注意したい年代
10代、20代、30代、40代、50代。
どんな病気?
卵巣の機能が十分にはたらかなくなり、卵子が育たずに排卵が起こらなくなる、女性ホルモンの分泌が少なくなる、あるいはまったく分泌されなくなってしまう状態をいいます。
かかりやすい人
思春期以前から卵巣の機能が終了する更年期がはじまるまでのあらゆる人に可能性があります。
原因
卵巣の機能は、卵巣と脳の視床下部と下垂体の三つが互いに影響しあって、正常にはたらくしくみになっています(女性ホルモンの分泌のしくみ)。したがって、この三つのうちのいずれかに問題が起こると、卵巣は十分に機能しなくなります。
卵巣そのものが原因で卵巣が機能しなくなるのは、卵巣腫瘍などの卵巣の病気がある場合、手術や放射線治療などのために卵巣が失われたり、破壊されてしまったケースなどがあります。
視床下部に問題が起こるのは、過激なダイエットによる急激な体重減や肥満、強い精神的ストレスを感じた場合などです。
下垂体が原因となるケースは、下垂体やその周辺にできた腫瘍、出産で大量出血したあとに起こるシーハン症候群(分娩時に大量に出血してショック状態におちいると、脳下垂体に血液が通わなくなることがあります。その結果、下垂体の機能が低下して、無月経などさまざまな症状が現れる病気)などがあります。
また、甲状腺の異常、高プロラクチン血症(脳下垂体から産出されるプロラクチン(乳汁分泌ホルモン)の血中濃度が高い状態。多くは原因不明ですが、脳腫瘍や一部の精神安定剤や胃腸薬などの副作用によって起こることもあります)などが、卵巣の機能低下の原因となることがあります。
症状
年代により症状は異なります。
思春期以前 第二次性徴が現れるのが遅かったり、現れないことがあります。性器の発育が不良のこともあります。
成熟期 月経周期が乱れたり、月経がなくなることもあります。ときには不正出血がみられることもあります。女性ホルモンが分泌されなくなると、性器の退行萎縮といって、腟粘膜のうるおいが失われて萎縮します。また、卵巣の機能が低下する更年期と同じようなほてりやのぼせ、頭痛、肩こり、イライラなどに悩まされる人もいます。
更年期 頭痛、肩こり、ほてり、多汗といった、いわゆる更年期障害の症状(更年期に起こりやすいからだの不調・トラブル)がみられます。
診断
基礎体温(基礎体温と妊娠のしくみ)を測定して記録することで、排卵の有無や卵巣ホルモンの分泌状況などからおおよその診断ができます。あわせて尿中や血中の女性ホルモン値を測定したり、LH‐RH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)の負荷試験、子宮内膜の組織検査、子宮頸管粘液検査などでくわしく検査して、確定診断します。ときには、試験的にホルモン投与を行って、基礎体温などの変化を調べることもあります。
治療
卵巣機能不全を引き起こしている原因をまず取り除いていきます。原因によっては、外科的手術や婦人科以外の治療なども必要になります。
そのほか、卵巣の機能をよくするために、排卵誘発剤を使うこともあります。
あなたへのひとこと
卵巣は非常にデリケートなしくみで機能しています。からだにも心にもストレスをかけないよう、規則正しい生活を心がけましょう。さらに気をつけたいのがダイエット。体重の減少が原因の無月経になると、排卵・月経を取りもどすのは、なかなかたいへんです。安易にダイエットに走らないように気をつけます。
また、月経がない、不正出血する、妊娠を希望しているのになかなか妊娠しないなど、なんらかの症状があったときは、早めに受診し、原因をつきとめて治療することもたいせつです。
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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。