不快な症状の原因と対処法(ふかいなしょうじょうのげんいんとたいしょほう)

 妊娠するとホルモンのバランスや体形の変化で、つわりや腰痛、便秘など、からだにいろいろな変調が現れます。妊娠が原因ですから、出産すれば、多くの症状はなくなります。

つわり


症状


 妊婦さんの50~80%に起こり、一般的に、妊娠5~6週のころから胎盤が完成する14週前後までつづきます。なかには長引く人もいます。症状は人によってさまざまですが、吐き気や嘔吐、食べ物の好みの変化、食欲不振、体重の減少、頭痛、眠い、からだがだるい、イライラなどが現れます。

対処法


 赤ちゃんがこの時期必要とする栄養はほんのわずか。お母さんがなにも食べられず、体重が2~3kg減っても、それほど心配することはありません。食べられるものを食べ、水分は十分にとりましょう。
 つらいときは、家事を家族に頼んだり、外食してもいいでしょう。無理をせず、からだの要求に従うのがいちばんです。ただし、つわりがひどくて急激に体重が減ったり、水分も受け付けず脱水症状を起こしたときは要注意です。こうした症状は妊娠悪阻と呼ばれ、入院が必要になります。


腰痛


原因


 おなかが大きくなるうえ、骨盤の関節や靱帯がゆるむホルモンが分泌されて、腰痛が起こると考えられます。

対処法


 正しい姿勢をとる、からだを冷やさない、腹筋や背筋をきたえることがたいせつです。腹帯を巻いて腰を支える、ヒールの高い靴をはかない、長時間立たないなど日常生活を見直しましょう。妊娠体操、ストレッチ、マタニティスイミングも効果があります。


便秘


原因


 妊娠を維持するために分泌される黄体ホルモンが、腸の蠕動運動をにぶらせます。また、大きくなった子宮が腸を圧迫するのも原因です。

対処法


 (1)規則正しい食生活をする、(2)水分、食物繊維を多くとる、(3)朝かならずトイレにいき、排便のリズムをつくる、(4)散歩や運動をするなど、まず生活改善を。それでも治らないときは医師に相談して、緩下剤を服用します。



原因


 便秘で肛門周辺がうっ血したり、大きな子宮に肛門が圧迫されて、血液循環が悪くなるなどが原因。予防には便秘にならないことがたいせつです。

対処法


 妊娠中に痔の手術は行いません。つぎのような対処を試みましょう。(1)胎児に影響がない塗り薬や坐薬を使う、(2)入浴や座浴をして、血流をよくする、(3)香辛料はさける、(4)脱肛は、お風呂に入ったとき指で中にもどす。


頻尿・尿失禁


原因


 頻尿は、大きくなった子宮に膀胱が圧迫されるのが原因。多くの尿もれは腹圧がかかって起こるので、せきやくしゃみ、重いものを持ったときに起こりがちです。尿道付近の括約筋がにぶくなるのも要因です。

対処法


 (1)トイレをがまんしない、(2)水分をとりすぎない、(3)からだを冷やさない、(4)尿もれ体操(尿失禁の予防)をする。


立ちくらみ・めまい


原因


 妊娠中は自律神経のはたらきがにぶくなり、血液が子宮に集中して脳に十分行き渡らないので、脳貧血を起こします。立ちくらみめまいを起こすのは、貧血がひどくなった状態です。

対処法


 (1)倒れないようになにかにつかまるか、しゃがむ、(2)頭を低くして横になる、(3)立ち上がるときはできるだけゆっくり、などを心がけます。何回も起こすときは病院にいきましょう。


手のしびれ(手根管症候群


原因


 気づかない程度の軽いむくみがあると、神経が圧迫されて、手がしびれたり痛みます。妊娠中期の朝によく起きます。手が握れなくなることもありますが、大部分は一過性のものです。

対処法


 多くの場合、手を握る動作をくり返すと軽くなります。また、むくみがとれれば治るので、塩分をひかえます。症状が強いときは病院へ。


あおむけ時の息苦しさ


原因


 あおむけに寝ると、大きくなった子宮が、下大静脈という血管を圧迫して、心臓にもどる血液が減ります。一時的に血圧が下がるので、息苦しい、気持ちが悪い、吐き気がする、目の前が真っ暗になるなどの症状がでます。

対処法


 あおむけになるのをやめ、かだらの左側を下にして横向きに寝ます。それでも治らないときは、医師に相談します。美容院で髪を洗う姿勢で起こるときもあるので注意します。


妊娠線


原因


 おなかや胸が急激に大きくなると、皮膚も急に伸びますが、その伸びるスピードに皮下組織が追いつけず、断裂ができます。そこから毛細血管が透けて見えるのが妊娠線です。正式には「線状皮膚萎縮症」といいます。

対処法


 (1)急に太らない、(2)妊娠4~5か月ころからおなかをマッサージしましょう。マッサージオイル類を使えば、かゆみもある程度抑えられます。産後はあまり目だたなくなります。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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