内分泌のはたらきと代謝の意味
内分泌とは、内分泌腺(器官)から血液中にホルモンが分泌されて全身に運ばれ、それぞれの器官(標的組織)にはたらいて、特有の作用をすることをいいます。
ホルモンはごく微量しか分泌されませんが、体の恒常性(体温や血液などの体内環境が、常に一定の状態にあること)を保つためや、それぞれの組織が正常に機能するために不可欠な物質です。さらに子どもの場合は、成長や性成熟に欠かせない重要な役割もになっています。また、胃などの消化器や、腎臓からも分泌されています。
ホルモンの分泌は常に一定ではなく、年齢、性別、季節、さらに1日のなかでも変動します。ホルモンが不足したり過剰に分泌されると、さまざまな異常がみられるようになります。
代謝とは、生命活動に必要なすべての物質の流れをいいます。この流れを制御しているのは酵素というたんぱく質ですが、内分泌のはたらきによっても、体内の物質が正常に流れて体が正常に機能することを代謝、ホルモンの分泌異常で物質が正常に流れなければ、代謝異常と考えることができます。
内分泌の病気
内分泌の病気には、ホルモンの分泌量が正常よりも多すぎて起こる亢進症と、少なすぎる低下症の2種類があります。原因には、①遺伝、②脳腫瘍など、ほかの病気の影響(続発性)、③原因不明(特発性)などが考えられます。
また同じホルモンの分泌異常でも、視床下部や下垂体など、分泌の指令をだす中枢に問題があるのか、甲状腺や性腺など、指令を受ける末端に問題があるのかで、治療法が異なってきます。
しかし子どもの病気のなかで、内分泌の病気の頻度は高くありません。また病気が発見されても、薬できちんとホルモンを補充したり抑制すれば、ほとんどがふつうの日常生活を送れます。
子どもに特有の内分泌の病気
子どもの成長には、おもに成長ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモンがかかわっており、いずれが欠けても発育障害を起こします。代表的な病気には、成長ホルモン分泌不全性低身長症(「成長ホルモン分泌不全性低身長症」)、甲状腺機能低下症(「甲状腺機能低下症」)などがあります。
性ホルモンは性腺(精巣、卵巣)と副腎皮質から分泌されます。たとえば胎児の性器形成期に男性ホルモンの分泌が過剰になると、女性の外性器が男性化します。代表例が先天性副腎皮質過形成症(「先天性副腎皮質過形成症(21水酸化酵素欠損症)」)です。
思春期には性ホルモンが増加します。その時期が早すぎる病気が思春期早発症(「思春期早発症」)、二次性徴がいっこうに現れないときは、性腺機能低下症(「性腺機能低下症」)を疑います。
そのほか、一般的な内分泌の病気には、下垂体からの抗利尿ホルモン分泌異常による尿崩症(「尿崩症」)、甲状腺異常による甲状腺機能亢進症(「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」)、副甲状腺異常による副甲状腺機能亢進症(「副甲状腺機能亢進症」)・低下症(「副甲状腺機能低下症」)、インスリンの異常による糖尿病(「小児糖尿病」)などがあります。これらの病気は、比較的、早期発見が可能です。

四角い窓内が分泌されるホルモン。矢印は中枢から分泌されるホルモンが、末端の内分泌腺を刺激してホルモンを分泌させることを表す。
内分泌腺のはたらき
[視床下部]下垂体からホルモンをださせたり、抑制するホルモンを分泌する。
[下垂体]前葉は成長ホルモンや副腎、甲状腺、性腺を刺激するホルモンを、後葉からは抗利尿ホルモンを分泌する。
[甲状腺]成長やエネルギー代謝に関与するホルモンを分泌。
[副甲状腺]血中のカルシウムとリンの濃度を一定に保つホルモンを分泌する。
[副腎皮質]“鉱質ステロイド”、“糖質ステロイド”、“男性”の3種類のホルモンを分泌。
[副腎髄質]血液を維持するのに重要な役割を持つカテコールアミンを分泌する。
[性腺]二次性徴を起こさせたり、精子をつくったり、排卵させる性ホルモンを分泌する。
[膵臓]ブドウ糖を細胞内へ取り込むのを促進するインスリンや、血糖を上昇させるグルカゴンを分泌する。
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