腸・腹膜の病気(ちょうふくまくのびょうき)

消化吸収のほとんどは小腸で行われます


 腸の全長6.5~7.5mもあります。5~6mの小腸と、約1.5mの大腸とに分けて呼ばれますが、大腸のうち、直腸を除いた部分は結腸と呼ばれます。
 腸は筋肉でできていて、内側は粘膜、外側は漿膜でおおわれています。

●小腸のしくみとはたらき


 小腸は腸のはじまりである十二指腸空腸回腸とに分けて呼ばれますが、それぞれにとくに境界はありません。
 内側の粘膜には多数の輪状のひだと、絨毛という無数の小さな突起があり、そこから消化酵素を含む腸液が分泌されています。
 腸液のほかに肝臓や膵臓でつくられた胆汁、膵液も混じりあい、胃から送られてきたかゆ状の食べ物に作用し、たんぱく質をアミノ酸に、糖類をブドウ糖などの単糖類に、脂質を脂肪酸などに分解し、体内に吸収しやすい状態にします。
 蠕動運動で食べ物を先へ送り込みますが、およそ3~4時間で小腸を通過します。このあいだ、さかんに消化吸収が行われ、糖質、たんぱく質、脂質、ビタミンなどの栄養素と、多くの水分が体内に吸収されます。

大腸の役割は水分の吸収と排泄物の貯蔵です


●大腸のしくみとはたらき


 大腸は上行結腸横行結腸下行結腸S状結腸直腸の5つに分けて呼ばれます。回腸(小腸)から上行結腸(大腸)への移行部分が盲腸で、先端に虫垂がついています。移行部分には回盲弁という弁膜が備わり、大腸からの細菌の逆流を防いでいます。
 小腸で体内に必要な物質の吸収が終了すると、食べ物の残りカス(腸内容物)は、ドロドロの状態で大腸に送り込まれます。大腸は小腸よりも太く、壁の厚い腸管で、ゆっくり水分を吸収しながら蠕動運動によって内容物を運びます。その間に、小腸内で吸収されなかった残りの栄養素も吸収されます。そして、直腸に行き着くまでには便のかたさになって肛門から排泄されます。
 小腸下部には大腸菌、大腸になるとそのほかいろいろな細菌がすみついています。これら腸内細菌は人体には害がなく、腸における消化の補助、ビタミンの合成、外来菌の侵入に対する防御的な役割を果たしています。
 ただし、抗生物質を服用した場合などに一部の細菌が異常に繁殖し、病気につながることもあります。

胃や腸などの臓器は薄い膜で守られています


 腹部の内側は、薄い膜でおおわれていて、これを壁側腹膜と呼びます。胃、腸、肝臓、胆嚢、膵臓などの腹部臓器も薄い膜でおおわれていて、これを臓側腹膜と呼びます。これらは名称はちがっても、ひとつづきになった1枚の膜で複雑な形をしています。腹膜の表面積は、1.7~2m2にも達し、からだの表面積に等しいともいわれます。
 膜の表面はなめらかで数mlの液体が存在し、腹膜面をうるおして臓器のそれぞれのはたらきを助けています。この液体が潤滑油の役目をしているため、胃や腸が動いても、肝臓や胆嚢、膵臓などと摩擦を起こすこともないのです。
 腹膜にはまた、炎症によって胃や腸にあながあいたりすると、その部分をおおって、胃や腸の内容物が外に漏れ出ないようにするはたらきもあります。腹膜は吸収作用が強く、水分や電解質を吸収する反面、毒素などの有害物質も吸収するので、ときには細菌に感染し、腹膜炎急性腹膜炎を起こすことがあります。この腹膜の炎症は、もとになる病気があって起こることが多いものです。腹部に持病がある人は注意が必要です。

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