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夫婦で話し合っておきたいこと 妊娠・出産のタイミング

この記事を監修したのは…

堀口 貞夫先生

元愛育病院院長・産婦人科医師

堀口 貞夫先生

元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い…

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2015.8更新

妊娠を考えたら話し合いが不可欠

妊娠を考えるにあたって、まずは夫婦の気持ちにずれはないか、お互いの気持ちを伝え合える関係が築かれているかどうか、改めて見直してみましょう。

妊娠による夫婦の変化

妊娠するとこれまでのようにいかないことも増えてきます。つわりで家事ができなかったり、おなかが大きくなることで重いものが運べなかったり。ホルモンの関係で眠くなったり、だるくなったり、精神的に不安定になることもあります。そんなママのからだや気持ちの変化を自然に受け止められるよう、パパには妊娠中の体調の変化について事前に知っておいてもらいましょう。

パパの心の準備

妊娠中のからだの変化や胎動を感じるなどのために、どうしても先にママが親としての自覚をもつようになります。 パパにとっては、自分のからだが変化するわけではないので、それも当然のこと。 でも、パパにも赤ちゃんを授かって育てていくという気持ちを持ってもらうために、両親学級などを積極的に活用しましょう。ママから言われてもピンとこない、素直に受け止められないというパパも、専門家にアドバイスされたり、同じ立場のパパたちと話したりすることで自覚が芽生えるということもあるようです。

両親学級に出席しているパパからよく聞かれるのが、「妻を支えたいと思うけれど何をしたらいいかわからない」という意見だそうです。それに対して、多くのママが求めているのは、「まずは私の話をじっくり聞いてほしい、赤ちゃんを迎えるにあたっていろいろ話し合いたい」ということ。妊娠前に、これまで以上に夫婦で話す機会をもつといいですね。

セックスの問題

妊娠しても流産の多い時期(妊娠11週くらいまで)を過ぎれば、通常のセックスをすることにまず問題はありません。ただ、男性器についていた雑菌が、赤ちゃんを包んでいる羊膜に感染し、早産や流産を引き起こすというケースもまれにあるようです。また気になる場合は、コンドームをつけましょう。

気分的にも、ママの方は、プロゲステロンというホルモンが分泌されることで性欲が減退したり、おなかの赤ちゃんに差しさわりがないかということが気になったりすることも多いようです。夫側も胎児への影響が気になるほか変化していく妻の体へのとまどい、受け入れられないことへの失望があったりと、セックスを楽しめなくなる夫婦も少なくありません。後背位や女性上位など体位を工夫することも必要です。
子宮口が開き気味になったり、子宮頚管が短縮して、子宮の収縮が起こりやすくなったり、子宮口のうっ血、粘膜がやわらくなるなどで出血しやすくなったりすることもあるので、主治医の注意も守ってください。

産後はもとの2人に戻れるかというと、産後すぐのママは出産の疲れ、慣れない育児、睡眠不足、陰部の痛み……などや、授乳期のホルモンの変化で、プロラクチンが性的欲求を低下させるなどが重なり、性欲なんてまったくないという気持ちにもなりがちです。出産後は性交渉がもてると思っていた夫は、育児に一心不乱な妻とのギャップにとまどったり、気持ちがひいてしまったりする、という体験談もよく聞かれます。逆に妻側はスキンシップを求めているのに、夫側は母親となった妻をうまく受け入れられないということも起こり得ます。妻側からしたら、優しく肩を抱いてもらうなどは夫が自分を支えてくれていることを実感できるときであり、大事なことだと思います。

大切なのは、妊娠出産の時期には、大きく状況が変わり、どの夫婦にもこんな問題が起こることを知っておくこと。そして、そんなときでもお互いの気持ちを伝え合おう、と話しておくことです。

セックスは挿入、射精だけではありません。産後すぐのため挿入が怖いというときには、ボディタッチだけでも、お互いを思う気持ちでコミュニケーションを取れば、満足感が得られるはずです。慣れない育児で心身ともに疲労し、気持ちが不安定になっているとき、身近な人が抱きしめてくれるだけでどれだけ救われることでしょう。

赤ちゃんを迎え、夫婦でより支えあっていくために、素直にお互いの気持ちを伝えたり、相手にしてほしいことを求めたりできる関係を築いておきましょう。

夫婦で話していますか?

■専業主婦? 共働き?

現在働いている方は、妊娠・出産後も仕事を続けるかどうかも悩みどころです。続ける場合にはパパの協力は不可欠。保育園探しはますます難しい状況で、夫婦で情報収集して大切な赤ちゃんの預け先を見つける努力が必要です。また、双方の親ごさんから子どもを預けることについて、異論がはさまれることもあるでしょう。また育児休暇の制度も有効に使いたいものですが、そんなときに、お互い納得して自分たちの意見を伝えたり、育児休暇をどのように取るかなどをきめられるよう、よく話し合っておきましょう。

■親との同居? 別居?

妊娠出産を機にどちらかの親ごさんと同居する予定するという方、またはこれを機に親元から独立するという方もいるかもしれません。親ごさんと同居しての子育て、夫婦だけの子育てにもそれぞれメリット、デメリットがあります。妊娠前に、夫婦でどのような育児をしたいか考えてみてはいかがでしょう。

■障がいのある子を授かったら

目で見てわかる異常のある赤ちゃんは全体の約1%、その後にわかる心臓の疾患など目に見えない異常を含めると、赤ちゃんの5%は何らかの障がいをもって生まれてきます。これは、妊娠前や妊娠中の何かが原因ということではなく一定の割合で生まれるものなのです。妊娠・出産はあらかじめ考えるようなハッピーなことばかりではなく、異常やトラブルも起こり得ることなのです。重い事実を受け入れる必要も出てきます。 また、障がいのある子を授かることが一概に不幸なことだと言い切れません。効率や合理化ばかりを考える現代にあって、障がいを持つ子のペースを尊重しながらゆっくりと過ごすことで、豊かな時間を得られた、と親ごさんたちは話します。 また、赤ちゃん自身はどんなに大きな障害があったとしても今を懸命に生きているのです。命を授かることについて、育てていく責任について、両親となるパパとママでぜひ話しておいてもらいたい事柄です。

産後は、ママは子どものお世話が中心の生活になりがちです。でも、家族の基本は夫婦の関係を大切にすることから。問題に直面しても、話し合うことができる夫婦関係を築いておきましょう。

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