アルツハイマー病(あるつはいまーびょう)

どんな病気?


 脳の神経細胞に変性が生じて、記憶障害などの認知症の症状が現れてくる病気で、日本人の認知症の30%を占めるとされています。60歳すぎの人に多いのですが、50歳代で発症する人もいます。
 脳血管性認知症とちがって、高血圧糖尿病、喫煙などの危険因子が、直接発症のきっかけになることはありません。そのため、多くは、マヒなどの症状がなく、運動機能も保たれていて、記憶などの知的な活動だけが障害を受けているように見えます。

症状


 食事をしたことを忘れてしまうなど、覚えたばかりのことを忘れてしまう記憶障害、きょうが何日なのか、自分のいる場所がどこなのか、家族がだれなのかなどがわからない見当織障害、ものの名前や使い方がわからなくなる、洗顔・着衣などの日常動作ができなくなるなどの失認・失語・失行が起こり、夜に徘徊したり、穏和だった人が怒りっぽくなるなど、行動や人格にも変化が現れます。
 進行して、萎縮が脳全体におよぶようになると、運動能力が低下し、寝たきりになることもあります。

原因


 記憶をつかさどる海馬を中心に、大脳皮質の神経細胞が変性し、脱落してきて、細胞の数が減少し、脳が萎縮してくるのが原因です。アルツハイマー病の人の脳では、神経細胞の中にあるたんぱくが変質して、糸くずのように線維状に変化してくること(神経原線維変化)、脳の血管壁に老人斑というたんぱくのしみが付着することがわかっています。
 なぜ、このような変性が起こるかは、まだはっきりとわかっていません。

治療


 問診をはじめ、知能テストや心理テストを行い、MRIなどの画像検査もあわせて、脳に萎縮が生じているかどうかを調べて診断します。脳内の神経伝達物質濃度を高める薬の使用など、進行を防ぎ、残された機能を維持する治療が行われます。

家族の方へ


 早期発見がたいせつです。心配な場合は、脳神経外科や神経内科、もの忘れ外来などのある病院を受診しましょう。
 家族は、介護サービスを利用して、負担を少なくすることも検討しましょう。食事などは患者さんのペースに合わせ、一方的に責めずに、できることをやってもらい、自信をつけさせることが、残された機能の維持につながります(徘徊癖のある場合は、脳血管性認知症の「家族の方へ」も参照)。

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掲載された情報を参考に、気になる症状などがあれば、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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