現代の環境汚染の特徴は原因が特定できないこと
私たちの生活環境は、わずか半世紀のあいだに大きく変化しました。食料、電気製品、衣料など、新しいものがどんどんつくられ、身のまわりに過剰なまでにあふれています。
しかし、こうして生活が便利になった反面、そこからでるゴミや化学物質がおよぼす影響は、自然環境の自浄能力を超えました。私たちが便利な生活を追求しているあいだに、汚染物質が大気や土壌や海にじわじわ蓄積され、いまいっきに噴きだして、人間の健康をおびやかすまでになっています。
かつての環境汚染が、工場から流れ出る有毒物質がおもな原因だったのに対し、現代の汚染は原因を特定できないものに変わりつつあります。しかも被害は地球的規模で起きています。
いままでの汚染のあり方と大きくちがう現代の環境汚染の特徴は、私たちのひとりひとりが汚染に加担していながら、同時に被害者でもあること、家庭のゴミを燃やすなど、日常的なことが地球的規模の汚染の原因になること、これらのいくつもの原因がかさなって複合汚染が起こることです。
環境ホルモンがおそろしい理由
環境汚染のなかで、もっとも重要視されているのが環境ホルモンです。この物質のこわさは、生殖機能に影響をおよぼす点にあります。
人間の場合、とくに胎児の器官形成期への影響が大きいといわれ、また精子の数が減少しているのも、環境ホルモンの影響ではないかと考えられています。その因果関係が証明されたわけではありませんが、このままいけば生態系がくずれ、人類の生存が危うくならないともかぎりません。証明されてから対策を考えても手遅れなのです。
現在の生活を見直すことが環境汚染を解決する糸口
環境ホルモン以外にも、私たちの生活に大きな被害をおよぼしかねない化学物質は多くあります。新建材に含まれる化学物質が原因の、シックハウスと呼ばれる症状もその1つです。
こうした新しい環境汚染への対策は、個人も企業も行政もいっしょになって考えなければいけないことです。もちろんすぐに解決できる問題ではありません。しかし、私たちひとりひとりが未来の地球と人類に思いをはせ、未知の危険をくい止めるために、現在のライフスタイルを見直すところから、解決の糸口がみつかると思われます。
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