外陰炎（がいいんえん）

注意したい年代

10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代～。

どんな病気？

　外陰部がかぶれたり、大腸菌などの病原菌、カンジダなどの真菌、トリコモナスなどの原虫に感染して起こる炎症です。外陰部は、腟にくらべると感染を起こしにくく、卵巣から分泌される女性ホルモンの影響で細菌などに対する抵抗力もありますが、尿や便などで不潔になりやすいため、炎症を起こすことはめずらしくありません。また、外陰だけが炎症を起こすことも多いのですが、腟炎などを併発したり、腟炎のためにふえたおりものによって、2次的に外陰が炎症を起こしてしまうこともあります。

かかりやすい人

　女性ならだれでもかかる可能性があります。とくに女性ホルモンの分泌が少ない、あるいはない幼児や高齢者、おりものがふえ、からだの抵抗力も落ちる妊娠中や産褥期の人、糖尿病の人は、ふつうの人よりもかかりやすくなります。

原因

　外陰部は、下着やトイレットペーパー、生理用ナプキンなどですれて傷がつきやすく、その傷に、大腸菌やブドウ球菌などの一般細菌のほか、カンジダ菌やトリコモナスなどの病原微生物などが感染して起こります。
　おりものシートや生理用ナプキンを長時間つけっぱなしにしたり、きついガードルやパンティストッキングなどで、外陰部がむれたり、不衛生になるのも炎症の原因になります。
　また、卵巣腫瘍などで卵巣を摘出したり、更年期や閉経を迎えて女性ホルモンの分泌がなくなった人の外陰部は、少しずつ萎縮して粘膜が薄くなり乾燥します。すると、腟の自浄作用（腟の自浄作用とは）が落ちて細菌に感染しやすくなったり、かゆみのためにかきこわして炎症を起こすこともあります。

症状

　外陰部が赤くただれ、かゆくなります。おりものの量がふえることもあります。ひどくなると、肛門周辺や足のつけ根まで炎症が広がり、赤くなります。かゆみのためにひっかいて傷ができると、排尿時にそこがしみて痛むようになります。
　慢性化すると、外陰部の皮膚が厚くなり、色も茶褐色から白色に変わってきます。

診断

　問診と外陰部を診察します。原因菌を調べるために、おりものの培養をすることもあります。

治療

　抗炎症剤入りの軟膏やかゆみ止めを塗ります。必要に応じて、原因菌に効果のある抗生物質入り軟膏や副腎皮質ホルモン軟膏などを使うこともあります。
　腟炎などが原因になっている場合には、その治療が必要です。女性ホルモンの分泌が減ったことが原因の場合は、卵胞ホルモンを含んだ軟膏や、内服薬を使う場合もあります。
　セックスの際の刺激で炎症が悪化したり、細菌感染するおそれもあるので、治療中のセックスはひかえます。

あなたへのひとこと

　治療の効果をあげるためには、外陰部を清潔にして、むれないようにします。
　ショーツは綿100％のものにし、おりものなどで汚れたら、まめに替えるように心がけます。きついガードルやパンティストッキングなど、むれの原因になるものは、できるだけはかないようにします。
　おりものシートは、シートそのものが刺激になることもあるので、使わないほうがよいでしょう。
　入浴やシャワーなどで外陰部を清潔に保つことは大事ですが、石けんでゴシゴシ洗うのは、かえって患部を刺激して逆効果です。ぬるま湯でそっと洗い流す程度にしましょう。
　外陰部のかゆみが強いのですが、かいてしまうと、さらにただれたり、引っかき傷がついて、そこから細菌に感染して化膿してしまいます。かゆみをがまんすることはむずかしいものですが、かゆみ止めなどを処方してもらって、できるだけかかないようにしましょう。爪も短くしておきます。
　市販のかゆみ止めや、以前に処方された薬を勝手に使うのは厳禁です。かならず受診しましょう。
　予防としては、排尿や排便のあとは、前からうしろへふくことを習慣づけたり、不潔なセックスをしないなど、外陰部の清潔を心がけてください。