急性腎炎症候群(きゅうせいじんえんしょうこうぐん)

どんな病気?


 おもに腎臓の糸球体(尿をつくるために血液をろ過するところ)が炎症を起こし、腎臓のはたらきを低下させる病気です。
 成人にもみられますが、5~16歳の子どもに多い病気です。

症状


 むくみ、高血圧、血尿が三大症状です。多くは、かぜや扁桃炎咽頭炎などの1~3週間後に発病しますが、皮膚の化膿、中耳炎(急性中耳炎)、副鼻腔炎などのあとに起こることもあります。突然、血尿がみられたり、足の向こうずねがむくんだり、まぶたが腫れたりします。全身の倦怠感やにぶい腰痛、食欲不振、吐き気をともなうこともあります。高血圧やたんぱく尿は、病院で検査をしてはじめてわかるのがふつうです。
 重症になると腎臓のはたらきが低下して尿量が急激に減少し、腎不全を起こすことがまれにあります。

原因


 おもに溶血性連鎖球菌溶連菌)という細菌の感染により起こります。溶連菌が上気道(鼻腔、咽頭、喉頭)などに感染すると、体内で溶連菌に対する抗体がつくられます。この抗体が菌と闘って結合すると、免疫複合体ができます。この免疫複合体が糸球体に沈着して炎症を起こさせたものです。
 最近では、感染症に有効な薬や上気道炎の発症予防の進歩で感染症は減少し、急性腎炎症候群の患者数も減ってきました。

治療


 特別な治療法がないため、安静と食事療法が主体になります。初期症状が強い場合は入院します。食事療法では、病気の程度に応じて水分、塩分、たんぱく質を制限します。細菌感染に対しては抗生物質を使い、高血圧やむくみには、降圧剤や利尿剤を用います。
 適切な治療を受ければ、多くの場合発病後2~3か月で症状が消えます。予後のよい病気で、子どもでは90%、成人では70%が完治しますが、残りは慢性化します。とくに年齢が高くなるほど慢性化しやすくなります。

あなたへのひとこと


 治癒後、学業や職場などへの復帰は医師の指示に従い、無理なく行うことがたいせつ。
 1年間ははげしい運動を避け、家事も家族で協力態勢をとります。性生活に制限はありませんが、妊娠の時期は医師と相談することが重要です(腎臓病と妊娠)。扁桃炎や咽頭炎にかかったら、再発防止のため尿検査を受けましょう。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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