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妊娠に備えて体質改善 妊娠するための準備

この記事を監修したのは…

堀口 貞夫先生

元愛育病院院長・産婦人科医師

堀口 貞夫先生

元愛育病院院長、元東京大学医学部講師。妊婦が安心して、自分が納得のいくお産をするために、のべ4万人という妊・産婦をあたたかく見守ってきた。「妊婦のことを親身になって考えてくれる」と評判が高い…

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2015.8更新

からだを妊娠に近づけるためには?

体質や体型には個人差があり、とてもやせているけれど健康で妊娠に問題がない人、スポーツをして健康的に見えるけれど過度の運動で月経が止まっている人…と、何が健康かという一律の判断基準はありません。 しかし、妊娠を考えるからだづくりのために、一般的に気をつけたい事柄をご紹介します。

貧血

女性は月経があることにより貧血気味の人が多く、そのほとんどは鉄欠乏性貧血です。これは、鉄分の多い食事を心がけたり、睡眠不足などに気をつけることで改善できます。また、最近のマラソン人気により、足底への衝撃による溶血で貧血になる例も増えてきているようなので、貧血気味といわれる人は過度の運動に注意が必要です。 生活に支障をきたすほどの立ちくらみ、めまいが起こる場合は、生活習慣による貧血とは異なる、何かほかの病気が原因であることも考えられるので、女性に貧血はつきものと軽く考えずに、内科、産婦人科を受診しましょう。

ダイエット

過度なダイエットはホルモンのバランスを乱し、体脂肪率が極端に下がった場合、月経が止まるなどの障害も出てきます。 妊娠中の体重増加については、一律○キロまで、というように厳しく指導されていた時期もありましたが、最近では妊娠前のその人のBMI(ボディ・マス・インデックス <体重(kg)/身長×身長(m)>)を参考に、経過をみることが多くなりました。一般に、妊娠前にBMIが低い(やせぎみ)の方は妊娠中の体重増加率が大きく、逆にもともとBMIが高い人は体重増加が小さい傾向にありますが、およそ妊娠中を通して5〜10kgが目安です。

冷え

女性にとって「冷え」は大敵。血行が悪くなると、月経不順などの障害が起きやすくなります。以下の対策を心がけましょう。

寒い時期には万全の防寒対策を心がけ、特に腰まわりや下半身、首を温めるようにしましょう。寒いからといって部屋の温度を上げても、上半身だけ温まっていては逆効果。下半身を温めることを心がけましょう。就寝中には、湿度を与えながらからだを温めてくれる、昔ながらの湯たんぽがおすすめです。

夏こそ冷えやすい時期かもしれません。特に働いている人は、スーツを着た男性に合わせた室内の温度設定の環境で、震えながら仕事をしている場合も多いのではないでしょうか。エコの観点から言っても、このような状況は改善されていくべきですが、当面の対策としては、足首を冷やさないようひざ掛けを使う、ソックスを履くなどの工夫が必要です。帰宅後の足湯も効果的ですね。

また、食事でからだの中から温めることも大切です。からだを温めるとされる根菜類、しょうがなどを多く取り入れた食事を増やしましょう。しょうが入りの葛湯などでリラックスしながら温まるのもいいですね。

服装・下着

からだを締めつける下着やガードル類は、血行不良を招くだけでなく、むくんだり、からだがゆがんだりと、本来の体型維持にも実は逆効果です。特に月経中は、足の付け根や腹部をしめつけない服装にするとからだが楽になるはずです。

ストレス

過度なストレスは女性のからだに影響を及ぼします。日常のストレスで参っている、という人は、1日に1回、たとえ5分でも、自分が心からホッとできる時間をもてることを探してみましょう。おやつの時間にいただくおいしいチョコレートでもいいですし、帰宅途中に見かける犬と少し遊んでみること、自然を感じることなど何でもいいのです。 産後は、思うようにならない育児生活でストレスがたまりやすくなります。そんなときにも、自分の心とからだをゆるめる方法を知っておくと心強いものですよ。

ストレッチ

日々の生活で受ける精神的な緊張や、ヒールの高い靴、座りっぱなしの仕事…などで、女性のからだは固くなりがち。毎日少しずつでいいので、固くなっている関節や筋肉を伸ばすストレッチをすることで、からだは確実に変化してくれます。といっても、特に専門の本を読んで体操を覚える必要はありません。誰もが経験のある「ラジオ体操」は、全身をまんべんなく動かす優れた体操だといわれています。普段使わない筋肉を意識しながら、呼吸に合わせてゆっくりと動く「フェルデンクライス メソッド」は、妊娠していない時でも始めやすいでしょう。

歯周病

歯周病とは、歯を支える組織のまわりに歯垢(プラーク)が入りこむことで炎症がおき、歯の土台となる骨を溶かしてしまう病気です。症状としては、歯みがき時の出血、ハグキの腫れ、口臭、口の中の粘つき、などがあります。 女性にはあまり縁のないイメージがある方もいるかと思いますが、実は妊娠中の唾液の変化によって女性は歯周病になりやすく、またそれが影響して赤ちゃんが早産による低体重児になるリスクも報告されています。妊娠中はつわりで歯みがきが十分にできなかったり、歯周病が好むホルモン分泌が増え、どうしても歯周病になりやすい状況となります。パパやママが歯周病だった場合、スプーンを使った口移しなどで赤ちゃんに歯周病菌がうつってしまう恐れもあるので、産後も注意が必要です。 妊娠前、「もしかして歯周病かも?」と思ったら、赤ちゃんを授かる前に歯の治療をして、日頃の歯みがきなどのケアの方法を歯科衛生士さんに聞いておくことをおすすめします。

【持病などがある場合の薬の服用】

持病がある場合の服薬について、妊娠を考えるうえで気をつけたいことをご紹介します。

女性側の服用

ぜんそく、花粉症などのアレルギーや持病の薬を日常的に服用する必要がある場合、かかりつけの医師にその薬を飲みながら妊娠を考えてもいいかどうか、また妊娠中に服薬が必要になった場合、飲める薬はあるかどうか確認しておきましょう。大きな病院には「妊娠と薬の外来」というような名称の、妊娠中の薬に関する専門科があります。たとえば東京都では、国立成育医療センター(世田谷区)<妊娠と薬情報センター>、虎の門病院(港区)<妊娠と薬の外来>、聖路加国際病院(中央区)<妊娠と薬相談クリニック>等があります。検索して身近な病院を調べてみましょう。

妊娠の直前までピルを飲んでいた場合、胎児に影響があるのではと心配される方がいます。ピルは排卵を抑える薬ですが、妊娠したということは、ピルの作用がなくなって排卵したからです。もしピルの持っているホルモン作用が、胎児に影響するほどの強さで残っていたとしたら、排卵、受精、着床も妨害されてしまうので、胎児への影響はないでしょう。

男性側の服用

一方、男性側が服薬しているときに妊娠した場合の影響は?  薬を飲むと、その成分が溶け込んだ血液は全身をめぐり、当然精巣にも届きます。しかし、薬は精子に影響を与えることはありません。仮に精子の頭にあるDNAに影響したとしてもその精子は、女性の腟に射精された後、長い距離を泳いで卵管で待っている卵子まで行き、更に卵子の厚い膜をこじ開けて遺伝情報の載った染色体を届けるという仕事をキチンとやり遂げなければならないのです。これが出来なければ授精できないということですから、服薬中の男性との性交で妊娠しても心配することはないでしょう。ただ妊娠率はちょっと低くなる可能性は考えられますが、「この薬を飲んでいると妊娠率が3分の2に下がる」などというデータは揃っていませんので「可能性がある」という程度のことしか言えません。

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