甲状腺がん(こうじょうせんがん)

どんな病気?


 甲状腺にできるがんで、女性は男性の3~7倍多く発症するといわれています。甲状腺がんには、ゆっくり進行する分化がんと、急速に発育する未分化がんがあります。
 分化がんには乳頭がんと濾胞がん、髄様がんがあります。これらは顕微鏡で見たがん細胞の組織の像によって区別されます。乳頭がんがもっとも多く、全体の80%前後を占めます。
 分化がんは40歳代にもっとも多くみられ、ついで30歳代、20歳代と若年層にもみられます。未分化がんは50歳代以降の高年者に多く発症します。
 乳頭がんの場合、直径1cm以下の微小がんはようすをみて、すぐに手術をしない医師もいます。乳頭がんは「おとなしいがん」といわれ、大きくならない場合もあり、また大きくなってから手術しても治ることがわかってきたからです。乳頭がんに気づかずに一生すごす人も少なくありません。
 未分化がんは生存率の低い悪性のがんですが、発症するのはごくまれです。

症状・原因


 痛みや異物感といった自覚症状は、ほとんどありません。多くは、人間ドックでの検査や、人から首の腫れを指摘されて検査した結果、がんが見つかるケースです。
 はっきりした原因はわかっていません。髄様がんの場合は遺伝子異常によって起こることもあります。家族や近親者に髄様がんの人がいる場合は、遺伝子検査(遺伝について相談するときはどこにいけば?)をお勧めします。

治療


 がんの種類によって、それぞれつぎのような治療法になります。

●乳頭がん


 甲状腺の片側にだけがんがある場合は、がんがない側の甲状腺を残して、ほとんどを切除します。手術後、甲状腺ホルモン剤を飲む必要はありません。
 がんが両側の甲状腺に広がっていたり、頸部リンパ節に転移しているときは、甲状腺を全部切除します。ほかの臓器に転移しているときは、放射性ヨード131I(海藻類に含まれるヨードと化学的に同じ性質を持った「放射性ヨード」。このカプセル剤を飲むと放射線が甲状腺にだけ集まり、甲状腺を破壊します)を投与する治療を行います。甲状腺を全摘したときは、甲状腺ホルモン剤を一生飲みつづけることになります。
 治療後の生存率は高いがんです。

●濾胞がん


 ほかの臓器のおかされ具合によって、がんのある側の甲状腺を切除すればいい場合と、甲状腺を全摘する場合があります。転移した濾胞がヨードを取り込む能力を持っている場合は、131Iを投与します。その後は、甲状腺ホルモン剤を一生飲みつづけます。

●髄様がん


 遺伝子異常によって起こる種類のがんは、甲状腺を全摘します。それ以外は乳頭がんと同様です。

●未分化がん


 甲状腺の全摘、抗がん剤、放射線療法などを組み合わせて行いますが、治療成績はよくありません。

あなたへのひとこと


 手術後はふつうの生活が送れます。

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