赤ちゃんは、吐きやすい胃の構造をしています
大人は、吐くことなどめったにないので、子どもが吐くとそれだけで驚いてしまいます。しかし嘔吐は、赤ちゃんや子どもによくみられる症状です。とくに赤ちゃんは、おっぱいの飲みすぎや、ちょっとした体の動きなどでも吐くことがあります。
吐きやすい理由は、赤ちゃんの胃の構造にあります。
赤ちゃんの胃は大人とちがって垂直に近く、とっくりのような形をしています。しかも胃の入り口にある筋肉がまだしっかり締まっていないため、胃の中のものが逆流しやすいのです。
赤ちゃんの吐く原因で多いのは、おっぱいの飲みすぎです。吐いているのに体重はよくふえているときには、おっぱいの飲みすぎを疑ってください。
また飲んだあとにダラッと吐くのは「溢乳」といって心配のないものです。
ただし、授乳後しばらくたってからお乳を噴水状に吐き、体重のふえも悪いようなときは、幽門狭窄症(「肥厚性幽門狭窄症(幽門狭窄症)(消化器)」)を疑ってみなくてはなりません。

赤ちゃんの胃は、縦長です。そのため、おっぱいの飲みすぎやちょっとした体の動きなどでも、胃の中のものが逆流しやすいのです。
吐きやすい体質の子どももいます
1歳をすぎると、赤ちゃん時代のような心配のない嘔吐は減ってきますが、のどが刺激に敏感で、吐きやすい子どももいます。
大泣きしたときや、せき込んだときに吐くなど、なにかのはずみですぐに吐きますが、その後はケロリとしていて、変わったようすはみられません。
また、2歳すぎの子どもにみられるものに、周期性嘔吐症(「周期性嘔吐症(アセトン血性嘔吐症)」)があります。突然ぐったりして、はげしい嘔吐をくり返すので、お母さんはたいへん心配しますが、だいたいは1〜3日でおさまり、命にかかわるようなことはありません。
周期性嘔吐症は、精神的なストレスなどがきっかけで起こるといわれますが、なりやすい体質というのがあるようです。
ストレスからくる心因性嘔吐も
緊張や不安、ストレスなどが引き金となって、突然嘔吐することもあります。子どもによっては、嫌いなものを見ただけで嘔吐します。また食事や勉強など、お母さんのむりじいが原因で吐くことも少なくありません。(「心の問題と体のトラブル」)
学童期になると、嘔吐が不登校のはじまりの症状であることもあります。さらに思春期の女の子では、食行動障害(「思春期に多い食行動障害(摂食障害)」)の1つの症状として嘔吐がみられます。
これらの心因的な嘔吐は、「いやなこと」「いやなもの」を吐くことで表現しているのですから、親がまずそのことを理解してあげることが大切です。
主治医や小児心理の専門家ともよく相談して、子どもとの接し方をもう一度考えていきましょう。
嘔吐以外の症状をともなうときには、要注意
発熱や下痢などの症状がみられるときは、かぜ(「かぜ症候群」)やウイルスによる感染性胃腸炎(「感染性胃腸炎(感冒性胃腸炎・ウイルス性胃腸炎)」)など、病気による嘔吐を疑います。
嘔吐はまた、腸重積症(「腸重積症」)など、重大な病気の症状の1つとして現れます。
子どものようすがおかしいと感じたときは、全身状態をしっかり観察して病気の緊急性を判断します。
受診する
赤ちゃんの体重のふえが悪いとき
きげんや顔色がよく、嘔吐以外の症状がなくても、体重のふえが悪かったり、体重が減っているような場合には受診が必要です。
ほかの症状をともなうとき
発熱や下痢など、嘔吐以外の症状がはっきりと現れているときは、受診して病気の原因を確かめます。
至急受診
ぐったりしているなど、全身状態が心配なときは要注意
嘔吐のほかに、発熱や下痢、強い腹痛をともなって、はげしく泣いたり、顔色が悪いとき、またぐったりしているようなときにはただちに受診しなければなりません。
〈赤ちゃんの場合〉
たびたび嘔吐して、顔色が悪く、数分〜10分くらいの間隔をおいて腹痛からはげしく泣き叫ぶ場合には、腸重積症(「腸重積症」)が疑われます。
嘔吐と発熱があり、頭痛からはげしく泣き、意識がはっきりしない、けいれんを起こしたときは髄膜炎(「髄膜炎」)などが心配です。
〈幼児以降の年齢の場合〉
嘔吐のほかに、発熱、頭痛、けいれん、意識障害があるときには、髄膜炎や脳腫瘍(「脳腫瘍」)などが、またはげしい腹痛をともなう場合には、腸閉塞(「腸閉塞(イレウス)」)、食中毒(「食中毒による急性胃腸炎」)、虫垂炎(「虫垂炎」)などの病気が疑われます。
年齢にかかわらず、頭を強く打ったあとの嘔吐も、大至急受診してください。頭蓋内出血(「頭を打ったときの応急手当て」)の疑いがあります。
医師に伝えたいこと
吐く回数、吐き方(勢いよく吐くなど)
吐いたものの内容。緑色っぽい胆汁や血が混じっている場合はかならず伝える
顔色など全身の状態
頭痛、発熱、下痢など嘔吐以外の症状の有無
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