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たばこと飲酒 妊娠するための準備

この記事を監修したのは…

堀口 貞夫先生

元愛育病院院長・産婦人科医師

堀口 貞夫先生

元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い…

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2015.8更新

たばこが胎児に与える影響

〇妊娠中のたばこ

たばこには有害なものが多く含まれ、からだに悪影響を与えるということは理解している方も多いでしょう。妊娠中のたばこは、母体だけにとどまらずおなかの中の赤ちゃんにも影響を与える大きな問題があります。たばこに含まれているニコチンと一酸化炭素により赤ちゃんは低酸素状態になってしまいます。たばこの影響で赤ちゃんに栄養や酸素が十分に行き渡らないことにより、低出生体重児になる可能性が高まり、流産や早産のリスクなど次のような問題や危険をおなかの赤ちゃんに与えてしまいます。

<たばこが胎児に与える悪影響>
  • 早産
  • 流産
  • 発育の遅れ
  • 異常出産(前置胎盤、胎盤の早期剥離)
  • 低出生体重児
  • 乳幼児突然死症候群(SID)

妊婦が1日20本以上のたばこを吸った場合、喫煙していない妊婦にくらべ流産は約2倍、早産率は約1.5倍高くなると報告があります。「小さいとお産が楽と聞いた」と妊娠中もたばこを吸い続けるママがいますが、それは大きな誤りです。たばこを吸うことにより、おなかの赤ちゃんは酸素が行き渡らず息苦しさを感じています。おなかの赤ちゃんを守れるのは、母親であるあなたしかいません。妊娠中は必ず禁煙です。妊娠発覚後の禁煙は、ママのストレスになりがちになるため、赤ちゃんが欲しいと思ったら妊娠前にたばこをやめておくことが賢明です。

その他妊娠中でなくても、風邪が長引きやすい・呼吸器系の病気(慢性閉塞性肺疾患COPD)の原因となる・心筋梗塞や狭心症を起こしやすい・味の感覚が鈍くなる・肌の状態に影響する・歯肉炎や歯の黄ばみなど口の中の状態をわるくするなどがわかっていますし、これらは受動喫煙でも起こるのです。

〇受動喫煙

妊娠中のママがたばこを吸っていなくても、周りの人の喫煙状況により受動喫煙になることがあります。受動喫煙も同様におなかの赤ちゃんに悪影響を与える可能性があります。もしあなたのパートナーや同居の家族が喫煙している場合は、受動喫煙によっておなかの赤ちゃんが受ける影響を説明し、妊娠中のママが煙を吸ってしまわないように禁煙や分煙をしてもらいましょう。妊娠中、パートナーがあなたの前でたばこを吸わないように「胎児が受けるたばこの影響」を説明し理解してもらいましょう。妊娠をきっかけに家族みんなで健康のことを考え、たばこを卒業してもらうことをおすすめします。

飲酒が胎児に与える影響

ビールやチューハイの缶などに大きく「妊娠中や授乳期の飲酒が胎児に与える影響を与える恐れがあります。」と注意書きされているのを見たこと方も多いでしょう。妊娠中のママがアルコールを飲むと胎盤を通じてアルコールがおなかの赤ちゃんの血液に流れ込んでしまいます。機能が未熟な赤ちゃんにとってアルコールの影響はとても受けやすい状況です。妊娠中にママが飲酒した場合、胎児性アルコール症候群(FAS)の発症の恐れがあります。

胎児性アルコール症候群の主な特徴は、中枢神経の障害(過剰行動や学習障害など)、身体の発育遅れ、特徴的な容貌(小さい目、上唇の薄い、小頭症)などがあります。 それでは、どのくらいの量のアルコールをどのくらいの頻度であれば大丈夫なのでしょうか? 胎児性アルコール症候群(FAS)は母親がアルコール中毒の時に見られることがわかっていますが、妊娠中の飲酒がどの程度なら影響がないかについては残念ながら明確な答えはまだわかっていません。胎児性アルコール症候群やアルコールの胎児への影響の唯一の予防策は、妊娠中に飲酒をしないことです。妊娠がわかったら祝杯をあげたくなるかも知れませんが、ここはグッと我慢です。妊娠中、すでに飲酒をしてしまっているママは今日から気をつけましょう。

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