内用薬、外用薬のじょうずな使い方
内用薬には錠剤、カプセル剤、粉薬(散剤)などさまざまな種類があり、こういった薬の形状のことを「剤形」といいます。体内で吸収されやすいように、それぞれくふうされていますが、人によっては「粉薬だとむせてしまう」など苦手な剤形もあるようです。
そんなときは医師や薬剤師に相談を。粉薬を錠剤にするなど、剤形の変更ができる場合もありますし、市販の「嚥下用ゼリー」を使うなど、飲みやすくするアドバイスをしてくれるでしょう。
外用薬では、塗り薬や貼り薬のように皮膚に用いるもの、点眼薬・点鼻薬・点耳薬や坐薬のように粘膜に用いるものがあります。
ここでは内用薬、外用薬の剤形別に、使い方の注意を説明していきましょう。
内用薬
錠剤
薬を一定の形状に圧縮したもので、飲みやすく、携帯に便利です。表面になにも加工していない素錠、表面を糖でおおった糖衣錠、溶ける時間や部分が計算された二層錠や腸溶錠(通常の薬は胃で溶けるが、これは腸に達してから溶けるようにした薬のこと)などがあります。薬が効率よく作用するよう調整されているので割らないで飲みます。最近は、高齢者や幼児向けにチュアブル(咀嚼錠ともいい、水なしで、かんで飲める薬のこと)もあります。
カプセル剤
ゼラチンなどでつくられたカプセルに薬を充填したもので、苦みやにおいの強い薬を飲みやすくします。錠剤同様、カプセルをはずしたり、かみくだいたりしないで、そのまま飲みましょう。
粉薬・顆粒剤
粉薬は薬をそのまま粉状にしたものです。用量をきめ細かく調整でき、吸収が速い、錠剤やカプセル剤を飲み込めない乳幼児や高齢者にも使えるといった利点があります。
顆粒剤は粉薬の飛び散りやすさを改良し、香りや甘みをつけて飲みやすくしています。体内で溶ける時間を調整しているものもあるので、口の中で溶かさず、そのまま飲むようにします。
シロップ剤
薬を水やアルコールで溶かした液状の薬で、甘みや香りがついたものが多く、飲みやすくなっています。からだへの吸収が素早いというメリットもあります。飲む前に容器をよくふったほうがいいものと、ふらないほうがいいものがあります。使用方法をよく確認しましょう。
その他
錠剤の仲間ですが、舌の下側に入れて溶かす舌下錠、奥歯とほおのあいだに入れるバッカル錠、口中の炎症部分に付着させる挿入錠、なめて溶かすトローチ錠などがあります。また、連続して服用せず、症状がでているときだけに飲む、頓服薬もあります。
外用薬
坐薬
肛門や腟に挿入して使う薬です。胃や肝臓などの消化器を通らないで吸収されるため、吸収が速く、食事の影響を受けず、薬効成分の分解も避けられるという利点があります。胃腸障害を起こすおそれのある薬や、味の悪い薬の服用にも適しています。また、吐き気があるときや、うまく薬が飲めない乳幼児や高齢者にも適しています。
痔の治療薬や下剤など局所に作用する薬と、解熱鎮痛剤や抗けいれん剤のように全身に作用する薬があります。
塗り薬
皮膚に直接塗って使用する薬で、軟膏、クリーム、ローション、ゲルなどのタイプがあります。湿疹、かぶれなどの皮膚の炎症を抑えるものがおもですが、ほかに筋肉や関節の痛みを抑えるもの、胸に塗ってぜんそく(気管支ぜんそく)や狭心症の発作を抑えるものなどもあります。
塗り薬は量や使用回数が適当になりがちですが、勝手に使用量や回数をふやしたり、やめたりしないようにしましょう。
貼り薬
打撲やねんざのときに貼る冷湿布や温湿布がおもなものでしたが、現在では筋肉や関節の鎮痛・炎症に効果的なインドメタシン剤やステロイド剤、狭心症予防のための貼付剤などもあります。
薬効成分を皮膚から吸収するので、胃腸に負担をかけないという利点がありますが、皮膚が弱い場合は使用できないこともあります。
吸入薬
液剤を口の中にスプレーして吸い込む薬で、ぜんそくの発作止めに使う気管支拡張剤が代表的です。使用回数のほか、吸入用アダプターの使用方法、使用後の洗浄のしかたなどをよく聞いておきましょう。
うがい薬
口の中やのどの炎症を抑えるために使います。液剤や錠剤、顆粒剤などがあり、水で薄めて使います。薬によって、溶かす割合がちがうので気をつけましょう。うがいの回数も守るようにします。
点眼薬
目の粘膜に滴下して吸収させる薬で、1~2滴で十分効果があります。容器の先から雑菌が混入しやすいので、点眼するときは容器がまつ毛につかないように注意しましょう。薬の変質を防ぐため、光を遮断する袋に入っていることもあります。その場合は、袋に入れた状態で冷暗所で保存してください。
点鼻薬
鼻の中に滴下したり、スプレーで噴霧したりして使う薬です。子宮内膜症治療薬などのホルモン剤、アレルギー性鼻炎などの抗ヒスタミン剤、抗炎症剤などがあります。
点耳薬
中耳炎や外耳炎などの炎症をしずめたりするために、耳の中に滴下する液剤です。横向きに寝て6~10滴を点耳し、約10分間そのままの姿勢で安静にします。薬の温度が低いとめまいを起こすこともあるので、冷蔵庫で保管しないなどの注意が必要です。
薬の保存のしかたと保存期間
薬の保存法と保存期間は、薬の種類によってちがいます。
貼り薬などのインドメタシンのように、遮光が必要で暗所に保存するもの、坐薬のように冷所(冷蔵庫など)に保存するものなど、薬剤師などから保管方法の指示があれば従います。
とくに指示がない場合も、直射日光や高温多湿を避けて保存するのが原則です。窓の近く、台所、暖房器具のそば、車の中などに置かないようにしましょう。
また、紙に包んである薬は湿気の影響を受けやすいので、乾燥剤といっしょに缶などに入れて保存します。小さな子どものいる家庭では、薬を子どもの手の届かないところにしまうことも大事です。
保存期間は、最近は薬の容器などに印字されていることが多いので、それをめやすにします。処方薬の場合は、病気が治ったら保存期間(使用期限)内でも廃棄し、勝手に再使用しないようにしましょう。
剤形別の薬の種類と使い方の注意についてもっと知る
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