神経痛(しんけいつう)

どんな病気?


 神経痛は、末梢神経の分布に沿って走る痛み(放散痛)です。電気が走るような鋭くはげしい痛みが突然起こり、数秒から数10秒つづきます。痛みのないときに、神経の走行する部位を押すと、同じように痛むのが特徴です(圧痛点)。
 骨の変形、神経周囲の炎症、腫瘍、外傷など、原因があって起こる場合を症候性神経痛、検査をしても原因が不明の場合を特発性神経痛といいます。
 一般に神経痛と呼ぶのは、後者で、痛みを起こしている神経の名称を冠します。代表的なのは、三叉神経痛、肋間神経痛、坐骨神経痛などです。

神経痛の人へひとこと


 ビタミン類の豊富な食事を心がけましょう。人によっては鍼灸療法や温泉療法が効果的な場合があります。

三叉神経痛


症状


 顔面に分布する三叉神経が刺激されて、顔面の片側がはげしく痛む神経痛です。多くは40歳代の人に起こり、女性にやや多い傾向があります。
 三叉神経は、脳から出てすぐのところで三つの枝に分かれ、第一枝はひたいから眉間に、第二枝は上顎部に、第三枝は下顎部に分布します。この神経の分布に沿って、刺すような、焼けるような痛みが突然起こります。
 痛みは、あくび、くしゃみ、ものをかむ動作が誘因になったり、冷風、冷水などが刺激になって起こることが多く、指が顔にふれただけで激痛が走るため、化粧もできないほどです。

原因


 多くは、三叉神経が脳から出てすぐのところで、蛇行した動脈に圧迫されて痛みを起こします。これまで特発性の三叉神経痛とされていたものの大部分が、このような原因で起こることがわかってきました。まれに腫瘍や脳動静脈奇形(動脈と静脈が直接つながっている病気。動脈血が、毛細血管を経由せずに静脈に流れ込むため、破裂しやすくなることがあります。手術などで治療します)などが、三叉神経を圧迫していることもあります。
 また、高齢者などの免疫力が低下した人に、帯状疱疹ウイルスが神経に入り込み、その後遺症として三叉神経痛が起こることもあります。

治療


 おもに抗てんかん剤を使います。局所麻酔薬を注入して、一時的に神経をマヒさせることで痛みをとる神経ブロック療法(ペインクリニック(麻酔科)がある医療機関で受けることができます)を行うこともあります。それでも痛みがとれない場合は、耳の後部を小切開し、神経を圧迫している動脈を神経から離す神経血管減圧術なども行われます。

あなたへのひとこと


 食事や歯みがき、会話など、日常生活に支障がでるような痛みは、がまんしないで、早く脳神経外科かペインクリニック(麻酔科)、神経内科を受診しましょう。
 抗てんかん剤は、痛みをとる効果が高いのですが、副作用がでたり、薬が手離せなくなったりする人もいますので、医師の指示どおりに使いましょう。


肋間神経痛


症状


 背中から出て、わきの下、胸の中央まで分布する肋間神経に沿って、刺すようなはげしい痛みが起こります。痛みは、せきやからだを動かすことで誘発されます。
 痛まないときに、背骨のすぐ横、わきの下、胸骨のすぐ横にある圧痛点を押すと痛みが起こります。

原因


 不自然な姿勢をつづけて起こる場合、変形性脊椎症などの病気(骨・関節・筋肉・腱・靭帯の病気)があって起こる場合、肋間神経が筋肉などにはさまれて起こる場合などがありますが、多くは帯状疱疹ウイルス感染の後遺症として起こります。
 帯状疱疹の場合は、肋間神経に沿って水疱ができ、胸や背中が痛くなります。体力が低下していたり、かぜなどの消耗性疾患のときに起こりやすく、とくに60歳以上の人に、治ったあとも神経痛として残ることがあります。

治療


 神経ブロック療法(局所麻酔薬を注入して一時的に神経をマヒさせることで痛みをとる方法で、ペインクリニック(麻酔科)がある医療機関で受けることができます)、高周波で神経の伝達を遮蔽する高周波熱凝固療法などによる治療が行われます。
 変形性脊椎症などの病気が原因のときは、その治療が必要です。
 きわめてまれに、腫瘍が肋間神経を圧迫して起こることがあり、手術が必要になります。また、狭心症、食道の病気などとの鑑別が必要です。

家族の方へ


 高齢者に起こる帯状疱疹では、水疱が出ないこともあります。高齢者がはげしい胸痛を訴えるときは、神経内科などを受診しましょう。


坐骨神経痛


症状


 片側の腰からおしり、もものうしろ側、ふくらはぎ、ときにはくるぶしにまで痛みが走る神経痛です。激痛の場合や、じわっとした痛みの場合もあり、せきやくしゃみ、からだを曲げる動作、寒冷などで誘発されます。
 痛みのほか、下肢にしびれや知覚の鈍麻(さわった感じがわからない)、歩行障害などをともなうこともあります。あおむけに寝て伸ばした足を垂直方向に上げようとすると、もものうしろにはげしい痛みが起こるのが特徴です。

原因


 坐骨神経は、腰からおしり、大腿後部、ふくらはぎにかけて走る太くて長い神経の一群ですが、多くは脊髄から派生する根もと(神経根)が圧迫や刺激を受けて起こります。
 原因として多いのは、腰椎の椎間板ヘルニア変形性腰椎症などですが、帯状疱疹、糖尿病などがあって起こることがあります。

治療


 整形外科か神経内科を受診します。痛む側を上にして横になるなど、もっとも痛みが少ない姿勢で安静を保ち、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤、抗けいれん剤などで治療します。また、痛む部位の負担を軽減するために牽引療法やコルセット、赤外線を照射する温熱療法などが行われることもあります。
 原因となる病気が見つかったときは、その治療も必要です。

あなたへのひとこと


 便秘が痛みを誘発することもあるので、便通を整え、痛みがないときは軽い運動をします。喫煙や刺激物の摂取を避け、足腰を冷やさないように気をつけましょう。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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