子宮下垂・子宮脱(しきゅうかすいしきゅうだつ)

注意したい年代


50代、60代、70代~。

どんな病気?


 子宮下垂は、子宮が正常の位置よりも下がって、腟内に出てしまった状態です。子宮脱は、下垂がさらに進行した状態で、子宮体部の一部が腟内にとどまる不全子宮脱と、完全に脱出する全子宮脱があります。子宮の前方にある膀胱や後方にある直腸もいっしょに腟外に脱出することも多くあります(膀胱瘤直腸脱)。

かかりやすい人


 筋肉の力が弱くなる高齢の人に多くみられます。また、体質的な素因も関係します。

原因


 子宮を支える靭帯や骨盤底の筋肉が弱くなったために起こります。靭帯や筋肉が弱くなる原因としては、加齢のほか、妊娠や分娩によって腟や子宮を支えている組織がゆるんだことがあげられます。先天的な素因が関係する場合もあります。

症状


 子宮下垂では、下腹部の違和感や圧迫感のほか尿失禁がみられることもあります。子宮脱では、子宮が腟外に脱出しているために、脱出している部分がからだや下着に接触して非常に不快に感じます。頻尿になったり、排尿が困難になります。

治療


 ペッサリー挿入法と手術があります。どの治療法を選ぶかは、年齢や子宮の下がっている程度などによって異なります。ペッサリー挿入法では、ペッサリーを腟内に入れて、子宮の脱出を抑えます。この方法をつづけるには、1~2か月に1度診察を受ける必要があり、場合によってはペッサリーの交換をすることもあります。
 手術は、妊娠を希望しない場合は、子宮を摘出して腟壁を縫い縮める前後腟壁形成術、子宮を温存する方法としては、子宮頸部を切除して腟壁を縫い縮めるマンチェスター手術があります。高齢者で性生活のない人には、前後の腟壁を縫合するルフォー氏手術などがあります。

あなたへのひとこと


 産後は、産褥体操などでゆるんだ筋肉を引き締め、その後も肛門を引き締める体操をするなど、骨盤底の筋力が衰えないようにしましょう。性生活については、医師に相談します。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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