●心身症とは?
精神的な問題が原因となって起こる、からだの病気の総称です。
人はストレスを常に受けつづけると、自律神経系や内分泌系のバランスがくずれて、さまざまな身体的疾患が起こります(心身症はこんなところにも現れる)。
ところが、本人はストレスを意識しないことがあります。からだの病気だと思い、症状に応じた診療科で治療を受けますが、なかなかよくならない、治ってもまた別の症状が現れるということがくり返されます。
原因になっている精神的な問題を解消しなければ、からだに現れた病気を完全に治すことはできません。
心身症は、内科的治療と精神療法をあわせて行う心療内科の受診をお勧めします。
過換気症候群
どんな病気?
思春期以降の若い女性に多くみられる症状です。精神的・身体的ストレスが強くなったときに、発作的に胸が苦しくなり、速い呼吸をくり返します。そのため、血液中の二酸化炭素濃度が低くなり、頭痛、めまい、手足のしびれ、けいれんなどを起こします。ひどいときには、意識を失って倒れることもあります。
このような発作時には、紙袋などを口にあて、自分が吐いた息をゆっくり吸うと、血中の二酸化炭素濃度が調節されて症状がおさまります。
治療
精神療法(おもにカウンセリング)によって、不安や緊張、心の葛藤の原因をあきらかにし、取り除いていきます。不安が強いときは、抗不安剤を用いることもあります。
あなたへのひとこと
発作の予防には、自律訓練法(自己暗示による精神的訓練法。静かな部屋であおむけに寝るか、イスにゆったりと腰かけ、両腕・両足が重たい、あたたかい、といったことばを心のなかでくり返すうちに、心もからだもリラックス)などでセルフコントロールすることもたいせつです。
頭痛
どんな病気?
心身の疲れや緊張が原因となる頭痛に、緊張型頭痛があります。首や肩の筋肉が過剰に緊張することで、締めつけられるような鈍痛がつづきます。コンピュータを使った仕事などで、長時間すわっている人に多くみられ、性格的には、神経質で几帳面、リラックスするのが苦手なタイプに起こりやすい傾向があります。頭痛のいろいろや女性によく起こる頭痛も参考にしてください。
治療
筋肉の緊張をやわらげる筋弛緩剤のほか、抗不安剤やSSRIやSNRIなどの抗うつ剤を投与する場合があります。また、必要に応じて精神療法を併行して行うこともあります。
あなたへのひとこと
忙しい毎日を送る女性は、市販の鎮痛剤に頼りがち。しかし、鎮痛剤の飲みすぎは、胃を荒らすなどの弊害や、依存の可能性も心配されます。軽い運動や入浴などで、心とからだをほぐす習慣をつけることもたいせつです。
自律神経失調症
どんな病気?
病気らしい症状がつづくものの、その原因が見つからない場合、自律神経失調症と診断されることがあります。これは、自律神経には活動するときに活発にはたらく交感神経と、リラックスしたときにはたらく副交感神経があり、このバランスがくずれると異常が現れるという考えにもとづくものです。
自律神経失調症といわれる症状のなかで多いものは、全身のだるさ、めまい、動悸、集中力の低下などです。これらの症状は、午前中が重く、午後から夜にかけて軽くなる傾向があります。
治療
症状をやわらげる薬の投与が治療の中心ですが、交流分析療法(アメリカの精神科医・バーンによって創世された精神療法。精神分析療法の理論をわかりやすく改良したもので、自我や自分の対人関係の「くせ」を知り、改善することを目的とします)や認知療法などの精神療法が行われる場合もあります。
あなたへのひとこと
原因のわからない不調がつづく場合は、一度、心療内科を訪ねてみましょう。
心身症についてもっと知る
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