直腸・肛門の病気(ちょくちょうこうもんのびょうき)

直腸と肛門は歯状線を境に隣り合っています


 直腸は、口からはじまる消化管のいちばん最後の部分で、便の出口である肛門につながっています。
 もともと直腸と肛門は、私たちが胎児の時期に、口のほうから伸びてきた腸の管とおしりの皮膚のくぼみが合わさって形成されたもので、この接合部を歯状線と呼びます。歯状線より上が直腸、下側が肛門となります。

 直腸は腸と同じように自律神経の支配下にあるので、直腸内に炎症が起こっても痛みを感じません。ところが、肛門は皮膚と同じ組織でできているので、傷などができれば強く痛みます。
 直腸と肛門は二重の括約筋に囲まれています。内側の括約筋は、自分の意思では動かせない筋肉、不随意筋で、常に一定の力で直腸、肛門を締めています。夜寝ているときや、意識していないときでも肛門が閉じていて、便が漏れないのはこの筋肉のおかげです。外側の筋肉は随意筋で、自分の意思で肛門を締めたりゆるめたりできます。
 直腸の末端や肛門には、動脈や静脈が複雑に交わりながら通っています。とくに静脈は、毛細血管が網の目のように張りめぐらされています。この毛細血管の血行の悪さが、うっ血(血がたまる状態)を促進し、肛門の病気である痔を引き起こしたりします。

便意をがまんできるのは外括約筋のおかげです


 食べ物が胃の中に入ってくると反射が起こり、大腸(結腸)が収縮のくり返しをはじめます。すると、それまで結腸にたまっていた便が直腸まで送り出されることになり、便意が生じます。
 便が直腸に入ってくると、不随意筋である内括約筋が自動的にゆるみますが、随意筋である外括約筋のおかげで便意をがまんすることができます。
 便は、口から入った食べ物の栄養分が消化吸収されたあとのカスや水分、腸の中にすんでいる細菌(腸内細菌)の死骸などがまとまったものです。通常であれば水分が70~80%含まれていて、肛門からスムーズに出てくるのですが、便意をがまんすると、直腸で水分が吸収されてかたくなり、排便が困難になります。ちょうど練り歯みがき剤のようなやわらかさが、肛門にも負担をかけない「よい便」です。

ベビカムは、赤ちゃんが欲しいと思っている人、妊娠している人、子育てをしている人、そしてその家族など、妊娠・出産・育児に関して、少しでも不安や悩みをお持ちの方々のお役に立ちたいと考えています。
本サイトは、妊娠・出産・育児に関して、少しでも皆さまの参考となる情報の提供を目的としています。

掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

ベビカム医学大辞典
powerd by babycome