脳・神経系の病気(のうしんけいけいのびょうき)

脳や神経は、生後変化し、発達し続ける臓器


 心臓や肺などの循環器や胃腸などの消化器にくらべ、脳や神経系は生後、大きく変化して発達する臓器です。
 新生児期の赤ちゃんは寝るのが仕事のようによく眠ります。目覚めている時間が長くなり、やがて、腹ばいになって顔を上げられるようになり、寝返りもできるようになります。8か月ごろにはおすわりができ、しだいにハイハイを覚え、やがて歩きはじめます。
 この赤ちゃんの発達のプロセスは、脳や神経の発達そのものといえます。
 脳は、大まかにわけると大脳、小脳、脳幹(中脳、橋、延髄)からなり、延髄から下方に伸びた脊髄により体のすみずみの神経や筋肉と結ばれています。
 脳のはたらきは、外界の刺激を受け止める、筋肉の動きをつかさどる、自律神経を調整する、そして考える、の4つにわけられます。
 外界の刺激は知覚神経線維をとおして脳に伝わり、刺激を受けた脳は運動神経線維によって、命令を全身の筋肉に伝えます。内臓のはたらきは、大脳に包まれた間脳の視床下部に中枢がある自律神経系の交感神経と副交感神経によって調整されています。

新生児の刺激への反応は、大脳でなく脊髄や脳幹で行う


 赤ちゃんは、誕生した瞬間から、光や温度、音、お母さんやお父さんの声など外界の刺激にさらされます。
 でも、この刺激は、まだ大脳までは伝わりません。大脳の神経の回路が発達していないからです。
 かわりに脊髄や脳幹で刺激を受け止めて反応します。新生児のほおを指でつつくと、指の方向に顔を向けたり、その指をしゃぶったりします。赤ちゃんの手や足の裏をさわると、まるでものをつかむようなしぐさで、手足の指を曲げます。これは原始反射(「新生児期の体と心の発達と日常のケア/原始反射がみられる」)という、赤ちゃんが本来もっている反射運動です。
 しかし、いろいろな刺激にさらされているうちに、大脳の表面から内部に向かって神経が伸びて複雑な回路をつくります。大脳はしだいに刺激を受け止めて反応し、大脳が自発的に命令をだして体を動かすようになります。同時に原始反射は影をひそめます。
 一方、小脳は、生まれたときは脳全体に占める大きさの割合も小さいのですが、生まれてから大きくなり、重力に対してバランスよく運動できるような平衡感覚を養います。バランスをとりながらおすわりができる、歩ける、ジャンプができる、走るという運動は小脳の関与によります。

赤ちゃんの発達は、脳に近い部分からはじまる


 赤ちゃんの発達は、首のすわり、寝返り、おすわり、ハイハイ、伝い歩き、歩行というように、脳に近い部分からすすみます。
 しかし、この大脳や小脳の発達がスムーズにいかないと、原始反射がいつまでも残り、バランスのとれた自発的な運動ができなかったり、異常な反応がでたり、知能や言葉が遅れます。
 運動発達が遅れる原因は、脳の形態や機能に問題があって命令をだしにくい場合や、脳は命令をだせても、神経系に問題があって伝わりにくい場合、命令は伝わるけれど筋肉に問題があって運動ができにくい場合などが考えられます。さらには、脳が本来のはたらきから逸脱して、けいれんなどのように異常な反応を示す例もあります。

聴力、視力からもチェックする


 脳や神経系に異常があるかどうかは、まず生まれたときの頭の大きさ、つまり小頭症(「狭頭症・小頭症」)や水頭症(「水頭症」)などから推定できます。ついで視覚や聴覚からもチェックできます。
 ものを目で追わない、音に対して反応しないということがあれば、これは目や耳の形態的な異常や先天的な病気だけでなく、視神経や聴神経の異常、さらには大脳の視覚中枢や聴覚中枢の異常も考えられるので、どこに問題があるかを調べる必要があります。
 また、首のすわり(平均4か月ごろ)や、おすわり(平均7~8か月ごろ)、歩行(平均1歳1か月~1歳半ごろ)や、意味のある言葉を話す(平均1歳半ごろ)などの時期が、脳の発達を知るポイントになります。
 これらの発達が早いから、とくに脳がすぐれているというわけではありません。その子なりの発達のしかたがあり、数か月近くの個人差があります。
 しかし、遅れ気味のときは注意して見守り、極端に遅れるようなら、一度、医師の診断を受け、問題がないことを確かめておいたほうがよいでしょう。
 また、体をつっぱらせたり、体がふにゃふにゃしていたり、白目をむくようなしぐさがみられ、ちょっとふつうとようすがちがうと思えるような反応や運動がみられるときは、かかりつけの医師や保健所に相談しましょう。
図「脳の構造」

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