木目込み人形発祥、京都「上賀茂神社」認定
真多呂の雛人形
270年の伝統技法を現代に受け継ぐ、三代目、金林真多呂さんにインタビュー

問.雛人形制作への思いを教えてください
雛人形は、産まれてきた赤ちゃんが、元気で、やさしく、幸せに成長すること、災いがふりかからないよう育って欲しいという、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんたちが願いを込めて、飾ってお祝いするものです。
問.金林さんがつくる雛人形の制作期間と一番のこだわりを教えてください
どんなおひなさまを作ろうか考えるのにも時間が掛かりますが、粘土で原形を作るところから考えますと、半年近くの日数がかかります。この工程の数が出来上がりのお人形の良し悪しにも大きく影響します。また、木目込み人形は曲線がきれいに表現できる特徴を持っていますので、いつまでもお飾りいただけるように、飽きのこない、やわらかい、優しいお人形作りを心がけています。
問.雛人形の顔のモデルはいらっしゃいますか
初代、真多呂が平安時代の雅の世界に美しさを見出し、それ以来、真多呂人形では源氏物語でよくご覧いただく、引目鉤鼻(ひきめかぎばな)をイメージしたお顔をお作りしています。イメージは似ていますが、お顔は何十種類もございます。よくご覧いただくと、とても気が合うお顔のおひなさまに出会えると思います。
問.金林さんにとって「ひなまつり」とは
とにかく、産まれてきた赤ちゃんみんなが、元気に育って欲しいと心から思っています。ひなまつりは、どんな形でも構わないので、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんと一緒にお祝いすると、お子さんもきっと喜んでくれるでしょう。何回お祝いしても良いと思いますので、ぜひお友達とも楽しんでいただければと思います。
そして、産まれてきてくれたお子さんを、家族みんなで幸せになるよう願っているところを写真に撮って、お子さんが成長したら、ぜひ見せてあげてください。また、少し大きくなったらお母さんと一緒に飾ってひなまつりを楽しんでほしいです。 飾るのが大変とか、面倒という声も聞きますが、小中学生の作文に「お母さんと飾ったことが楽しかった」と、お子さんの心に深く残っていることもあると聞いたことがあります。形式にとらわれず、楽しいひなまつりを過ごしていただければ、それが私にとっても一番幸せです。

ママ必見!
雛人形は
娘に受け継いでいいの?!
雛人形についてママたちが疑問に思っていることの中から多いものをベビカムが調査!
問.娘に自分(母親や祖母)の雛人形を受け継がせることは大丈夫ですか?
雛人形は、お子さんにふりかかる災いの身代わりとなり、健やかに成長できるよう守ってくれるお守りといわれています。お母さまのおひなさまは、お母さまが成人された時に立派に役目を果たしたと考えられていますので、本来は別々にそえたほうが良いとされています。どうしても受け継がせたい場合は、官女さまを新しくしたり、小さい立雛などをたしたりして、一緒に飾ることがお子さんのためにもおススメです。
問.子どもが全員女の子の場合、それぞれに雛人形を用意して飾ったほうが良いですか?
「一人一人の身を守る」という意味合いからすると、小さくても、ちゃんとご本人のおひなさまを用意できるのが一番ですが、住宅事情などから難しい場合もありますので、長女が親王飾りなどでしたら、次女・三女には官女様を買いたすことをおススメします。また、長女が三段飾りをもっていたら、立雛など場所をとらない小さなおひなさまを飾るのもおススメです。
問.自分の雛人形を処分するにはどうすればいい?
「愛着あるものですし、思い出もたくさんつまっている雛人形だからこそ、ていねいに人形を祓い納めることをお勧めします」と、東京大神宮の松山幾一さんからアドバイスをいただきました。立派に役目を終えた雛人形に、感謝の気持ちを込めて、ていねいに納めてあげてくださいね。
「愛着あるものですし、思い出もたくさんつまっている雛人形だからこそ、ていねいに人形を祓い納めることをお勧めします」と、東京大神宮の松山幾一さんからアドバイスをいただきました。立派に役目を終えた雛人形に、感謝の気持ちを込めて、ていねいに納めてあげてくださいね。

また毎年、桃の節句に近い週末に行われる神事「雛まつりの祓」が行われています。無病息災、心願成就をご祈願しに、この日はママも大人の桃の節句を楽しんでみてはいかがですか?
なお、東京大神宮に直接雛人形を持ち込むことはできません。雛人形を納める場合は一般社団法人日本人形協会の「人形感謝(供養)代行サービス」にお申し込みの上お送りください。