心不全(しんふぜん)

どんな病気?


 心臓は、心臓自体を含め、全身の内臓や組織に血液を送っていますが、心臓が弱って必要な量の血液を送り出せなくなった状態を心不全といいます。心臓が十分に血液を送り出せなくなると、血液が滞る(うっ血)ので、「うっ血性心不全」とも呼ばれます。症状の現れ方によって、急性心不全、慢性心不全に分けられます。

急性心不全


 血液が流れず、心筋がはたらかなくなる心筋梗塞などの急性の病気が原因となって、それまで症状がなかった人に呼吸困難などの心不全の症状が現れるものです。緊急入院が必要で、酸素投与、利尿剤や強心剤、血管拡張剤の点滴治療を行います。

慢性心不全


 弁の動きが悪くなる心臓弁膜症や心筋の収縮力が低下する心筋症などが原因となって心臓のはたらきが低下し、運動時の動悸、息切れ、呼吸困難や足のむくみなどの症状が慢性的に持続するものです。この場合は、利尿剤や強心剤の内服治療、運動治療(リハビリテーション)などで症状を軽くする対症治療を行います。
 ただし、症状が軽く、安定していた慢性心不全の人に、なんらかのきっかけで急に呼吸困難などの症状が現れることもあり、この場合は急性心不全と同様、入院治療が必要です。
 また、心不全は、左心室と右心室のどちらかのはたらきがおもに低下するかによって、左心不全(左心室のはたらきが低下する)と、右心不全(右心室のはたらきが低下する)に分類することができます。

症状


 つぎの三つに大別できます。

●肺うっ血症状


 左心不全では、左心室から血液を送り出すはたらきが悪くなるので、その手前に位置する左心房や肺静脈に血液の停滞(うっ血)が起こります。肺うっ血が起こると、吸い込んだ酸素が肺から血液中に十分に入っていかないため、血液中の酸素濃度が低下して呼吸困難が起こります。
 夜間、寝入ってから呼吸困難が起こりますが、この場合、横になると息苦しく、すわっているほうがらくで、これを起坐呼吸といいます。

●体静脈うっ血症状


 右心不全では、右心室の手前に位置する右心房や、全身から心臓へもどる静脈(体静脈)にうっ血が起こります。そのため、むくみや、おなかが張った感じ(腹部膨満感)がみられます。

●心拍出量低下症状


 心臓が全身に送り出す血液量を心拍出量といいますが、心臓のはたらきが悪くなると、心拍出量が減少します。そのため、手足が冷える感じや皮膚の蒼白、冷や汗、尿量の減少が現れます。これは左心不全、右心不全に共通する症状です。

原因


 心不全の分類と症状、原因、治療法を参照。

検査


 胸部X線写真、心電図、超音波、必要に応じて心臓カテーテル検査を行って、心不全の原因をつきとめ、心不全の程度を診断します。

治療


 治療の基本は、低下した心臓の機能を回復させることです。心筋が十分に収縮して、全身の内臓器官に血液を滞りなく送り出せるようにするための、薬物治療が中心になります(心不全の分類と症状、原因、治療法)。

あなたへのひとこと


 心臓に疾患のある人は、かぜなどの感染症が心不全の誘因になるので、感染した場合には、早期治療がたいせつです。
 また、心不全の治療を受けている場合には、ほかの病気にかかったとき、かならず治療中であることを医師に伝え、内服中の薬を提示してください。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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