「生理だから」と甘くみないで！ほかの病気が隠れていることも（せいりだからとあまくみないでほかのびょうきがかくれていることも）

不正出血があるとき

　不正出血は正確には「不正性器出血」といい、月経とは別に腟、外陰部、子宮といった性器から異常出血が起こるものです。出血の量や状態はさまざまで、ごく少量のこともあれば、だんだんひどくなる場合もあります。不正出血は腟や子宮、卵巣などの病気を原因とする場合と、とくに原因となる病気がない場合とがあります。
　病気以外の原因で多いのは、ホルモンのバランスの乱れ（機能性出血）で、この場合は卵胞ホルモン剤や黄体ホルモン剤によるホルモン療法で治療します。また、排卵日付近に少し出血することもありますが、これは排卵により一時的に卵胞ホルモンが減少するために起こるもの（排卵期出血）で、異常ではありません。妊娠初期にも出血することがあります。
　一方、不正出血の原因となる病気はたくさんあります。代表的なのは、腟炎、子宮筋腫、子宮内膜炎、子宮腟部びらん、子宮頸管ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなどです。
　なかでも腟炎や子宮腟部びらん、子宮頸がんなどの場合には、セックスの刺激によって腟の内部や子宮頸部からの出血が起こりやすくなります。月経だと思っていたら、じつは不正出血だったということもあるので、注意が必要です。いずれにしても、不正出血があったときは、かならず婦人科を受診して、原因をつきとめましょう。

月経痛以外の下腹部痛があるとき

　月経困難症とまではいかなくても、ほとんどの女性は月経痛の経験があるはず。女性である以上しかたのない痛みともいえますが、月経痛として軽視していると、別の病気を見落としてしまうことがあるので、注意が必要です。
　下腹部痛を起こす原因にも、器質的な病気によるものと、とくに原因となる病気のないケースとが考えられます。たとえば、便秘やストレスなどによって下腹部が痛くなることもあるし、排卵期出血にも軽い痛みがともなう場合があります。
　問題なのは、病気が隠れているケースです。痛みの原因となる病気としてはまず子宮内膜炎や子宮付属器炎、骨盤腹膜炎などがあげられます。こうした場合は月経時以外でも慢性的な痛みがあり、不正出血、おりものなどをともなうこともあります。また、骨盤腹膜炎の場合は発熱や嘔吐をともなうこともあります。ほかに、子宮外妊娠（妊娠初期のトラブルと対処法）、子宮筋腫や卵巣腫瘍などによっても下腹部痛が起こる場合があります。
　婦人科の病気以外では、膀胱炎や尿路結石、虫垂炎（盲腸）などが原因の痛みもあります。排尿痛をともなっていれば膀胱炎、血尿をともなっていれば尿路結石が疑われます。いずれにしても下腹部痛があるときは、かならず一度は受診しましょう。急激ではげしい痛みの場合は、救急車ですぐに病院にいきます。

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女性に起こりやすい下腹部痛の主な原因と病気

●左下腹部の痛み

左側の子宮付属器炎、左側の子宮外妊娠、左側の卵巣腫瘍など

●右下腹部の痛み

右側の子宮付属器炎、右側の子宮外妊娠、右側の卵巣腫瘍、虫垂炎など

●下腹部中央の痛み

子宮内膜炎、子宮筋腫、骨盤腹膜炎、子宮外妊娠、月経痛、膀胱炎など
　月経時以外にも下腹部に痛みがあるときは、病気が隠れているかもしれないので要注意。慢性的な痛みや不正出血、おりものの異常などがあるときは、すぐに婦人科を受診しましょう。