自己免疫性肝炎(AIH)(じこめんえきせいかんえんえいあいえいち)

どんな病気?


 自己免疫異常によって肝細胞が破壊される肝障害です。人間のからだは、体内にウイルスや細菌などの異物が外から侵入すると、それを排除して、病気からからだを守ろうとするはたらきがあります。これが免疫反応です。ところが、この免疫のはたらきに狂いが生じると、自分のからだを構成する細胞(この場合は肝細胞)を異物とかんちがいして、攻撃してこわしてしまうのです。
 これが自己免疫異常です。この病気の年間患者数は、わが国で1400人と、そう多くありませんが、30歳以降の女性に好発するのが特徴です。

症状


 全身倦怠や食欲不振、吐き気などウイルス性の急性肝炎と同じような症状がみられますが、ほかに発熱、発疹、関節痛、黄疸などが現れることもあります。病気が進行すると肝硬変へと移行していきます。
 患者さんの約3割に、慢性甲状腺炎関節リウマチシェーグレン症候群などの自己免疫性疾患が合併するのが特徴です。
 一方、まったく症状が現れず、健康診断や人間ドックの血液検査で偶然発見される人もいます。

原因


 自己免疫異常によって起こる病気ですが、その原因はよくわかっていません。遺伝的な素因が関係しているのではないかと考えられています。

治療


 免疫抑制作用のある副腎皮質ホルモンの内服が非常に有効です。
 副作用をみながら、薬の量をコントロールして、症状の安定をはかっていきますが、忍耐強く治療をつづけることがなにより重要です。なお、妊娠・出産については、主治医と相談します。
 早期発見して適切な治療を行えば、肝硬変への進行を防止できます。ウイルス性の肝炎とちがって、肝(臓)がんへの進行は少ないものです。

あなたへのひとこと


 血液検査で肝機能異常が発見されても、なかなか診断がつかなかったり、あるいはウイルス性の慢性肝炎と混同して治療されていることがあります。適切な治療が遅れると肝硬変へと進展します。
 女性の場合、肝機能の異常がみられて、原因がはっきりしないときは、この病気を疑って、早めに専門医を受診することが重要です。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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