとりましょう。エネルギーの把握がむずかしい外食やテイクアウト食品などはひかえめに。
避けたい食品とチェックのしかた
食品添加物
●種類と表示の見方
食品添加物とは、食品を製造・加工するときに加えられる物質のことで、甘味料や香料、着色料、保存料などとして1500品目以上が厚生労働省によって使用が認められています。これらは、食品の製造・加工、保存性の向上、品質の向上、食品の風味をだしたり見栄えをよくしたり、栄養を強化したりといったために使われています。
使用されている食品添加物は、「原材料名」として表示されています。表示は原則として物質名ですが、わかりにくいものもあるので、ビタミンE、ビタミンCなどとわかりやすく表示することもあります。さらに用途名も併記され、酸化防止剤(ビタミンE)と書かれる場合もあります。また、いろいろな物質を混ぜ合わせたものについては、それぞれを表示するとわかりにくいために一括して表示します。調味料、乳化剤といった具合です。この場合は、中身になにが使われているか不明なのが気になる点です。
●おもな食品添加物の種類と用途例
●甘味料
目的と効果 食品に甘味を与える
食品添加物例 カンゾウ抽出物、サッカリンナトリウムなど
●着色料
目的と効果 食品を着色し、色調を調節する
食品添加物例 クチナシ黄色素、食用黄色4号など
●保存料
目的と効果 カビや細菌などの発育を抑制する
食品添加物例 ソルビン酸、しらこたんぱく抽出物など
●増粘・安定・ゲル化・糊剤
目的と効果 食品に粘りけを与え、分離を防止し安定性を向上させる
食品添加物例 ペクチン、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムなど
●酸化防止剤
目的と効果 酸化を防ぎ、保存性をよくする
食品添加物例 エリソルビン酸ナトリウム、ミックスビタミンEなど
●発色剤
目的と効果 ハム・ソーセージなどの色調を保つ
食品添加物例 亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなど
●漂白剤
目的と効果 食品を漂白し、きれいにする
食品添加物例 亜硝酸ナトリウム、次亜硝酸ナトリウムなど
●防カビ剤(防ばい剤)
目的と効果 輸入柑橘類などのカビの発生を防ぐ
食品添加物例 オルトフェニルフェノール、ジフェニールなど
●調味料
目的と効果 食品にうまみなどを与える
食品添加物例 L-グルタミン酸ナトリウム、タウリン(抽出物)など
安全性について
国が許可している食品添加物は、安全とされる使用基準を満たしていますが、それで確実かどうかの判断はむずかしいところです。現代では、食品添加物をとらずに生活することは不可能です。しかし、食品を購入するときは表示をよく見て、なるべく添加物の少ないものを選ぶようにしましょう。
また、豆腐の凝固剤のように製品をつくるうえで、なければならない添加物もありますが、着色料や漂白剤など、見た目をよくするためだけのものであれば、使わないに越したことはありません。消費者が見た目や口当たりのよさだけを求めないことも大事です。
除去のしかた
食品添加物は調理の段階で、完全とはいえませんが、除去することもできます。たとえば、ハムやソーセージ、かまぼこといった加工食品は、そのまま食べるときは、サッと湯通しします。炒め物や煮物、スープの具などに使うときは、1分くらい下ゆでしてから使います。生で食べる野菜や果物は、表面に防カビ剤や漂白剤などが塗られていることがあるので、洗ったり皮をむいて食べます。皮ごと使用するときは、流水でよく洗ってから使います。
・ゆでこぼす 熱湯で食品を10秒くらいゆでて、お湯を捨てる。
・流水で洗う 食品の表面を流水でよく洗い流してから使う。
遺伝子組み換え食品
遺伝子組み換えとは、品種改良を遺伝子のレベルで行うもので、そうして生まれた作物を「遺伝子組み換え作物」、それを原料とした食品を「遺伝子組み換え食品」といいます。現在、害虫や除草剤に強い植物や、日持ちのいい作物などが開発されており、大豆、とうもろこし、なたね、綿、トマト、じゃがいもなどがあります。
日本でとれる作物にはまだ遺伝子組み換えはありませんが、輸入作物や食品は出回っています。遺伝子組み換え食品を使用している場合は「遺伝子組み換え」、混入している可能性がある場合は「不分別」と表示されています。
食品の表示の見方
食品には日付けや産地が表示されています。日付け表示は、食品の保存期間のめやすとして表示されているもので、消費期限、賞味期限の2種類があります。
消費期限は、食品の鮮度が高く、品質が急速に劣化しやすい精肉や鮮魚、弁当などに表示されています。
また、品質の劣化が比較的おだやかな食品に用いられているのが、賞味期限です。おもにレトルト食品や缶詰、ハム、ソーセージなどに表示されています。
いわば、消費期限は安心して食べられる期日であり、賞味期限はおいしく食べられる期日です。しかし、これらの表示はめやすなので、自分の目や鼻を使って食品の品質を見分けましょう。
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