パーソナリティ障害とは?
人はだれでも、性格の特徴やかたよりを持っているものです。それがあまりに極端な場合、周囲の人を困らせたり、本人も苦しむことになります。
このように、性格の著しいかたよりによって、対人関係や日常生活に支障をきたす場合をパーソナリティ障害といい、専門医の治療が必要になります。
パーソナリティ障害は、人格が形成される過程の思春期から青年期に発症することが多く、さまざまなタイプがあります。ひとりの人があるタイプのパーソナリティ障害の特徴をすべて備えているわけではありません。逆に、いろいろなタイプのパーソナリティ障害の要素をあわせ持つ人もいます。「人格」ということばには、いろいろな解釈がありますが、ここでは「その人の持つ性格」という意味にとらえます。
境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン症候群)
どんな病気?
統合失調症と神経症のどちらにも似た症状が現れることから「境界性」と名づけられましたが、現在では独立した病気と考えられています。
この病気の第1の特徴は、感情の起伏が非常にはげしく不安定なことです。
とくに対人関係での不安定さが目立ちます。相手を全面的に「好き」か、全面的に「嫌い」かの両極端になります。相手を理想化して称賛していたかと思うと、ささいなことでさげすみます。この裏には、人から見捨てられることに対する強い恐怖心があると考えられます。相手の関心を引くために、非常な努力をしますが、受け入れられないと絶望し、自殺を図ったり、手首を切るなどの自傷行為をくり返します。
また、慢性的な孤独感や喪失感があり、満たされることがありません。そのため、薬物やアルコールに依存する、無軌道な性交渉を持つ、ものを盗むといった問題行動が現れます。
原因
はっきりした原因はわかっていませんが、幼児期に親とのあいだに基本的な信頼関係がうまくつくれなかったことに問題があるという見方があります。また、脳の機能的な異常など、なんらかの身体的な原因もあるのではないかと考えられています。
治療
カウンセリングなど精神療法が中心です。治療者と話をするなかで、患者さんが自分を客観的にとらえ、問題を解決していけるようにします。
感情が不安定で、問題行動などが強いときは、薬物療法も併用します。症状に応じて処方を変えていきます。気をつけたいのは大量服薬で、薬は家族が管理したほうがよい場合もあります。
家族の方へ
周囲の人は患者さんにふりまわされやすく、本人は自傷や自殺を図るおそれがあるため、専門家でないと手に負えません。本人は精神科を受診したがらないかもしれませんが、心配していることをよく説明して、なるべく早く受診を勧めてください。
自己愛性パーソナリティ障害
どんな病気?
自分は他人よりすぐれていると信じ込んでいます。自分を過大評価し、人から称賛されたい、称賛されて当然だと思っています。そのため、ちょっと批判されただけで、はげしく自尊心を傷つけられます。自分が無視されると、怒りを爆発させる一方で、他人のことには関心がないため、周囲からは「傲慢で鼻もちならない人」と思われます。
原因
生まれ育った環境や脳の機能異常などが考えられますが、はっきりした原因はわかっていません。
治療
カウンセリングを中心とし、必要に応じて薬も服用します。
家族の方へ
自己愛性パーソナリティ障害の患者さんは、まわりの人がうんざりするほど自分をアピールします。しかし、その根底には、強い自己否定があることを理解し、つき放すような態度をとることは避けましょう。
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