全身状態や、ほかの症状の有無、腹痛の程度などをまずチェック
おなかが痛くなる子どもの病気は、腸重積症(「腸重積症」)など重大な病気から、放っておいても治ってしまうものまで、いろいろあります。緊急を要する病気かどうかを知るには、まず全身状態のよし悪しをチェックすることです。
また便のようす(便秘や下痢の有無、便に血が混ざっていないかなど)や、発熱、嘔吐といった腹痛以外の症状も、重要な観察ポイントになります。
痛みをきちんと訴えられる年齢なら、子どもに痛む場所や、痛み方なども聞いておきましょう。
ストレスが原因で起こる腹痛の多くは、おへその周辺が痛むものです。おへそから離れた場所が痛むときは、病気である可能性が高くなります。
赤ちゃんや幼児の腹痛のサイン
おなかの痛みをきちんと伝えられるようになるのは、4~5歳ころからです。それまでは、胸痛でもポンポン痛いと訴えることがあるので、お母さんはきちんと見分ける必要があります。
つぎのようすがみられるときは、腹痛のサインであることが多いものです。
〈赤ちゃんの場合〉
①おっぱいもほしがらず、足をおなかに引きつけるように縮めて泣く。
②おなかをさわると、泣き方がいっそうはげしくなる。
③強い腹痛のときは、顔色が青ざめる。
図「赤ちゃんの腹痛」
赤ちゃんが、足をおなかにひきつけるようにしてはげしく泣くようなときは、腹痛を訴えていることが多いので、注意深く観察を。
〈幼児の場合〉
①顔色が悪くなり、ぐったりとして、ふきげんで泣いてばかりいる。
②はげしい腹痛のときには、青い顔をして、おなかをかがめて痛がる。
心配のいらない腹痛もあります
腹痛以外に症状がなく、顔色や顔つきもいつもと変わらない、食欲もあるといった場合には、大きな病気の心配はまずありません。
3か月ころの赤ちゃんが、夕方になると突然はげしく泣きだしてミルクを飲もうとしない場合でも、発熱や嘔吐、下痢もなく、顔色がよいときは「3か月コリック」のことが多いものです。原因ははっきりしませんが、おなかにガスがたまるせいで泣くのではと考えられています。1~2か月もすれば自然になくなっていきます。
5歳くらいまでの子どもにみられる「反復性腹痛・反復性臍疝痛」(「反復性腹痛・反復性臍疝痛」)は心配のいらない腹痛の1つです。
また、学童期からは、心の悩みや不安から起こる、心因性の腹痛(「心の問題と体のトラブル」)もみられるようになってきます。
いずれの場合も、腹痛以外にこれといった症状がなく、ようすをみるうちにケロリと治ってしまうのが特徴です。
多くみられるのは、便秘、かぜ、ウイルス性胃腸炎による腹痛
年齢にかかわらず、急な腹痛は単なる食べすぎや便秘であることも少なくありません。鼻みずやせきなど、かぜの症状が起きている場合は、かぜが原因の腹痛であることも考えられます。
このほか、赤ちゃんや小さな子どもでは、ウイルス性胃腸炎(「感染性胃腸炎(感冒性胃腸炎・ウイルス性胃腸炎)」)も多くみられる病気です。
受診する
腹痛がおさまらないとき
全身状態がよいときには、しばらくようすをみますが、腹痛がおさまらない場合は念のため受診します。
また受診後でも、腹痛がひどくなるときは、もう一度受診してみましょう。
腹痛以外の症状があるとき
嘔吐や発熱、下痢などの症状があれば、受診して病気の原因を確かめます。
至急受診
顔が青ざめて、はげしい腹痛があるときは、要注意
顔が青ざめて、ぐったりしていたり、はげしい腹痛で苦しむようなとき、また猛烈な痛みに加えて発熱やはげしい嘔吐・下痢があるときなどには、つぎのような病気が考えられるので、一刻も早く病院で処置してもらわなければなりません。
〈赤ちゃんの場合〉
腸重積症は、数分~10分間隔で起こるはげしい腹痛と嘔吐が特徴で、血便がでることもあります。
鼠径ヘルニア(「鼠径ヘルニア」)のある赤ちゃんが、はげしく泣いて、鼠径部がふくらんだまま引っこまない場合は、嵌頓(腸が引っこまなくなり、腸管の根元が締めつけられて、腸閉塞の状態になる)を起こしている疑いがあります。このようなときには、顔色も青ざめて、ぐったりして吐いたりします。
いずれも緊急性のある病気です。時間がたつほど、治療が困難になるので、一刻も早い受診が必要です。
〈幼児以降の年齢の場合〉
はげしい腹痛に嘔吐があるときは、腸閉塞(「腸閉塞(イレウス)」)が、下痢をともなうときは食中毒(「食中毒による急性胃腸炎」)が疑われます。
先天性胆道拡張症(「先天性胆道拡張症(総胆管拡張症)」)では、突然、上腹部にはげしい痛みが起こります。しだいに腹痛がひどくなり、おなかをかがめないと歩けないようなときには、虫垂炎(「虫垂炎」)のおそれがあります。
医師に伝えたいこと
いつから痛がっているか
顔色など、全身の状態
発熱、嘔吐など腹痛以外の症状の有無
便の状態(下痢、便秘など)や便のようす
痛む場所はどこか(どこをさわると痛がるか)
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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。