妊婦さんたちが抱える不安と思い
最近、妊婦さんの血液検査で赤ちゃんの病気を調べるNIPT(新型出生前診断)の認証制度が新しくなり、日本医学会の運営委員会は全国169カ所の病院を適切に検査ができる施設として認証しました。その数は従来の1.5倍以上に増え、受けられる人の年齢制限もなくなったことがメディアで報じられました。
出産ジャーナリストの河合蘭さんと子育て情報サイト「ベビカム」が実施した「出生前検査のニーズに関するアンケート」に、全国の、お子さんをもつママと妊婦さん(妊娠中11%)20代から40代の219人が答えてくれました。実施期間は、2022年6月17日から28日。出生前診断を実際に体験した人からの回答も得られています。
悩む人が少なくない「出生前診断」についてのみなさんの声を聞かせてください。
●「 あなたが妊娠中に受けた出生前診断がありましたら、何を受けたか教えてください。2つ以上の検査を受けた方は、すべて教えてください。受けていない方は「受けていない」とお答えください。(複数回答可)」(回答数:219)
「出生前検査」とは、妊婦健診の超音波検査も含める場合もありますが、このアンケートでは、妊婦健診では受けない、希望した人だけが受ける検査を出生前検査と呼びます。
※超音波検査も、「胎児ドック」など専門の外来で赤ちゃんを詳しく調べる超音波検査は「出生前検査」とします。
出生前検査について知ってはいるものの、実際には受けていない人の方が多いという実情です。
●「 出生前診断を受けた方にお聞きします。受けた理由は何ですか?(複数回答可)」(回答数:66)
●「出生前診断を受けなかった方にお聞きします。受けなかった理由は何ですか?(複数回答可)」(回答数:153)
概して「診断の結果で出産をとりやめることはないから」といった理由が53%を占めています。
●「検査で赤ちゃんに異常があったとわかった時に、専門家が個別に相談に乗ってくれる場は必要だと思いますか?」(回答数:219)
94.5%が「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答。
「生まれてからの症状や発達、治療、暮らしや支援・福祉の制度について教えてくれる」「保険で受けられる、もしくは自治体の助成金が出る」「自分の話をジャッジせず受け止めてくれる」「中絶のあとの精神的苦痛も相談できる」など、物理的・精神的な支援が必要と考えている人が多いです。
● 「 出生前検査について、あなたのご体験や希望、思うところを何でもご自由にお書きください」
未体験者の考え
「障害がある子が生まれたら不安なので、先に知れたら少しは楽になると思う」
「配偶者に止められ出生前検査は受けなかったが、もし受けていた結果、問題があると言われたら、きっと産んでいなかった」
「障害が分かったとして、中絶するのは気持ちがついていかない。殺人なのではと思ってしまうと思うから検査できない」
「検査を受けるには、丁寧なカウンセリングが必要だと思います。 安易に検査を受けられないようにしてほしい」
体験者の感想
「NIPTは命の選別ではなく子の将来や家族設計を考えたときに、重要な選択肢のひとつだと認知される世の中になってほしい」
「自分はやってよかった。 高齢妊娠で、万が一障害があれば上の子達に負担がかかるかもと思うと悩んだりしたけど、結果を知って前向きに出産にのぞめた」
「コンバインドテストでダウン症の確率が高めに出てしまった。不安だったがNIPTを受けたところ、その確率が低いとわかり安心して妊娠を継続できたので希望者は受けるべきだと思う」
「染色体異常とわかっても、5ヶ月で中絶できない状態でした。結局は、最後まで命ある限りは育てようと決断していたので、出生前にわかっても結果は同じだったような気がします」
いかがでしたか?
さまざまな選択肢が増える中、出生前検査についての多種多様な考え方、コメントが集まりました。他の方たちの意見も参考にしつつ、それぞれの立場で、前もって考えておくとよいかもしれませんね。