環境ホルモンと人体への影響(かんきょうほるもんとじんたいへのえいきょう)

 環境ホルモンは、正しくは「外因性内分泌攪乱化学物質」といいます。ホルモンは生物の恒常性や成長、生殖に欠かせない重要な物質(「内分泌(ホルモン)・代謝の異常」)ですが、環境ホルモンは、体内に入ってホルモンのようにふるまい、ほんとうのホルモンのはたらきを乱して、生殖機能などに大きな影響をおよぼす、自然界には存在しない合成化学物質です。
 現在、65種類の化学物質が、環境ホルモンとして疑われています。
 ようやく企業はそうした化学物質を使わなくなったり、環境ホルモンである殺虫剤のDDTや、難燃剤のポリ塩化ビフェニール(PCB)などの生産を中止しましたが、まだまだ種類はふえ続けると予測されています。
 環境ホルモンは脂溶性なので、細胞内に簡単に入り込めるうえ分解されにくく、体内に蓄積されやすいというやっかいな性質をもっています。しかし実際、どのように本来のホルモンを攪乱するかは、よくわかっていません。いまのところ、環境ホルモンの多くがエストロゲン(女性ホルモン)に似た構造をしていて、同様の作用をするのではないかという見方が一般的です。

生殖機能への影響が大


図「無題」
 いちばんの問題は生殖機能への影響です。とくにイボニシなど巻貝のオスのメス化は、世界中に大きな衝撃を与えました。こうした性の錯乱をインポセックスといいますが、巻貝のインポセックスは、有機スズという環境ホルモンが、性ホルモンを攪乱して起きていることが判明しています。
 子どもへの影響は推測の域をでませんが、胎児の器官形成期に影響を受けると生殖機能の異常が現れやすいと考えられています。また新生児の尿道下裂(「尿道下裂」)、停留睾丸(「停留睾丸」)、思春期早発症(「思春期早発症」)などが起こりやすいともいわれます。男性の精子数が半減したり、形や動きの悪い精子がふえていること、女性の子宮内膜症や乳がんがふえていることも、環境ホルモンの影響と考える医師もいます。

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