味覚障害(みかくしょうがい)

食べ物の味がわからない人がふえています


 最近は、食べ物の味がよくわからない、なにを食べても苦い、などと訴える人がふえています。これは味覚障害という病気です。
 味覚障害というのは、食べ物の味がわからなくなる病気ですが、味覚が減退した状態から、まったく味覚がなくなった無味覚症、さらに、本来感じるべき味と異なる味を感じる異味症などがあります。
 原因はさまざまですが、もっとも多いのは舌の炎症や、体内の亜鉛不足によるものです。
 味覚は舌にある味蕾でキャッチされますが、味蕾を形成する味細胞は10日間ほどの周期で新しく入れ替わります。ところが、亜鉛が不足すると、味細胞の新陳代謝が遅くなるために、味覚を感じとる力が鈍るというわけです。
 そのほか、さまざまな全身疾患(糖尿病、腎障害、肝障害)の部分症状として味覚障害がでてきたり、高血圧や糖尿病、痛風、高脂血症などの薬の副作用として現れることもあります。さらに、頭部外傷や中耳炎(急性中耳炎)、顔面マヒなどが味覚障害の原因である場合もあるので、食べ物の味がうまく感じられないときは、かならず受診して原因を確かめましょう。
 味覚障害の治療は、亜鉛が欠乏している場合は亜鉛剤を用います。原因がはっきりしない場合も、亜鉛剤を用いてようすをみます。
 病気治療のための薬の副作用が原因の場合は、薬の使用を中止するか服用量を減らす必要があります。これに亜鉛剤を加える場合もあります。
 頭部外傷や顔面マヒが原因の場合には、ビタミン剤や循環改善剤などが使われます。
 また、舌の炎症や口内炎が原因で起こる味覚障害では、うがいなどで口腔内を清潔に保つことがいちばんたいせつです。

食生活を見直そう


 現代人はファーストフードやインスタント食品が中心の食生活や、極端なダイエットなどで栄養のバランスがくずれています。とくに亜鉛などのミネラル分が不足しがちです。
 また、加工食品をよく食べる人も要注意です。加工食品には食品添加物が多く含まれているからです。加工食品の保存料として使われている食品添加物には、亜鉛を体外に排出したり、亜鉛を吸収しにくくするものがあります。使用されている食品添加物は、食品のラベルに表記されているのでチェックを。
 栄養のバランスがとれた食事をとるように心がけ、カキやホタテ貝などの亜鉛を多く含む食品をとって、味覚障害を防ぎましょう。

舌の汚れも味覚障害の原因に


 高齢者は、口の中を清潔にしておくこともたいせつです。というのも、加齢とともに唾液の分泌が悪くなり、口のなかの唾液による自浄作用が低下して、菌が繁殖しやすくなるからです。その結果、舌炎になったり舌苔がつくと味蕾が破壊されて、味覚障害が起きることがあります。
 とりわけ総義歯(総入れ歯)の人は、義歯(義歯とインプラント)に汚れがつきやすいので、口の中にさまざまな菌が繁殖しています。食後の歯みがきやうがいで口の中をいつも清潔に保ちましょう。
 そのほか、嗅覚障害を味覚障害と勘違いする場合も少なくありません。これは風味障害といい、鼻の治療が必要です。

ベビカムは、赤ちゃんが欲しいと思っている人、妊娠している人、子育てをしている人、そしてその家族など、妊娠・出産・育児に関して、少しでも不安や悩みをお持ちの方々のお役に立ちたいと考えています。
本サイトは、妊娠・出産・育児に関して、少しでも皆さまの参考となる情報の提供を目的としています。

掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

関連するキーワード

味覚障害 味がわからない 味覚がなくなる 無味覚症 異味症 舌の炎症 亜鉛 亜鉛不足 味覚 味蕾 味細胞 新陳代謝 糖尿病 腎障害 肝障害 高血圧 通風 高脂血症 頭部外傷 頭のけが 中耳炎 顔面マヒ 亜鉛剤 副作用 ビタミン剤 循環改善剤 口内炎 うがい 清潔 食生活 ファーストフード インスタント食品 ダイエット 栄養バランス ミネラル不足 加工食品 食品添加物 添加物 保存料 カキ ホタテ貝 ホタテ 舌の汚れ 自浄作用 舌炎 舌苔 入れ歯 義歯 歯みがき 嗅覚障害 風味障害
ベビカム医学大辞典
powerd by babycome