どんな病気?
腎盂が細菌感染によって炎症を起こす病気で、女の子に多発します。
症状
せき、鼻みずといったかぜの症状がないのに38度以上の高い熱がでたときは、この病気が疑われます。
乳幼児では、顔色が悪く、ふきげん、食欲不振、嘔吐や黄疸などもみられます。小学生以上の年長児では、腰や背中のだるさや痛みを訴える子もいます。
かぜとまちがわれることが多いのですが、尿検査をすると細菌と白血球が見つかり、診断がつきます。
原因
大腸菌などの細菌が、尿道から膀胱、尿管と逆行して腎盂に侵入し、炎症を起こすケースがほとんどです。まれに、細菌が血液やリンパ液から腎盂に侵入することもあります。
病気が治ったあとも、再発をくり返すような場合は、尿路の先天的異常が考えられます。その代表的なものが膀胱尿管逆流現象(VUR)で、腎盂腎炎を起こした子どものうち約40%にみられます。ふつう、尿管から膀胱に送られた尿は、排尿時に尿道へと流れていきます。しかし、尿路に異常があると、膀胱内の尿が逆流して尿管内や腎盂に菌が侵入しやすくなります。そのため、細菌感染の可能性が高くなり、再発をくり返すのです。また、尿の流れが悪い水腎症(「水腎症」)でも腎盂腎炎になりやすいことが知られています。
1歳未満で腎盂腎炎にかかる乳児の8~9割は男の子で、その多くはVURや水腎症が原因となっています。
治療
原因となる細菌を調べて、適切な抗生物質を投与します。この病気には、抗生物質が有効で、症状の多くは服用して3~4日で消えます。
しかし、尿路に先天的な異常がある場合はやっかいです。再発をくり返し、その結果、腎臓の萎縮や腎不全(「腎不全」)という重大な結果をまねくからです。それを避けるために、症状がおさまったあと、超音波や造影剤を用いて、尿路の検査を行い、膀胱尿管逆流の有無および程度を調べます。
検査の結果、膀胱尿管逆流が認められたときは、感染を防ぐために抗生物質の予防投与を長期間行います。
軽度の逆流の場合は、再感染さえなければ、3~4年で改善されます。薬の副作用の心配はほとんどありません。しかし、逆流の程度が強い場合は、早い時期に逆流を防止する手術を行うことになります。
家庭でのケア
かぜの症状がないのに、熱が続くときは、腎盂腎炎を疑って、早めに受診しましょう。
腎盂腎炎は、薬を服用すると、症状がすぐに解消されるため、軽い病気と考えがちです。しかし再発の可能性が高い、あなどれない病気です。
医師の指示を守り、完全に治るまで治療を続けることが大切です。
図「尿路感染症」
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