子宮の病気
●子宮筋腫
一般的には、筋腫が「握りこぶし大以上」なら手術が必要とされますが、大きさよりもむしろ、症状の程度で判断します。筋腫は小さくても、過多月経などの症状がひどく、貧血があるとき、筋腫が短期間のうちにどんどん大きくなっているとき、筋腫が不妊の原因と考えられるとき、卵巣腫瘍との区別がつきにくいときなどは、手術が必要です。
・筋腫核摘出術(保存的手術)
筋腫のこぶだけを切除し、子宮は残します。
・子宮全摘出術
子宮全体と病状によっては卵巣も摘出。妊娠・出産をのぞまない人や、子宮を取らないと健康回復がむずかしい場合などに行われます。
●子宮内膜症
ホルモン療法だけでは効果が上がらない、病巣が大きい、症状が日常生活に支障をきたすほど強く、薬などでも抑えられない場合など。
・保存的手術
子宮や卵巣の正常な部分を残し、病巣部だけを切除します。
・根治手術
強度の癒着がある人や、症状が非常に重く、保存的手術や薬による治療でも効果がない場合は、子宮と両方の卵巣を摘出することがあります。とくに進行した子宮腺筋症では、正常な子宮筋層と病巣との境界がはっきりしないため、子宮全体を摘出することが基本です。骨盤内に別の病巣があったり、強度の癒着がみられたりする場合は、両方の卵巣も摘出します。
●子宮がん
子宮頸がんの場合、これから妊娠・出産をのぞむ人で、ごく早期のがんなら、できるだけ子宮を残す手術を考えます。子宮体がんの場合は、早期でも多くの場合は子宮全摘手術になります。
・円錐切除術(子宮の一部を取る)
腟から子宮頸部の一部を特殊な電気メスなどで円錐状にくり抜きます。異形成の程度や頸がんの進行度を把握するための検査として行うこともあります。
・単純子宮全摘術(子宮全体を取る)
ごく初期の頸がんで、今後、妊娠をのぞまない人や、子宮筋腫などの病気を合併していて円錐切除ができない人が対象です。体がんの場合は、ごく初期なら可能ですが、通常は子宮や周囲の組織も取る手術になります。
・準広汎子宮全摘術、広汎子宮全摘術
がんの転移を防ぐために、子宮とともに子宮の周囲の組織も取ります。腟も病状に応じて一部を切除します。進行度によっては卵巣と卵管、骨盤内などのリンパ節を取ることもあります。
卵巣の病気
●卵巣嚢腫(卵巣腫瘍)
一般的には嚢腫が鶏卵大以上になったら手術が必要とされます。良性と考えられる場合でも、茎捻転を起こしたり破裂したりする心配があるためです(卵巣嚢腫の茎捻転に注意)。
・嚢腫核出術
良性の卵巣嚢腫は通常、病巣だけを切除し、そのほかの部分は残す手術を行います。
・卵巣摘出術
嚢腫が大きく発育している場合や、悪性の疑いが強いときに行います。嚢腫が大きく、癒着がはげしい場合や悪性の疑いが強いときは、卵巣と同時に卵管を摘出したり、場合によっては子宮も含めて両方の卵巣を摘出したりすることもあります。
●卵巣がん
卵巣がんとわかったら、卵巣を摘出することになります。早い段階で発見できれば、将来、妊娠、出産をのぞむ場合、片方の卵巣と子宮を残して手術をすることも可能です。進行度によって、両方の卵巣と卵管、子宮および周辺の組織を切除することもあります。
乳がん
手術は乳がんのもっとも一般的な治療法です。かつては乳房と胸筋を大きく切除する方法が主流でしたが、最近は、がんの広がりや進行の程度によっては、乳房を温存する手術も広く行われるようになってきました。また、リンパ節への転移がないことが確認されれば、リンパ節切除(郭清)を行わない術式も一部では採用されてきています。
・胸筋合併乳房切除術
乳房全体とリンパ節のほか、大胸筋、小胸筋も切除します。以前はこの方法がスタンダードでしたが、最近は病変が筋肉にまでおよんだ場合などにしか行われません。
・胸筋温存乳房切除術
胸の筋肉を残して乳房全体とリンパ節を切除します。
・乳房温存手術
がんの周囲を含めて、乳房の一部だけとリンパ節を切除する方法。リンパ節も最近はなるべく切除範囲を小さくするようになっています。
そのほかのおもな病気
子宮脱や膀胱脱、子宮内膜ポリープ、子宮の形態異常の手術、卵管や卵巣の周囲の癒着、卵管閉塞などが不妊の原因と考えられるとき、子宮外妊娠(妊娠初期のトラブルと対処法)での卵管修復、卵管切除などがあります。
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