その他の自己免疫疾患(そんたのじこめんえきしっかん)


多発性筋炎・皮膚筋炎


どんな病気?


 首、肩、上腕、腰、大腿部など、おもに体幹に近い筋肉が炎症を起こして痛み、筋力の低下が現れます。約半数は、皮膚筋炎といわれる特有の皮膚病変をともないます。皮膚筋炎はまぶたに紫紅色の発疹(ヘリオトロープ疹)ができたり、関節の伸びる側の皮膚の角質層が、大小の角質片となってはがれ落ちるなどの皮膚症状がみられます。
 40~60歳代に多く発症しますが、5~14歳の子どもにも発症します。

症状


 おもに筋力が低下し、力が入らない、脱力感がある、髪がとかしにくい、イスから立ち上がれない、寝床から起き上がりにくいなどの症状が現れます。ときに、のどの筋肉に障害が起こると、食べ物が飲み込みにくくなるなどの症状もみられます。
 高い割合で肺がん、消化器がん、乳がん子宮がんなどを合併するので、かならずがんの検査をします。

治療


 大量のステロイド剤と、症状によっては免疫抑制剤を併用します。


血管炎症候群


どんな病気?


 血管壁に炎症が起こって破壊されたり、血管がつまって血流が障害される病気の総称。ときに腎臓や肺、神経などもおかされます。障害を受ける血管の太さによって分類されますが、女性に多いのは大動脈炎症候群(高安動脈炎)。9割が女性で、とくに15~35歳ごろに多くみられます。
 そのほか、側頭動脈炎結節性多発動脈炎顕微鏡的多発血管炎ウェゲナー肉芽腫症などの病気があります。

症状


 初期に発熱、倦怠感、関節痛、体重減少などがみられます。大動脈炎症候群では血流障害によって立ちくらみなどが現れます。血管が細くなると脈がふれにくくなるため「脈なし病」ともいわれます。
 そのほか、各病気によってさまざまな症状が現れます。脳や心臓の血管に障害がでるなど、重症になることも。

治療


 ステロイド剤と免疫抑制剤を中心に、症状に応じて内科的な薬物療法が必要です。血管閉塞や動脈瘤(大動脈瘤)には外科的治療を行うこともあります。


ベーチェット病


どんな病気?


 口の中や外陰部にくり返し潰瘍ができたり(外陰部ベーチェット病)、皮膚や目をはじめ、さまざまな臓器に炎症を起こす病気です。日本では30~40歳代に多くみられ、男女差はありません。

症状


 口内炎はほぼ100%の人にみられます。にきびのような湿疹が顔や腕にできたり、すねに、皮膚がやや盛り上がって赤くなり、熱や痛みをともなう皮膚の病気である「結節性紅斑」ができたりします。ときに発熱もあります。
 女性は大陰唇や小陰唇、腟の粘膜がただれて痛みます。目にはぶどう膜炎という炎症が起こることがあり、しだいに視力が低下して、悪化すると失明することもあります。ほかに関節炎を起こしたり、血管、腸管、神経がおかされることもあります。

原因


 不明ですが、遺伝的要因が強いと考えられています。

治療


 抗炎症剤(非ステロイド系とステロイド剤)を服用します。重症のときは免疫抑制剤を併用します。


若年性関節リウマチ


どんな病気?


 2~16歳以下の子どもに起こる炎症性疾患です。症状により、(1)大人の関節リウマチと同じ経過をたどる多関節型、(2)炎症を起こす関節の数が少なく、目の炎症も起こる少関節型、(3)発熱、肝臓や脾臓、リンパ節の腫れ、ときに心臓にも炎症を起こすなど、関節以外の症状もきたす全身型(スチル病)の三つのタイプがあります。

治療


 タイプによってちがいますが、基本的に、軽症の場合は非ステロイド系の抗炎症剤、重症の場合はステロイド剤と、場合により免疫抑制剤を使います。成長期の子どもがかかる病気なので、学校の教師や医師とも十分に話し合って、子どもがストレスなく学校生活を送れるような配慮が必要です。

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