小児糖尿病(しょうにとうにょうびょう)

どんな病気?


インスリンの分泌異常によりブドウ糖が代謝されず、血中にブドウ糖がたまって血糖値が高くなる病気です。

症状


糖尿病は、血糖値(血中のブドウ糖の濃度)の高い状態が続く場合をいいます。
 原因によって、つぎの3タイプにわけられます。
1型…膵β細胞が破壊されインスリンが分泌されない。小児の発症が多い。
2型…インスリンは分泌されるがききめが悪い。大人の糖尿病のほとんどはこの型。最近は子どもにもみられる。
そのほか…遺伝的にインスリン分泌に異常がある遺伝子病。起こるのはまれ。
 1型は症状が急速に現れます。血中浸透圧が上昇して血液濃度が濃くなるため、のどが渇き水分を多くとるようになります。高血糖自体にも利尿作用があるので尿量がふえ、脱水気味になって皮膚や唇が乾き、発熱します。
 よく食べるのに体重が減って、疲れやすくなります。それはブドウ糖がエネルギー源として利用できず、かわりに体内のたんぱく質や脂肪がエネルギー源に使われ、分解がすすむからです。
 悪化したり、ストレスなどで血糖のコントロールが乱れると、脂肪の分解がさらにすすんでケトン体という物質ができます。それが体内にたまると血液が酸性に傾き、糖尿病性ケトアシドーシスという状態になります。吐く息が甘くにおい(アセトン臭)、腹痛や嘔吐が起き昏睡状態におちいります。
 2型は肥満が目立ち、肥満以外に初期の自覚症状がほとんどない場合もあります。多くは学校健診などの尿検査で尿糖が陽性になり発見されます。
 2型でも糖尿病性ケトアシドーシスになることがあります。たとえば年長児が大量の清涼飲料水を飲んで意識障害を起こすことがあります。これも糖尿病性ケトアシドーシスでペットボトルケトアシドーシスなどと呼ばれます。

原因


1型は自己免疫疾患です。インスリンを分泌するのは膵臓のランゲルハンス島という器官ですが、ランゲルハンス島抗体という自己抗体をつくって膵β細胞を破壊し、インスリンの分泌をさせなくします。免疫異常がはじまってから糖尿病が発症するくらいまでインスリン分泌が低下するのに、数か月から数年かかるといわれます。
 2型はインスリンが不足したり、作用がさまたげられて、ききが悪いなどの原因で起こります。体質とともに、肥満が大きな原因です。

検査と診断


多飲多尿などの典型的な症状が急激にみられ、血液検査で高血糖が明らかであれば、まちがいなく1型で、それ以上の検査は必要ありません。
 学校健診などの尿検査で尿糖が陽性になった場合は、ブドウ糖液を飲んで、血糖の推移やインスリン分泌を調べるブドウ糖負荷試験を行います。インスリン分泌の反応が悪く、血糖の下がり方が鈍い結果がでたら2型を疑います。
 さらに高血糖がどのくらい続いていたかを調べるために、グリコヘモグロビンなどの糖化たんぱくを測定します。
 1型と2型の区別がつきにくいときは、ランゲルハンス島抗体などの有無を調べ、抗体が検出されれば1型です。

治療


1型はインスリン療法、食事療法、運動療法が治療の基本です。
 インスリン療法は、インスリン製剤を年齢や生活習慣に合わせて、1日に2~4回皮下注射します。8歳くらいになったら、子どもが自分で注射するようにします。食事の30分前にインスリンを注射しても食後の血糖値が高くなる場合は、ブドウ糖の吸収をゆるやかにするαグルコシダーゼ阻害剤という薬を併用することもあります。
 食事は原則的に制限しません。体格が標準なら同年齢の健康な子とほぼ同じカロリーと栄養を摂取します。ただ、肥満するようなら調整が必要です。
 運動は血糖値を下げます。しかしインスリン療法をしていて不用意に運動すると、低血糖(「インスリンの治療が必要な子は、低血糖への対策も重要」)になることがあるので、本格的な運動をするときは、血糖値を測定しながら行わなければなりません。高血糖の程度がひどいときは、運動はひかえます。
 2型は食事療法と運動療法が基本です。肥満があれば、主治医と相談しながら摂取カロリーを減らします。肥満でなくても栄養バランスを心がけます。
 運動は血糖値を下げ、また肥満の解消にも役立つので、主治医と相談しながら摂取カロリーの10%程度を消費する運動を毎日続けましょう。
 改善しないときは、経口血糖降下薬を服用しますが、運動によって低血糖が起こるので注意します。
 状態によっては、2型でもインスリン療法が行われるケースがあります。

家庭でのケア


治療を続けるのはたいへんですが、血糖値をじょうずに制御すれば、健康な子どもと同じ生活が送れます。コントロールが悪いと合併症を起こしやすいので、自己管理能力を子どもにつけさせ、学校など周囲の正しい理解と協力を得ることが大切です。

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