どんな病気?
血液のがんと呼ばれる病気です。血球がつくられる骨髄で、白血病細胞が無制限に増殖します。そのため正常な血球(血液・リンパ系の病気)の増殖が抑えられ、出血、感染、貧血などさまざまな症状を引き起こします。
原因
ウイルス感染(一部の地域に発症する成人T細胞白血球は、HTLV-Iというウイルスが授乳によって母から子へ、性交によってパートナーへ感染。白血球と悪性リンパ腫の両方の現れ方をするのが特徴)、放射線照射などが原因の場合もありますが、多くは不明です。発症に関係していると思われる遺伝子の異常が明らかにされつつありますが、ほぼすべてが突然変異によるもので、白血病が遺伝する病気というわけではありません。
増殖する白血病細胞の種類や病気の経過から、急性白血病と慢性白血病に分けられます。
急性白血病
骨髄でつくられる正常な血球は、はじめは未熟ですが(芽球と呼ぶ)、しだいに成熟して完全な細胞に分化します。この病気は、成熟・分化の能力を失った未熟な細胞(白血病細胞)が増殖します。顆粒球になるはずの芽球ががん化する急性骨髄性白血病と、リンパ球系の芽球ががん化する急性リンパ性白血病に分けられます。
治療をしないと、発症から1~2週間、遅くとも1~2か月のうちに生命にかかわります。しかし、的確に診断して適切な治療を行えば、70~80%の人は完全寛解(白血病細胞が消えた状態)を得ることができます。ただし、再発する場合もあり、化学療法による治癒率は30~50%です。子どもは大人にくらべて治りやすく、寛解率も治癒率ももう少し高くなります。
症状
強い貧血のために疲れやすく、元気もなく、からだを動かすときに息切れや動悸を感じます。出血傾向のために歯肉からの出血、打撲した部位に紫斑(青あざ)ができやすく、また免疫力低下のためにかぜがこじれて肺炎を起こしたり、敗血症を併発して高熱がつづいたりします。
リンパ節が腫れたり、関節や骨が痛むこともあり、肝臓や脾臓に腫れがみられることもあります。
検査と診断
血液検査と骨髄検査を行って診断します。骨髄に針を刺して骨髄液を採取して調べ、多数の白血病細胞が認められることで診断がつきます。
治療
治療の目的は、白血病細胞を根絶させ、正常な血球造血の回復をはかることです。そのため、抗がん剤、副腎皮質ステロイドなどを組み合わせて内服や注射で用います。
また感染症にかかりやすくなるので、無菌室に入室したり、抗生物質を大量に投与して感染に備えます。輸血を行ったり、止血剤も使用します。
条件がそろえば、骨髄移植(骨髄移植とは?)、あるいは末梢血や臍帯血造血幹細胞移植(骨髄移植は造血幹細胞を骨髄から採取して移植する方法。これに対して末梢血液から採取するのが末梢血移植、臍帯血から採取するのが臍帯血幹細胞移植)を行うことも可能ですが、ケースによっては非常に有効な治療法である反面、合併症などのリスクをともなうことも知っておく必要があります。
慢性白血病
徐々に発症し、進行がゆるやかな白血病で、慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病に分けられます。慢性骨髄性白血病は、この病気に特徴的な染色体の異常がわかっていて、その異常細胞がある程度成熟・分化しながら増殖します。症状が現れにくく、健康診断の血液検査などで発見されたりします。慢性リンパ性白血病は、リンパ球系細胞がある程度成熟・分化しながら増殖しますが、日本人にはまれな病気です。
症状
慢性骨髄性白血病では、貧血が起こってくると、疲れやすく、顔色も悪くなり、脾臓の腫れのためにおなかがふくれます。進行すると体重が減少し、正常造血が抑制されるようになると、急性白血病と同様に発熱、貧血、出血などが起こります。
検査と診断
急性白血病と同様、血液検査と骨髄検査で診断します。
治療
慢性骨髄性白血病は、治療をつづけているにもかかわらず、突然、骨髄に芽球がふえ、病状が急性白血病と区別できないような状態に変化することがあり、これを急性転化といいます。
安定した慢性期ではインターフェロンや経口抗がん剤による治療が有効ですが、急性転化を防ぐことはできないので、治癒をめざした骨髄移植(あるいはその他の幹細胞移植)を行います。
患者さんが50歳以下で、血縁者にHLAの適合者がいれば、まず骨髄移植を行います(骨髄移植とは?)。50歳以上であったり、血縁者にドナーが見つからない人は、インターフェロンや経口抗がん剤による治療が主体となります。これらの治療効果によっては、骨髄バンクからのドナーによる移植も考えます。
なお、近年、慢性骨髄性白血病に特有な遺伝子異常をブロックするような経口新薬(遺伝子治療の一種)が発売され、有効な成績を示しています。
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