アレルギーが起こるしくみ
アレルギーとは、ある物質に対して、人並み以上に過敏に強く反応し、その結果、体にとって不快な症状が起こることです。たとえば、春先の花粉が飛ぶ季節になると、鼻汁がたえず流れ、涙が止まらなくなる子どもがいます。一方、同じ空気を吸っていても症状がでない子どももたくさんいます。前者のように、花粉に対して過敏に反応する場合がアレルギーなのです。
私たちの体は、外部から自分の体以外(非自己)の異種たんぱく(アレルギーの原因となる抗原)が侵入すると、それを排除して抗体をつくり、生体を守ろうとするはたらきがあります。これを免疫といいます。ところが再び抗原が侵入し、免疫反応が過剰に起こると、涙が流れる、鼻みずがでるなどの不快なアレルギー症状を現します(「抗原・抗体」「免疫反応」)。
素因がある子どもがアレルギーを起こす
なぜかぎられた子どもだけがアレルギーを起こすのか、その原因はまだはっきりしていません。ただ、両親にアレルギーがあると、子どももアレルギーを起こしやすいことから、遺伝的な要素があるのではないかと考えられます。これをアレルギー素因といいます。
たとえば、アトピー性皮膚炎の子どもの皮膚は、ほかの子どもよりザラザラしています。生まれつき皮膚の外側の層である角質の脂質や水分を保つ力が弱く、機能も低下しているからです。これが素因になって、外界の物質が簡単に角質を通過して体に入り、アレルギーを起こすと思われます。
しかし、一卵性双生児で遺伝子が同じなのに、一方にアレルギーがでて、もう一方にでないことから、このようなアレルギー素因だけではなく、食べ物や住居、大気汚染などの生活環境や精神的要素もアレルギーの発症に関係があると最近では考えられています。
アレルギーを起こす物質、アレルゲン
アレルギーを引き起こす物質であるアレルゲン(抗原)は私たちの生活の中にたくさんあります。むしろアレルギーを起こさないものをみつけるほうがむずかしいくらいです。
しかも、原因となるアレルゲンは子どもによってちがいます。また、同じアレルゲンでも、引き起こす症状は、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどさまざまで、発症にどの程度アレルゲンが関係するかもちがいます。
病院では、通常、生後6か月以降、アレルゲンを調べるため、IgE(免疫グロブリンE)抗体による検査(RAST)を行います。血液中に含まれているIgEというたんぱくは、白血球の1つであるリンパ球のはたらきでできるのですが、アレルゲンと結びつきやすい性質があり、これを調べます。
ほかにも、たとえば、血液中の卵に対するIgE抗体が高ければ、卵がアレルゲンの可能性があります。そこで、腕や背中に注射針などで浅い傷をつけて、アレルゲンと考えられる物質を一滴落とす掻爬テストという方法も行います。もしアレルゲンなら、皮膚が赤く(発赤)なります。ただし、どんなに検査してもアレルゲンがはっきりしないケースも多く、この場合は、精神的要素や自律神経失調症など、ほかの原因の可能性もあります。
子どものアレルギーの大半は、思春期までに軽減する
アレルゲンがはっきりすれば、アレルゲンを完全に取り除くように生活環境をあらため、症状に応じて薬剤で治療します。アレルギー反応を起こすと、血中にヒスタミンなどが放出され、はれやかゆみなどの原因になるので、これを防ぐ抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、場合によっては副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)などが用いられます。
子どものアレルギーは成長とともによくなり、約7割は15〜16歳ころまでに軽快するようです。
アレルギーと免疫異常の病気
アレルギーは前述のように、非自己の異種たんぱくが侵入したときに、過剰に起こる免疫反応です。正常なら、自分の体を構成している物質(自己)に対して免疫反応が起こることはありません。ところが、非自己と自己の区別がつかなくなり、自分の体をつくっている細胞やたんぱく質を異物とみなして反応し、排除しようとする病気があります。これを自己免疫疾患と呼びます。
「リウマチ熱」、「若年性特発性関節炎」、「アレルギー性紫斑病」、「川崎病」などがそれにあたります。
なぜ、自己なのに非自己とまちがえるのか、そのメカニズムや原因については、まだ、はっきりしていません。
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