どんな病気?
成長に欠かせない甲状腺ホルモンの不足によって起こる病気で、先天性と後天性があります。
症状
先天性の甲状腺機能低下症は、一般的にクレチン症と呼ばれています。
後天性の甲状腺機能低下症の大部分は自己免疫性甲状腺炎です。その代表的疾患が、思春期前の女子に多い萎縮性自己免疫性甲状腺炎と思春期以降の女子に多い橋本病(慢性甲状腺炎)です。
甲状腺ホルモンの不足は脳の発達を著しく遅らせるので、クレチン症は早期に治療しないと、乳児期から幼児期にかけて、首すわり、おすわりなどの運動機能や、知能、言語の発達が遅れます。乳児期には体重不足がみられ、やがて低身長も目立ってきます。
萎縮性自己免疫性甲状腺炎の場合は、急に身長の伸びが悪くなったり、体重がふえなくなります。
橋本病の場合は首に甲状腺のはれがみられ、体がだるい、便秘がち、寒がり、気力がない、むくみ、皮膚の乾燥、体重増加などが現れます。女性では月経過多の症状が現れることもあります。
原因
クレチン症の原因は、①生まれつきの甲状腺ホルモン合成異常(ホルモン合成障害クレチン症)、②甲状腺の欠損や形成異常(甲状腺形成不全)、③胎児期の器官形成異常のため、甲状腺の組織があるべき場所にない(異所性甲状腺)、④まれに下垂体に異常があるなどの先天的なものです。
萎縮性甲状腺炎や橋本病は、血液中に甲状腺に対する抗体を自分でつくってしまうのが原因です(自己免疫疾患)。抗体ができると甲状腺の細胞が破壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下します。なぜみずから抗体をつくるのかは不明ですが、家族に発生するのが多いことから、遺伝が関係しているのではないかと推測されています。
検査と診断
クレチン症は放置しておくと知的障害を起こすので、一刻も早い発見と治療が必要です。そのため新生児マススクリーニング検査(「先天性の代謝異常」)の項目に入っています。実施以来、生後2~3週間以内に発見されて治療が行われるようになり、知能低下が残るクレチン症はほとんどなくなりました。
検査は新生児から採取した血液中の甲状腺ホルモンと、甲状腺刺激ホルモンを測定します。値が低かったときは甲状腺の超音波検査、血液中の抗甲状腺抗体検査が必要です。さらに必要に応じて放射性ヨード検査も行います。
萎縮性甲状腺炎や橋本病は疑わしい症状がでたとき、同様の検査をします。
治療
甲状腺ホルモン剤を内服します。萎縮性甲状腺炎の場合でも、骨年齢が大人になる前に治療すれば成長は回復します。橋本病もホルモン剤の服用で、健康な人と同様の日常生活が送れます。
家庭でのケア
クレチン症の場合は、薬を一生飲み続けなければならないので、飲み忘れないことと、薬の量が適切かどうか、ときどき血液検査で確認することが大切です。薬は適量を服用していれば、副作用の心配はありません。
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