どんな病気?
頭蓋骨の内部に発生する腫瘍で、悪性と良性があります。脳腫瘍の年間発生率は、10万人に対して約20人で、約50%が良性腫瘍です。
悪性腫瘍は、周辺の正常組織との境界が不明瞭で、増殖する速度が速く、反対に、良性腫瘍は、周辺との境界が明瞭で、ゆっくりと進行します。
また、脳の細胞組織そのもの(脳実質)から生じた腫瘍は多くが悪性腫瘍で、そのほかの、脳を包む髄膜、脳下垂体、脳から直接出る末梢神経を包む鞘(ミエリン)などに発生した場合は、ほとんどが良性腫瘍です。
頭蓋内から発生した腫瘍を原発性脳腫瘍、ほかの部位に発生した悪性腫瘍が頭蓋内に転移した場合を転移性脳腫瘍といいます。原発性脳腫瘍が脳以外に転移することはほとんどありません。脳腫瘍には多くの種類があります。頻度が高いのは、つぎのようなものです。
●神経膠腫
脳実質から発生する悪性腫瘍です。脳腫瘍全体の4分の1、子どもの脳腫瘍の3分の2を占めます。成人では大脳に、子どもでは小脳や脳幹に生じることが多いものです。
●髄膜腫
脳をおおう髄膜から発生した良性の腫瘍です。
●下垂体腺腫
ホルモン分泌にかかわる脳下垂体に生じる良性腫瘍です。
●神経鞘腫
脳神経を包む鞘に発生する良性腫瘍です。95%が聴神経に生じるため聴神経腫瘍とも呼ばれます。
症状
腫瘍が発生した部位によって、症状は異なりますが、手足のマヒ、視野障害、言語障害、けいれん(てんかん症状)などの症状が現れてきます。下垂体腺腫の場合は、ホルモンの分泌異常が起こることもあります。
また、腫瘍が大きくなると、頭痛、吐き気、嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状(脳はかたい頭蓋骨におおわれているため、頭蓋内の容積はかぎられています。脳に腫瘍や血腫が発生すると、脳の内圧が上昇し、頭痛、嘔吐などの症状が現れます)が現れます。この場合、眼底検査をすると、視神経乳頭部に浮腫(腫れ)があるのがわかります。
検査と診断
まず、症状に対する問診やCT検査が行われます。MRIでくわしく調べ、必要に応じて、眼底検査、脳血管撮影、腫瘍マーカー(血液検査)などを行い、診断を確定します。
治療
腫瘍が小さく、良性であれば、手術だけで治療できることもありますが、腫瘍が大きかったり、悪性である場合は、手術だけでなく、放射線療法、抗がん剤による化学療法、免疫療法などを組み合わせて治療します。
手術後の経過
脳の機能を維持するために、周囲の組織を含めた広範囲の切除ができないことが多く、肉眼的に摘出できた場合でも、目に見えない腫瘍細胞が残って、再発することがあります。そのため、定期的な検査は不可欠で、手術後も放射線療法、化学療法を指示されることが多いものです。
摘出部位によっては、リハビリテーションが必要になることがあります。
最新治療
腫瘍の数や大きさ、発生部位などによっては、周囲の正常組織への影響を最小限にして、腫瘍だけに放射線を照射して消滅させるガンマナイフ、MRI画像とコンピュータを連動させたナビゲーションを用いた手術などを行う医療機関もふえてきました。
あなたへのひとこと
頭痛が長期間つづく、吐き気、嘔吐がしばしば起こる、けいれん発作、手足が動かしにくい、しびれる、感覚がにぶくなった、ことばが出てこないなどの症状があれば、脳神経外科を受診しましょう。
また、下垂体腺腫の40%を占めるプロラクチン産生腫瘍では、月経がなくなる、妊娠中・授乳中ではないのに乳汁が出るなどの症状が現れることがあります。これらの症状があるときは、婦人科を受診しましょう。
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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。