BCG(びーしーじー)

予防する病気

 結核(「小児結核」)を予防します。結核は、結核菌が気道から侵入して肺に感染する病気で、せきと熱が続き、呼吸困難を起こし、全身状態を悪化させます。結核に対する免疫は、母体から十分もらうことができないので、生まれたばかりの赤ちゃんでもうつります。とくに2歳以下の子どもが感染すると、菌が全身にまわりやすく、結核性髄膜炎(「髄膜炎」)や粟粒結核を起こして重症化しがちです。死亡したり、後遺症が残ることが多いので、ゆだんできません(「粟粒結核」)。

ワクチンの種類


図「無題」
 弱めた結核菌をスタンプで皮膚に植えつける生ワクチンです。上腕の2か所に接種します。

理想の接種年齢


 接種は、生後1歳に至るまでのあいだに1回受けることとなりました。標準的な接種は生後5か月から8か月の間に行うこととされています。かつてのツベルクリン反応検査や小・中学生でのBCGの接種も廃止となり、一般的に接種を受ける機会は乳幼児期の1回だけになります。
 忘れないで接種するように注意しましょう。

副反応


 接種後2週間から2か月のあいだに、接種したあとが赤くはれたり、膿んでジクジクすることがあります。これは、接種部分でふえたBCG菌と体の白血球がたたかって免疫をつけようとしている証拠。放っておいても多くは自然に治ります。また、接種した腕のわきの下のリンパ節がはれることがありますが、これも免疫反応なので、半年くらいで自然に消えていきます。
 化膿がひどくて、接種あとがくずれてきたり、リンパ節のはれが大きくなったり、なかなかはれが引かないときは、小児科を受診します。

受けるときの注意


湿疹がひどいときは接種はひかえる


 BCGは、皮膚に小さい傷をつけて、ワクチンを植え込みます。そのため、接種部位の近くの皮膚が、アトピー性皮膚炎や虫刺されなどで、ひどくただれたり傷がついていると、そこにもワクチンが入ってしまい、湿疹が悪化します。皮膚の状態が健康でないときは見合わせたほうがいいでしょう。
 ただ、肌がカサカサしている程度の軽い湿疹なら接種できます。また、左腕か右腕か、湿疹のひどくないほうを選んで接種します。

袖のたくし上げやすい服装で


 接種する部位は、肘より上の腕です。袖のたくし上げやすい洋服か、半袖やノースリーブの洋服の上に、簡単に脱がせられる上着を着せていきましょう。

接種のあとは自然に乾燥させる


 接種後は、ワクチンが服につかないように、腕をだしたままにして自然乾燥させます。口でフーフー吹いたり、日光に当てたり、こすったりしないようにしましょう。
 なお、接種後30分たてば、入浴できますし、石けんを使用してもかまいません。しかし、接種のあとをゴシゴシこすらないように注意します。

こんなことが気がかり


Q 生後6か月をすぎると有料?


 公費によるBCGの接種時期は、生後1歳までとなっているので、子どもが1歳をすぎると、いわゆる任意接種ということになり、かかった費用は通常、自己負担になります。

Q スタンプ痕がついていない


 スタンプ痕は、接種後3週間から1か月後に、赤いポツポツが9個ずつ2か所、合計18個できてきます。その数が3分の2の12個以上ついていれば、効果は望めます。
 スタンプ痕が12個未満、あるいはまったくついていない場合は、免疫ができていない可能性があります。かかりつけの医師に相談しましょう。

Q BCG接種は夏は避ける?


 BCGは接種後、3週間から1か月で、スタンプ痕が赤くはれて膿をもち、それが、かさぶたになって治っていきます。膿んでジクジクしているときは、かゆいのでかきむしったりしがちです。
 とくに夏は汗をかいて皮膚が汚れやすく、ひっかいたところから細菌が入ってとびひ(「伝染性膿痂疹(とびひ)」)を引き起こすこともあります。医学的にはまったく問題はありませんが、夏のBCGは避けておくというのも、1つの考え方でしょう。
表「予防接種のワクチンのタイプと間隔」表「予防接種のスケジュール表」

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