尿崩症(にょうほうしょう)

どんな病気?

下垂体から分泌される抗利尿ホルモンが正常にはたらかず、体内の水分が尿になって、どんどん外に排泄されてしまう病気です。

症状


脱水状態になり、のどが渇きます。たくさん水分をとるのですが、尿になってどんどんでてしまうので、すぐにまたのどが渇きます。睡眠中も同様なので、何回も起きることになります。おねしょもよくみられる症状です。
 この病気になった子どもは、1日の尿量が、健康な子どもの3〜4倍くらいになることもあります。
 お母さんから母乳やミルクを与えられている乳児は、自分で水分をとることができないので、飲む量はふえないため、尿量がふえることはなく、発熱したり、ふきげんになることで発見されるケースが多くなります。また乳幼児期に発病すると、体の発育が遅れる傾向があるので、発育障害もこの病気を疑う材料の1つになります。

原因


脳腫瘍(「脳腫瘍」)や頭部の外傷、または遺伝子の異常で、下垂体から分泌される抗利尿ホルモンが減少して起こる場合(中枢性)と、腎臓に異常があって抗利尿ホルモンが正常にはたらかない場合(腎性)、緊張するとのどが渇き、水が飲みたくなるなど、精神的な問題で多飲多尿になる場合(心因性)の3つが考えられます。
 遺伝子に異常があって起こる場合は遺伝子病ですから、家族や親族に同じ病気が起こる可能性が高くなります。

検査と診断


糖尿病(「小児糖尿病」)などでも多飲多尿はみられますから、かならず尿検査と血液検査をして病気を特定します。
 検査には、以下の項目があります。
①1日の尿量を測定する、尿検査で尿の濃度(尿浸透圧)を調べる、血液検査で血液の濃度(血中浸透圧)を調べる。②水分をまったくとらない状態で、尿量の測定と尿浸透圧を調べる(水制限試験)。③抗利尿ホルモンを注射して、尿量が増加するかどうかを調べる。
 1日の尿量が2L以上ある、尿浸透圧が低いが尿糖はでていない、血中浸透圧が高いが血糖値は正常、という結果のときは尿崩症です。さらに②の検査で尿量が減少すれば心因性尿崩症、②では尿量は減らず、③で尿量が減れば中枢性尿崩症、減らなければ腎性尿崩症(「腎性尿崩症」)と考えます。

治療


中枢性尿崩症の場合は、抗利尿ホルモン作用があるデスモプレシンという薬を、朝と夜に点鼻します。この点鼻薬は、30分以内に効果が現れて、6時間以上の効果があります。
 腎性尿崩症には有効な治療法がありませんが、日常生活で水分を十分に補っていけば、生命に危険はありません。心因性のときは、カウンセリングが必要な場合もあります。

家庭でのケア


中枢性尿崩症は、デスモプレシンを一生点鼻し続ければ、ふつうと変わらない日常生活が送れます。
 腎性尿崩症の場合は十分に水分をとるようにし、心因性の場合は逆に水分をとりすぎないよう注意します。

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