どんな病気?
急性肝炎が治らないまま6か月以上経過し、肝臓の機能に異常がみられたり、肝臓に炎症が持続しているのが慢性肝炎です。
B型慢性肝炎とC型慢性肝炎がその代表です。
A型急性肝炎は慢性化しません。
症状
一般的に急性肝炎ほど症状は強くなく、疲れやすいとか食欲がない程度です。患者さんの多くは急性肝炎の時期に気がつかないままやりすごし、その後、かぜだと思って受診したり、健康診断の肝臓機能検査などで偶然に発見されることが多いようです。
慢性肝炎がこわいのは放置すると肝硬変に進行する危険性があるからです。
原因
肝炎ウイルスの感染が、長くつづいていることによって起こります。
治療
B・C型のいずれも、根本的な治療は、原因となっている肝炎ウイルスを排除することです。肝臓の組織検査(肝生検)をして確定診断をつけます。長期間にわたる病気であり、また自覚症状も軽いため、日常生活や仕事をしながら治療をつづけることになります。
B型慢性肝炎
B型肝炎ウイルスの感染がつづくことで起こります。発病するのは、母子感染や2~3歳までの乳幼児期の感染によってキャリアになった人がほとんどです。多くは、自覚症状がないまま数10年経過し、成人になってからB型慢性肝炎が発病して発見されるというケースです。
いつ発病するのか、その時期は人によってそれぞれちがいますが、20~30歳代にピークがあります。
しかし、キャリアのすべてがB型慢性肝炎になるわけでなく、発病するのはキャリアの約10%です。あとの90%の人はウイルスを持ったまま健康体ですごしています。
一方、成人してからB型肝炎ウイルスに感染した場合は、ウイルスを排除する免疫力がはたらくため、通常は急性肝炎で終わり、2~3か月で完治します。よほど免疫力が落ちていないかぎり慢性化することはありません。
治療
ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤のインターフェロンの注射とラミブジンの服用が有効です。そのほか、症状に応じて肝機能を安定させる肝庇護剤(肝庇護療法について)などを用います。原則としては禁酒で、バランスのとれた食事をとることが重要です。
C型慢性肝炎
C型肝炎ウイルスの感染がつづくことで起こりますが、過去に輸血を受けたことがある人に多くみられます。一度慢性化すると、自然にウイルスが排除されることはまずありません。
徐々に悪化していく率はB型慢性肝炎よりも高くなります。患者さんの約40%は、感染後20~30年で肝硬変に移行し、そのうちの70~80%の人はさらに進行して、約5年後には肝(臓)がん、という経過をたどります。
患者数は男女ほぼ同数でB型慢性肝炎の2~3倍はいると思われます。
治療
インターフェロンでの治療が主体です。この治療は、ときに副作用を生じることがあるので、肝炎の状態を考慮しながら慎重に行います。インターフェロンでの副作用でもっとも多いのが発熱、悪寒、全体倦怠感、頭痛など、かぜに似た症状です。ついで食欲不振などの消化器症状、たんぱく尿の出現や血小板、白血球の減少などもみられます。
血液中のC型肝炎ウイルスの量が多い場合は、抗ウイルス剤のリバビリンの内服を併用します。また最近では、新しいタイプのコンセンサス・インターフェロンが開発され、従来のものにくらべて数倍の効果が期待できます。
C型慢性肝炎は、適切な治療で治癒する場合もありますが、血液中のウイルスが多量だと困難です。最近は、鉄分をひかえた食事をとることが重要だといわれています。
あなたへのひとこと
慢性肝炎は軽症から重症まであります。的確に指導してくれる専門医を選び、治療に専念することが大事です。この病気は自覚症状が乏しく、日常生活や仕事に支障がないため、通院や治療を中断しがちです。放置すると気づかないあいだに肝硬変に移行します。
また、肥満は厳禁。脂肪肝になると、肝臓の血流が障害されて治りが悪くなるからです。
規則正しい生活と十分な睡眠を心がけ、過労にならないことが第一です。残業や不規則な生活はひかえます。
家事も無理をしないこと。精神的ストレスもためないようにしましょう。マラソンやジョギングなど長時間にわたる過激な運動は避けます。
輸血をしたことがある人、入れ墨や覚醒剤を使ったことのある人は、C型肝炎ウイルスの血液検査を受けておきます。B型慢性肝炎は、母子感染がメインなので、母親やきょうだいに肝疾患のある人は、血液検査を受けておくと安心です。
妊娠すれば、B型肝炎の検査で発見されますが、そうした機会のない人や出産経験のない人は、積極的に検査を受けることをお勧めします。
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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。