皮膚の病気(ひふのびょうき)

皮膚は、生命の維持に必要なさまざまなはたらきをしています


 皮膚は表皮真皮皮下組織からできています。皮膚はからだの表面をおおって、臓器を外界の刺激から守っている以外にも重要な役目を果たしています。たとえば、発汗によって体温を調節する作用。皮脂を分泌して皮膚をうるおし、弱酸性の膜をつくって細菌の繁殖を抑え、また発汗によって老廃物を排泄する分泌・排泄作用。そして触覚、痛覚、温冷覚を脳に伝える知覚作用などがおもなはたらきです。そのほか、免疫抗体をつくりだす作用もあります。
 また、軟膏などの有効成分や有害物質などの吸収をします。呼吸作用にもわずかですが貢献しています。

女性の皮膚は、ホルモンに大きく影響されます


 表皮のもっとも外側にある角質層では、新陳代謝がさかんに行われ、たえず新しい細胞と入れ替わり、古くなった細胞はあかとなってはがれていきます。新陳代謝の速度は、年齢とともに遅くなり、高齢になるほど角質がはがれにくくなり、皮膚が厚くなってきます。
 ふつう、男性にくらべて女性の皮膚がやわらかくきめが細かいのは、女性ホルモンの影響で、女性には皮下脂肪が多く製造され、皮膚に弾力を与えているからです。しかし年齢を重ねて女性ホルモンの分泌が減少し、それに応じて皮下脂肪が減ってくると、男性よりかえってしわができやすくなります。
 また、女性の場合、月経前ににきびしみ気になる「しみ」「そばかす」)ができやすくなります。月経の2週間ほど前から黄体ホルモン(女性ホルモンの一つ)と同時に男性ホルモンの分泌もさかんになりますが、男性ホルモンには、皮脂腺を活発化させるはたらきがあることから、にきびができやすくなるのです。妊娠すると、これが改善されるのは、妊娠時に多量に分泌される黄体ホルモンと卵胞ホルモンのうち、卵胞ホルモンが皮脂腺のはたらきを抑えるからです。
 しみが月経前にできやすくなる理由は、はっきりしていませんが、色素をふやすMSHというホルモンが、黄体ホルモンと関係すると考えられます。
 なお、ピルを服用すると、つねに黄体ホルモンが分泌されている状態になるので、にきびとしみ対策が必要です。
 石けんでていねいに洗顔して余分な皮脂を落としてにきびを予防し、こまめに日焼け止めクリームを塗って、紫外線から肌を守る注意をしましょう。
 なお、最近、仕事を持つ女性にふえているのが、ストレスが原因の円形脱毛症です。また、男性に圧倒的に多くみられたみずむしも、女性の社会進出で、1日じゅう、靴をはく機会がふえたことから、女性に急増してきました。

早めの受診が早く治す近道


 皮膚の病気は、気軽に自己判断して、勝手な治療をしがちです。その結果、回復を遅らせるだけでなく、悪化させることが少なくありません。早めに皮膚科で適切な治療を受けることが、あとなどを残さずにきれいに治すコツです。
 また、アトピー性皮膚炎乾癬など慢性の経過をたどる病気でも、気落ちすることはありません。医師の指示を守り、根気よく治療をつづければ、悪化させないで、うまくコントロールできます。とくに皮膚病の場合、食事や入浴、スキンケア、化粧、衣類など日常の注意が必要です。薬だけに頼らないで自分で治す努力をすることもたいせつです。
 なお、皮膚病にみられる発疹(皮膚のいろいろな病変)にはいくつか種類があります。
 丘疹は、直径5mmくらいまでのブツブツです。それより大きいものは結節といいます。水疱は、隆起した皮膚内に透明な体液がたまった粟粒大から数cmの大きい水ぶくれで、水疱が化膿して中に黄緑色の膿がたまるのが膿疱です。膨疹は、皮膚の部分的な浮腫で、赤く盛り上がり、かゆく、発疹は短時間で消えます。じんま疹がこれにあたります。は、赤や茶青などの皮膚の色の異常で、盛り上がりがありません。

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