腎臓・尿路の病気(じんぞうにょうろのびょうき)

腎臓・尿路は血液中の老廃物を排泄する処理工場


 腎臓は尿をつくり、尿路(尿管膀胱尿道)はその尿を輸送する器官です。腎臓と尿路をまとめて泌尿器と呼びます。腎臓は腰部の上方に腰椎をはさんで左右に1個ずつある、そら豆のような形の器官です。
 尿がつくられる過程は、まず腎臓内の糸球体が心臓から流れてきた血液をろ過して原尿(尿のもと)をつくります。原尿は、近位尿細管ヘンレ係蹄遠位尿細管へと流れていくあいだに、大部分の98%が必要な栄養素とともに再吸収されて体内にもどります。そして老廃物を含む残り約2%の水分が尿となり、集合管で濃縮されます。この糸球体から集合管までの尿をつくる機能をネフロンと呼びます。
 腎臓でつくられた尿は腎杯腎盂、尿管を流れて貯留槽の膀胱にたまります。膀胱は尿がたまると徐々にふくらみ、一定量になると尿意が起こり尿道を通って排尿されるのです。
 なお、腎臓はこのように血液中の老廃物を処理して体外に出す役目だけでなく、体内の水分量を一定に保ったり、血圧を上昇させるホルモンを活性化させる酸素や、赤血球をふやすホルモンを分泌して、血圧の調節や血液中の成分を正常に維持し、からだのバランスを保っています。
 腎臓や尿路のどこかに異常が起こると、頻尿になったり、逆に尿量が減り、水分が体内にたまってむくみが現れたりします。初期のうちは無症状のことも多いのですが、尿検査をすると血尿たんぱく尿がみられます。
 腎臓病の早期発見には、日ごろから尿の色に注意することがたいせつです。薄いピンクや赤、コーラ色の血尿、尿が泡立って泡がなかなか消えない(たんぱく尿)ときも受診しましょう。



女性は尿道が短いので尿路感染症になりやすい


 膀胱にたまった尿は、尿道という管を通って体外に出ます。男性の尿道は前立腺と陰茎の中を通るため約20cmと長いのですが、女性は約4cmと短いのが特徴です。おまけに女性は構造上、尿道口と肛門の距離が近いので、肛門周囲にいる大腸菌などの雑菌がかんたんに尿道に侵入しやすくなります。このため、細菌が直接、膀胱に入って炎症を起こすことが多く、膀胱炎になる率は男性よりはるかに高くなります。
 また、細菌が膀胱から入り、さらに上にあがって腎盂へ到達すると、腎盂腎炎尿路感染症)を引き起こします。
 ふつうは多少菌が尿道に入り込んでも排尿によって流れたり、免疫力で炎症を抑えることができますが、長い時間トイレをがまんしたり、疲労やストレスなどで免疫力が低下していると、細菌が膀胱内で繁殖してこれらの病気にかかりやすくなります。性交渉や妊娠中などにも細菌が尿道口から侵入しやすくなります。
 なお、膀胱炎のなかでも間質性膀胱炎は、原因不明の慢性進行性炎症疾患で、細菌感染による膀胱炎とは異なります。最近注目されている病気です。
 そのほか、お産のあと膀胱や子宮を支える骨盤底の筋肉がゆるんで起こる尿失禁は、無意識に尿がもれてしまうものですが、中年以降に多くみられる女性特有の症状です。同じ原因で膀胱が下垂する膀胱瘤(ぼう・こう・りゅう)も女性だけにみられる病気です。また、精神的なことが原因で尿回数が極端にふえる心因性頻尿は20~30歳代の女性に多い傾向があります。腎臓が下垂する遊走腎若いやせた女性に多い遊走腎)はやせた女性によくみられます。
 腎炎のなかの全身性エリテマトーデスによるループス腎炎女性に多いループス腎炎)は、男性にくらべると圧倒的に女性に多い病気です。

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