子宮体がんの進行状態と治療法(しきゅうたいがんのしんこうじょうたいとちりょうほう)

●0期(子宮内膜異型増殖症(正常と異なる子宮内膜の細胞が増殖して起きる))


進行段階



 子宮体部の内膜が増殖して厚くなり、体がんと区別するのが困難なほど細胞の異型(悪性と良性の境界にある状態)が強くなった状態。初期のがんが混じっていることが多い。

おもな自覚症状


 不正出血が唯一の自覚症状。少量の出血や茶褐色のおりものが現れることもあるが、無症状のことも多い。性交後に出血することの多い頸がんと異なり、理由もなく出血がつづいたり、止まったりをくり返すのが特徴。閉経前後の月経不順と、区別するのがむずかしい。

治療法


・子宮全摘術(単純子宮全摘術)またはホルモン療法(黄体ホルモンを使用)を行う。
・5年生存率→ほぼ100%。

I


進行段階



 がんが、子宮体部だけにとどまっている状態。がんが、子宮内膜にとどまるIa期、浸潤が子宮体部の筋肉層の2分の1にとどまるIb期、浸潤が子宮体部の筋肉層の2分の1以上を越えるIc期に分類される。

おもな自覚症状


 0期と同様で、不正出血や少量の出血や茶褐色のおりものがみられることもあるが、無症状のことも多い。特別な理由もなく出血がつづいたり、突然止まったりをくり返すのが特徴。閉経前後の月経不順とまちがえやすい。

治療法


・子宮とともに、転移しやすい両側の卵巣、卵管とリンパ節も摘出する。筋肉層への浸潤が浅いときには、リンパ節はとらずに、子宮のみを切除する子宮全摘術だけを行うこともある。
・妊娠を希望する場合、症状によっては子宮を残すことも。
・5年生存率→90~95%。

II


進行段階



 がんが、子宮体部を越えて、子宮頸部にまで広がった状態。

おもな自覚症状


 0期と同様。出血がみられないこともある。ピンクや茶褐色のおりものは、がんが進行するにしたがって悪臭をともなうようになる。

治療法


・子宮と両側卵巣、卵管の全摘術、あわせてリンパ節の摘出手術を行う。
・放射線療法や抗がん剤を併用することもある。
・5年生存率→約80%。

III


進行段階



 がんが子宮の外に広がり、骨盤内の組織の卵管、卵巣、腟、リンパ節に浸潤や転移をしている状態。

おもな自覚症状


 II期と同様。さらに、おりものがふえ、悪臭をともなう。がんが、子宮口をふさぐようになると、子宮内に血液や膿がたまって、下腹部痛、悪寒、発熱が起こることもある。

治療法


II期と同様に子宮と両側卵巣、卵管の全摘術、あわせてリンパ節の摘出手術をして、放射線療法や抗がん剤を併用する。
・5年生存率→50~70%。

IV


進行段階



 がんが、膀胱や直腸に浸潤したり、骨盤腔を越えて広がる。あるいは、遠い位置にある肺や肝臓にまで広がった状態。

おもな自覚症状


 III期の症状と同様。さらに進行して、やがては、体力の消耗がはげしくなり、がん性悪液質(がんの毒素が臓器や神経をおかす)状態になる。

治療法


・治療は、かなり困難になってくる。個々の患者さんの状態に合わせて、放射線療法や抗がん剤、手術を併用する。
・5年生存率→20~30%で、手術が不可能ながんは、治癒が非常にむずかしい。
◆5年生存率=がんの治療後5年をへて、生存している割合を示します。
◆治療法についての詳しい説明は、子宮がんの「子宮頸がんと子宮体がんの治療法」を参照してください。

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