肝臓は合成・解毒・貯蔵機能を持つ化学工場
肝臓は再生能力があり、予備能力に富んでいるので、少々の痛手や障害にはびくともしません。肝臓がトラブルをかかえても、すぐには自覚症状が現れにくいことから、「沈黙の臓器」といわれています。そのかわり、症状がでてきたときには、かなり深刻という警告でもあります。
肝臓には、三つの重要なはたらきがあります。
たとえば肉や魚などに含まれるたんぱく質は、最初、小腸からアミノ酸の形で吸収されますが、肝臓で再びたんぱく質に合成されてから、全身のそれぞれの臓器に運ばれ、栄養素として利用されます。糖質は、小腸からブドウ糖の形で吸収されますが、肝臓で分解されエネルギー供給源のグリコーゲンに合成されます。また、肝臓に運ばれた脂肪も、グリコーゲンやコレステロール、中性脂肪などに変えられ、私たちのからだに役立っています。
そのほか、種々の栄養素を体内で分解するときに活躍する酵素や、脂肪の消化吸収を助ける胆汁なども、肝臓でつくられています。
胆道は胆汁を十二指腸に送るたいせつな通路
脂肪の消化吸収を助ける胆汁は、肝臓でつくられますが、胆道はこの胆汁が十二指腸に流れる通路です。胆道は、細い管の胆管とナスのような形の胆嚢から構成されています。
肝臓の左葉から出た左肝管と右葉から出た右肝管が合流して総肝管となり、総肝管は、さらに胆嚢から出た胆嚢管と合流して、十二指腸につながっています。
肝臓から分泌された胆汁は胆嚢に一時蓄えられ、濃縮されますが、十二指腸に食べ物、とくに脂肪の多いものが入ってくると、胆嚢は胆汁をしぼり出し、十二指腸に送り込みます。そして脂肪の消化吸収を助けます。
膵臓は多くの消化酵素を分泌する重要な臓器
膵臓は、ソーセージのような形の小さい臓器です。胃の裏側、つまりおなかのいちばん深いところにあるためふつうは外からふれることはできません。
膵臓の中には膵管という管が通っていて、膵臓から分泌される膵液(消化液)を十二指腸に送っています。この膵管は十二指腸に入る直前で総胆管と合流し、肝臓から分泌された胆汁と膵液は混じり合って十二指腸に流れていくしくみになっています。
膵臓の重要な役目の一つは外分泌腺機能といわれ、消化酵素を分泌するはたらきです。たんぱく質を分解するトリプシンや糖分を分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼなど20種類以上の消化酵素をつくり出し、これらの消化酵素は膵液となって十二指腸に送られ、食べ物の消化吸収を助けます。
二つめは、内分泌機能といわれる血糖値をコントロールするはたらきです。
膵臓にあるランゲルハンス島という細胞からは、糖尿病などと関係の深い血糖値を下げるインスリンや、血糖値を上げるグルカゴンなどのホルモンが分泌されています。膵臓は、この二つのホルモンの分泌を調節して、血糖値を安定させるはたらきをしています。小さいながらも外分泌、内分泌の両面にとって、もっとも重要な臓器といえます。
膵臓の病気、とくに膵(臓)がんの早期発見はむずかしいものです。これは早期の症状がとぼしく、膵臓自体が胃の裏側にあるため、超音波検査で発見しにくいからです。
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