どんな病気?
発生のしかたには、2種類あり、一つは慢性萎縮性胃炎(慢性胃炎)を基礎として高齢者に多く発生するもの、もう一つは遺伝的要素が強く、炎症性の病変にはあまり関係のないものです。後者の場合は、むしろ若いときに起こりやすく、発見しにくいうえに治りにくいのが特徴で、胃全体(内腔側)がかたく腫れあがるものをスキルス(硬性がん)と呼びます。
●早期がん
胃がんは、胃壁のもっとも内側(内腔側)にある粘膜にでき、しだいに外側の漿膜をおかしていきますが、がんの進行が粘膜下層までであれば早期がんといいます。胃全体のどれくらいをがんにおかされているかではなく、胃壁のどの層までおかされているかが、早期がんと進行がんの区別のめやすになります。
早期がんはゆっくり進行し、この段階で適切な治療を受ければ、ほぼ100%完治します。
●進行がん
早期がんは数年かけて増殖をつづけますが、ある程度進行して粘膜下層におよぶと、増殖のスピードがぐんと速まり、さらに外側へ浸潤していきます。これを進行がんといいます。粘膜下層には、たくさんの静脈や、リンパ節につながるリンパ管が通っているので、周囲の組織への浸潤やほかの臓器への転移の心配がでてきます。
症状
初期は症状がありません。しかし、まったく自覚症状がないわけではなく、ある程度進行すると、胸やけ、げっぷ、おなかの張り、上腹部の痛み、食欲不振、便秘、空腹時の不快感や痛みを感じるようになります。
これらの症状は、がんでなくてもよくみられるもので、はっきりとした症状として現れることもありません。それが早期発見をむずかしくしています。
同じ胃がんでも、わかりやすい症状がみられるのは、食道に近いところの噴門部にできたがんです。この場合は、食べ物が通りにくくなり、食べると吐いてしまいます。
がんが進行するにつれて、最初はわずかにしかみられなかった症状がひどくなり、ときに吐血や下血がみられ、体重が減ってきます。貧血(鉄欠乏性貧血)や血便がみられたり、おなかをさわるとしこりが感じられたりします。
原因
頻繁に胃粘膜を刺激することが原因につながりやすいといえます。アルコール、タバコ、塩分の濃い食品(漬物、塩辛、佃煮など)、焼き魚の焦げた部分、魚の燻製、かたい米飯などが胃粘膜を刺激すると考えられています。
さらに、胃の中に鞭毛を持った細菌(ヘリコバクター・ピロリ=ピロリ菌)がいて、これが発症に深くかかわっているとも考えられています。日本人には、この細菌に感染する人が多くみられます(胃の病気とピロリ菌)。
検査と診断
X線検査、内視鏡検査などを行いますが、X線検査では凹凸など、ひだのある変化しかわからないので、内視鏡検査のほうがはるかにすぐれています。検査によって診断し、治療方法を決めます。
治療
がんが早期で小さいなら、内視鏡を入れて、その粘膜の一部をはがし取る処置をします。内視鏡の一部にワイヤー状の機械を入れ、レーザー光線を照射してがんを破壊することもあります。また、レーザーのかわりにマイクロ波、高周波電流などを流し、がん細胞を固める凝固療法などを行うこともあります。
これに対して、がんの範囲が広い場合や、進行がんであるようなときには、手術が基本となります。
がんが胃体部より下か胃角や幽門部にできたときは、胃を少し残して切除手術を行いますが、上のほうにできたときは、胃を全部取らなくてはなりません。ただし、この場合は、消化吸収が悪くなります。胃は少しでも残っていたほうがよいのです。
がんが胃角や胃体部の下のほうにできたときは、そこから下を切除して十二指腸につなぐ手術をします。
定期検診
早期発見のためのがんの定期検診は、できれば半年に1回の割合で受けます。半年に1回であれば、がんが小さくて、良性かどうか判断がつかなかったり、万一、見落としがあったとしても、さらに半年後の検診でチェックできるので、早期発見につながります。年1回だと、見落としがあった場合、つぎの検診のチャンスはさらに1年後になるので、実質的には2年に1回の検診と同じになってしまいます。
また、検査は病院をあちこちと変えて受けるより、同じ病院で検査することがたいせつです。同じ病院で検査を受けていれば、過去の検査結果と見比べることができ、それが診断に役立つことがあります。
慢性胃炎、ポリープ(胃の良性腫瘍)、消化性潰瘍をわずらったことのある人は、それらががん化する可能性もあるので、定期検診は欠かさず受けるようにしましょう。
あなたへのひとこと
胃を切除すると、腸が胃のかわりとしてはたらくことになります。しかし、腸が胃とまったく同じはたらきをしてくれるわけではなく、ビタミン
すべての人に起こるわけではありませんが、症状がではじめたら、医師に相談しましょう。鉄剤やビタミン
再発の可能性は、がんの進行の程度によって変わってきます。しかし、もし再発してもごく早い時期であれば、再手術することは可能です。また抗がん剤による化学療法や免疫療法の効果がみられることもあります。術後も定期的な検診を受けることが大事です。
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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。