どんな病気?
腎臓に炎症が起こり、腎臓のはたらきが極端に低下した状態です。急激に腎機能が低下する急性腎不全と、長い経過をへて徐々に腎機能が低下する慢性腎不全があります。
急性腎不全
症状
突然、尿の量が減ったり尿が出なくなるため、血液中に老廃物がたまって食欲不振や吐き気、嘔吐などがみられます。また水分の排泄が悪く、体内に水がたまることで心臓や肺に負担がかり、高血圧や呼吸困難など尿毒症の症状がでてきます。進行すると意識障害となり、けいれんを起こしたり昏睡状態におちいるなど、生命にかかわります。高カリウム血症が急に起きると心停止して死に至ることがあります。
尿毒症は慢性腎不全や急性腎不全で、腎機能が正常時の10分の1以下に低下した状態をいいます。尿中に排泄させるべき老廃物が血中にたまり、嘔吐、下血、意識障害などが生じます。進行すると、透析療法が必要になります。また高カリウム血症は腎不全などで腎臓機能が低下すると、血液中のカリウム濃度が上昇したり、カリウムの細胞への移動が異常になるものです。心臓への影響がもっとも重大で、心停止を起こすこともあります。
原因
おもな原因はつぎの三つです。
(1) 腎前性急性腎不全 大量の出血や脱水症状で血圧が下がって起こるもので、熱射病や大きな外傷ややけど、心臓や消化器の手術後、出血多量による出血性ショックなどで発症します。
(2) 腎性急性腎不全 急性腎炎や急性腎盂腎炎(尿路感染症)、薬物中毒などにより、腎臓そのものの障害が原因で起こります。最近注目されているのが腸管出血性大腸炎O-157に感染して発病する重症の腎障害です。
(3) 腎後性急性腎不全 尿管や膀胱、尿道などに結石(尿路結石)や腫瘍など、尿の通過障害を起こす病気があると、尿の流れが止まって発症します。
治療
発病が急激で、数分、数時間、数日という単位で腎機能がダメージを受けます。そのため、早期に適切な治療を行わないと生命にかかわります。
入院して、原因となった病気の治療を行うのが基本です。急激に尿毒症を起こすケースが多いので、透析療法を行って、腎機能の回復をはかります。必要に応じて薬物療法も併用します。透析療法の普及で、死亡率は以前より減ってきています。治療が順調にいけば完治が期待できます。
慢性腎不全
症状
長期間にわたって徐々に腎臓のはたらきが低下していく状態は、この病気と考えたほうがよいのですが、一般には腎機能が正常の3分の2以下に落ちてからを慢性腎不全といいます。
初期はほとんど自覚症状がなく、夜間に排尿回数が多くなることで、はじめて気がつきます。やがて尿量が減ってきて、むくみ、全身倦怠、高血圧、吐き気、食欲不振、呼吸困難、アンモニアのようなにおいの口臭など、尿毒症の症状が現れてきます。重症になると意識障害が起こり、幻覚、けいれん、昏睡状態におちいります。
原因
大部分は慢性腎炎症候群、糖尿病性腎症です。
そのほか、女性に多い慢性腎盂腎炎(尿路感染症)やループス腎炎(女性に多いループス腎炎)なども原因となります。
治療
腎機能の回復はのぞめないため、腎機能が悪化しないよう、進行をゆるやかにするのが治療の目的になります。食事療法と薬物療法が中心で、たんぱく質は制限しますが、エネルギー不足にならないようにすることが基本。水分や塩分は状態に応じて制限します。
薬物療法では血圧を下げる降圧剤や尿量をふやす利尿剤などを使います。これらの治療で効果がみられないときは、透析療法を行います。
あなたへのひとこと
タバコに含まれるニコチンは、腎臓への血流量を減らして病気を悪化させるので禁煙を。食事療法は、医師と相談のうえ、減塩やたんぱく質などを調整した治療用特殊食品を利用します。果物類や野菜類は、カリウムを多く含むので、心停止の原因になることも。食べる量や調理法については栄養士に相談します。
ベビカムは、赤ちゃんが欲しいと思っている人、妊娠している人、子育てをしている人、そしてその家族など、妊娠・出産・育児に関して、少しでも不安や悩みをお持ちの方々のお役に立ちたいと考えています。
本サイトは、妊娠・出産・育児に関して、少しでも皆さまの参考となる情報の提供を目的としています。
掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。