胆嚢がん(たんのうがん)

どんな病気?


 肝臓でつくられた胆汁(脂肪の消化吸収を助ける消化液)を一時たくわえておく、胆嚢および胆嚢管の粘膜の細胞から発生するがんです。
 50歳以上の女性に多くみられ、とくに60歳以降に多発します。胆嚢がんの発生率は、女性のほうが男性の約3倍も多く、これは胆管がんとは逆になります。

症状


 初期の多くは無症状ですが、右わき腹に持続性の鈍痛がみられ、痛みは背中にまでおよびます。ときには刺すような、焼けるような強い痛み(疝痛)を起こすこともあります。
 黄疸とそれにともなうかゆみ、体重減少、右わき腹のしこりなどが現れるのは、がんがかなり進行してからです。

原因


 原因はよくわかっていませんが胆石(胆石症)、女性ホルモン、先天的な膵管と胆道の接続部分の合流異常(膵管胆道合流異常=胆管がん)が関係しているといわれています。
 とくに胆嚢がん患者の70%に胆石症がみられ、なかでもコレステロール胆石を持つ人にがんが多く発生します。したがって、胆石を持つ中高年の女性は要注意です。

検査と診断


 超音波検査が有効です。検査で異常が認められれば、CT検査や内視鏡的逆行性膵胆管造影ERCP)などを行います。これは内視鏡を用いて総胆管の出口へチューブを挿入し、逆行性に造影剤を注入して胆管や胆嚢を造影する方法です。また内視鏡の先端に探触子をつけた超音波内視鏡検査も、がんの発見に効果的です。

治療


 切除が治療の基本ですが、黄疸を合併している場合は、まず経皮経肝胆管ドレナージ(=胆管がん)を行って黄疸を軽減します。
 初期であれば、胆嚢の摘出手術だけですみます。この場合は予後も良好で、5年生存率が90%と高くなります。
 しかし、それ以上がんが広がると、胆嚢だけでなく肝臓の一部やその周辺のリンパ節を除去したり、さらに進行すると肝外胆管や十二指腸、膵臓の一部を切除する大きな手術が必要になります。この場合は予後も悪くなります。
 切除が不可能な進行がんの場合は、がんで狭窄した胆管の内腔を広げるステント留置術(がんで胆管が狭窄した部分に、形状記憶合金(高温で形をつくったあと、常温で変形させても、加熱するともとの形にもどる合金)を行います。抗がん剤や放射線療法を併用することもあります。

あなたへのひとこと


 手術後、退院してからの日常生活では食事、運動などとくに注意することはありません。
 がんを早期に発見するために、胆石症や胆嚢ポリープのある人は半年に1回定期検査を受けましょう。胆石症で、医師から手術をすすめられている人は、早めに手術を受けることが、がんの予防につながります。
 なお胆石のない女性でも、50歳をすぎたら、年に1回は検診を受けます。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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